◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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死体遺棄ならぬ死体奪取

 さて、俺達がやって来たのは管理局ジュエルシード事件担当班拠点、時空艦アースラ。長ったらしい名前だろうけど、あまり気にしない方向で行く。

 現在の状況としては、転生者諸君は未だに爆睡中であり、ユーノとアルフの方は既に目を覚ましている。まぁ転生者の方は明日の正午位には目を覚ますだろう。最低でもこの件が終わるまでは寝ててもらう。あいつらが関わると原作ブレイクとか言って色々変な方向に持っていきそうだからね。

 

「さて、これからどうするつもりなんだ?」

 

「現在、あの雷撃を放った本人。プレシア・テスタロッサの座標を割り出した所です。これからプレシアの拠点、時の庭園へと移動、彼女の身柄を確保します」

 

「なるほど」

 

 とりあえず、やる事は分かった。未だに原作の正史を歩いている事は分かっているから、なんとかこのまま進ませる事にしよう。だが、一つだけ気になる点がある。それは、転生者達の言っていた人物の事、名前はアリシア・テスタロッサ。おそらくフェイトの親族……まぁ姉妹あたりの人物だろうが、どうやら彼女は既に死んでいるらしい。

 だが、彼らの言葉によると彼女を生き返らせる予定の様だ。つまり、彼らは俺の知っている特典能力の他に、何か隠している能力を持っている。となれば、それは戦闘に使えるものではなく回復か蘇生、あるいはそれに準ずる物であると思う。

 そんな方法があるとするならば、そのアリシアという少女の身柄は確保して蘇生させる方がいいのかもしれない。フェイトにとっても良い事には違いないだろうし、その事でプレシア・テスタロッサの方にもいい影響が与えられるかもしれない。上手くいけば俺の目的も手伝って貰えるだろう。

 

「とりあえず、俺をその時の庭園に送ってくれ。俺はアンタらの管轄内にはいない筈だからな。外部協力者とでもしておいてくれ」

 

「なっ……! そんなこと認められる筈が無いでしょう。ただでさえ貴方は不可解な点が多すぎますし、下手に動かす事は認められません」

 

「言っただろう。俺はアンタらの仲間じゃない。許可を得るか得ないじゃない、俺が行くか行かないかは俺が決める事だ」

 

「……っ。しかし、貴方があちらへ行くにはこちらの協力が必要な筈、貴方を行かせるわけにはいきません」

 

 やっぱり一筋縄じゃ行かないか。まぁ、それでも行く事には変わりない。俺の特典に【人間が会得できる全ての技術】がある。つまり、俺はこの世界において会得できない技術は一つたりともない。つまり、俺は魔法という技術があるこの世界において、使えない魔法は人が習得出来ない物以外人たりともない。

 それは暗に、俺には転移魔法が使えるという事になる。そして、その使い方は俺の頭の中に入ってる。特典はこういう物だからな。

 

 そう考えた俺はモニターに映る時の庭園の座標を確認、転移魔法を行使する。正直言えば、魔力の無駄遣いはしたくなかったが、それはもういいだろう。

 

「これは……転移魔法!? 待ちなさい!」

 

「残念。俺はさっさとこの件を終わらせたいんでね」

 

 そう言った俺は、ふっとアースラの中から姿を消した。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「っと……さて、行くか」

 

 時の庭園内に辿り着いた俺は間髪いれずに地面を蹴って進む。索敵魔法を使って、時の庭園内部に潜む魔力反応を補足、プレシア・テスタロッサの居場所を瞬時に理解し、その場所に向けてひたすら走る。どうやら、プレシアは掻っ攫って行ったジュエルシードに何かしたようで、時の庭園は地震の時の様に唸り声を上げ、床は崩れ落ち、崩れ落ちた場所は別空間の様になっている。あまり関わらない方がよさそうだ。

 

 そうして走っていると、索敵魔法に新たな反応。おそらく、なのは達が突入したのだろう。それに、目の前には魔力で造られた機械兵のような奴らがうじゃうじゃと現れている。

 

「邪魔……だけど関係無いな」

 

 俺はそいつらを無視。奴らの合間合間を加速魔法を行使した身体能力でバスケの様に次々と抜き去って行き、更に先へと進む。攻撃は全て受け流し、立ち塞がる奴は後方へ投げ飛ばすことでやり過ごす。

 

「これで……抜け……ったっとぉ!」

 

 全ての機械兵を抜き去って、更に続く廊下を走り抜ける。先にあったのは二手に分かれる分かれ道、だが索敵魔法を使った俺は、瞬時にプレシアの下へと続く道へと入り、突き進む。

 

「! ……これか」

 

 辿り着いた先にあったのは、大きな扉。それを持ち前の力で抉じ開けると、中にはこの事件の黒幕、プレシア・テスタロッサが椅子に座ってこちらを見ていた。彼女の周りにはジュエルシードが浮遊しており、魔力に反応しているのか輝きを放っていた。

 

「貴方……魔導兵はどうしたの?」

 

「全部、無視して通り過ぎて来たよ」

 

「……何者よ、貴方」

 

「アンタの娘さんの邪魔してた娘の教師」

 

 そう言うと、彼女は少し俯き何か考えた後、呟くようにこう言った。

 

「全く……たった今目障りな人形を捨てて目的を果たそうっていうのに……何をしに来たのよ」

 

「まぁ、俺も俺が関わらない所でやってくれんなら放置してたんだけどさ。どうやら、アンタらの行動はこの先俺の生活に少なからず悪影響を与えそうなんでね。邪魔しに来た」

 

 そう言うと、彼女は険悪な雰囲気を纏って、俺に殺気を向けて来た。やはり、自分のやる事は邪魔されたくはないのだろう。俺もそうだけど、やるなら人様に迷惑かけない所でやって欲しい物だ。親にちゃんとした教育を受けてやり直してこい。

 

「邪魔をしないで頂戴。私は行くのよ、失われた大地―――アルハザードへ!」

 

「アルハザードだかアルゼンチンだか何だか知らねぇけど、メンドクサイから行かせねぇよ」

 

 そう言った瞬間、彼女の手から紫色の雷撃が走り、俺に迫りくる。俺はそれを魔力を纏った手刀で切り裂く様に弾く。それだけでは止まらず次々と雷撃が襲いかかるが、同様に対処した。

 しばらくそんなやり取りが続くが、急に攻撃がやんだ。見ると、彼女は口元を押さえて咳き込んでいた。どうやら、転生者達を盗聴した時に聞いた情報と同じで病に掛かっているようだ。

 

「さて……」

 

 俺はそんな彼女を放って、とある部屋を抉じ開ける。空気の流れがその場所へ向かっていたから場所は簡単に分かった。中に入ってみると、そこには培養カプセルの様な物に入ったもう一人のフェイトの姿。いや、瓜二つと言った方が良いだろう。良く見ればフェイトより幾分幼い少女だ。

 多分、この子がアリシア・テスタロッサ。フェイトの姉妹……だろう。

 

 俺はその子に近づこうとして、裏拳を繰り出す。すると、そこに雷撃がぶつかり消滅する。

 

「……大した執念だな、プレシアさん」

 

「アリシアに……近づかないで!」

 

「そいつは出来ない相談だ。ああ、ちなみにこの光景はいやらしくも管理局の奴らが除いてるだろうし、この子の存在は既にバレてる」

 

「だから何よ……私はこの子を生き返らせる。その為に此処までやって来たのよ。あの人形に偽りの愛を向けて、苦しい思いをしながらここまで耐えて来たのよ…」

 

「……人形?」

 

「そうよ、あの人形……フェイトは私の本当の娘じゃない。アリシアの肉体をベースに造られたクローンよ!」

 

 そいつを聞いて少し思う所があるが、まぁ人様の家庭に何かしらの文句を垂れる程俺は正義マンじゃないので、何も言わない。正直言えば、フェイトとプレシアの関係は物凄く険悪って事は分かった。今更修復できるとも思わない。

 だから、俺は俺のやりたい事を早々に終わらせよう。

 

「ま、それはいい。とりあえず、このアリシア・テスタロッサの身柄は確保させてもらう。あとは此処にやってくるアンタのお人形ちゃんと仲良く会話でもしてさっさと死ね」

 

 そう言って、俺は転移魔法を行使する。その手はカプセルに着いており、転移魔法の対象に含まれている。この子を回収できれば彼女の企みは邪魔出来るだろうし、後々やってくるなのは達管理局に任せておけばプレシアも確保出来るだろう。フェイトとの事は追々転生者達がなんとかしてくれる筈だ。俺は関係ない

 

「じゃ――――See You Again」

 

 そう言って俺はその場から転移、自分の家へと帰って行くのだった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「っと、重っ!」

 

 転移魔法を使ったはいいが、カプセル重いわ。さっさと家に入ろう。

 

「ただいま」

 

「あ、兄ちゃんお帰り。朝から何処に行ってたん?」

 

「ま、ちょっと昆虫採集を」

 

 そういってカプセルをゴトッと床に置く。すると、はやては笑顔で

 

「そっか。これまたデッカイ大物を捕まえてきたなぁ流石は兄ちゃ……ってなんでやねん!」

 

「さすがははやて。ノリ突っ込みはお手の物だな」

 

 まぁ、確かにこんな大物を持って来られたら俺だってそんな反応をするだろう。とてつもなく面倒な物を持って来たのは理解できるからね。

 

「はい、これ公園で拾って来た死体でございやす」

 

「し、死体!?」

 

「Exactly」

 

「黙れ!」

 

 まさかはやてに英語を理解出来る脳があるとは思わなかった。でもまぁ感覚的な物なんだろうな。意味は理解できてないと思う。絶対ね。

 

「さて、朝食出来てる?」

 

「え? うん、出来とるで」

 

「じゃ、食べよう」

 

「せやな。それじゃあ朝ごはん食べよか。話はその後や」

 

 そう言って、俺とはやては死体を視界の中に入れながら朝食を食べ始めるのだった。はやては若干落ち着かないようだったが、いつも通りおいしい食卓でありました。

 

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