◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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デリカシー

「という訳で、生き返りました」

 

「はぁ? 生き返ったやて? 頭おかしくなったんか兄ちゃん」

 

「いやいや、見てみろ。ちゃんと呼吸してるし、心臓も動いてるだろ?」

 

 さて、現在帰宅したはやてに未だ寝ているアリシア・テスタロッサを見せた。正真正銘死体だった彼女は今や正真正銘生きた少女に戻っている。まぁ、あの魔法コンボで生き返らせられるのは今回みたいなケースだけだろうな。死んで時間が経った死体はいずれ腐るし、肉体だっていつまでもその形を保っていられるわけではない。今回の様に死体を完全に保存して、綺麗な状態のまま保っていればなんとか蘇生が可能だろう。だが、実はこの魔法コンボ、やけに魔力を喰う。しかも、偽蘇生魔法は使用後しばらく魔力回復が通常の半分になり、覚醒魔法は使用後一時的に魔法の使用が出来なくなる、というデメリットがある。

 まぁ、あまり魔法を使用しない俺としてはさして障害にはならないから問題ない。

 

「ほ、ホンマや……生きとる」

 

「だろ?」

 

「で、でもなんで?」

 

「なんか生き返った」

 

 俺の言葉に更に困惑するはやて。だが、まぁ俺も同じ立場だったらきっと同じ反応を取っただろう。何せ、ちょっと席を外して戻ってきたら死体が生者に戻ってるなんて、信じようにも信じられる事ではない。

 

「ま、まぁええわ。生きてる事はええ事やし……」

 

「そうだろ。で、この子はしばらく家で面倒見るから、いいよね?」

 

「え? ああ、まあ部屋はあまっとるし、別に構わへんけど……その子目覚めたらどう説明するん? 死んで生き返ったなんて、そうそう受け止められる事やない思うねんけど……?」

 

「んー……まぁ、その辺は俺がなんとかしとくよ。この子の親類には心当たりがあるし、落ち着いたらそっちの方に渡そうと思う」

 

 親類と言うのは、フェイトの事だ。まぁ、あの様子ならプレシアも生きているだろうし、アリシアが戻ってくれば親子仲良くまた暮らせるんじゃない? という考え。

 とはいっても、この事実を突き付けるのはいささか気が引ける。どうしたものか。

 

「そっか……じゃあその辺は兄ちゃんに任せたで。それじゃあウチは昼ごはんの準備してのんびりするわ」

 

「おー……ダラダラして将来太ってしまえ」

 

「うるさいわ、デリカシーっちゅーのを考えろや!」

 

 そう言うと、はやては部屋を出てぷりぷり怒りながらリビングへと向かって行った。

 

「んー……じゃあ俺はこの子の面倒でも見てますか……それにしても、覚醒魔法とか言ってるけど……魂とか幽霊とか……本当にあるもんなのかな?」

 

 ほんの少しだけ気になっただけの事。呟く様に言うと、その言葉は静かな部屋の中に消えていく。目の前のアリシア・テスタロッサは未だ眠ったままだが、先程まで死体だったのだ。なら、生き返った今……魂と言う物が戻ったと言えるのなら、魂とは一体何なのか、どういう物なのか―――少しだけ気になる所ではあるな。

 

「まぁ……気になるだけだけどさ」

 

 俺はそう呟いて、天井を見上げるのだった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 なのはside

 

 

 ジュエルシード事件も終わって、私、高町なのははアースラから海鳴市の自分の家に帰ってきています。クロノ君の話だと、フェイトちゃんの罪はかなり軽くなるみたいで、あまり重い処罰は下されないだろうとのこと。

 プレシアさんについては、何処から手に入れたのか火喰君が管理局に都合の悪い情報を集めたらしく、それを使って交渉してくれたみたいで、プレシアさんもフェイトちゃんと同じであまり重い処罰は下されないと決まったそうです。

 

 肝心のフェイトちゃんとプレシアさんの関係ですが、火喰君がプレシアさんに発破をかけてお説教したみたいで、そのおかげかプレシアさんはフェイトちゃんに向き合って行く事を決めたらしいです。その事を聞いた時は正直、安心したというよりとても嬉しかったです。

 でも、プレシアさんはこれから管理局のお手伝いをするらしいのですが、それと同時に攫われたアリシアちゃんの身体を探すらしいです。やっぱり、自分の娘だから死んでしまったとはいえ簡単に諦められないんだと思います。

 

「でも……」

 

 ジュエルシード事件は終わりましたが、私には気になる事が一つだけありました。それは、私の通っている学校の担任の先生。珱嗄先生の事。

 いきなり現れて嵐の様に、やりたい事をやって去って行った先生。それに、アリシアちゃんの身体を持って行ったのも先生。どうしてそんな事をしたのか、なんで魔法の事を知っているのか、分からない事はたくさんあります。

 

「……明日、学校で先生に聞いて見よう。お話しないと分からない事もあるもんね!」

 

 決めた。私は私なりに先生に直接ぶつかって行けばいいんだ。フェイトちゃんにそうした様に。そうすればきっと分かりあえる筈。アリシアちゃんの身体もちゃんと返して貰わないと、フェイトちゃんの大事なお姉ちゃんなんだから。

 

「なのはー、御飯よ」

 

「あ、はーい!」

 

 でも、今は……久しぶりのお母さんのご飯を堪能するの!

 

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