◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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原作組の戦闘

 珱嗄とアリシアが戦闘をほぼ終えた時、ヴィータ達もまたクロノを追い詰めていた。元よりベルカ式に変えていないクロノとベルカ式のデバイスを持つ守護騎士二人。この時点でもかなり差があるのに、クロノは経験量においても魔力量においても人数においても二人に劣っていた。

 さらに、ヴィータの超近接高火力戦闘はクロノの得意とする中・遠距離戦闘とはかなり相性が悪い。また、ヴィータの方が実力が上の為に、接近戦に力技でねじ込まれるのだ。これにはクロノも劣勢を強いられていた。

 さらにそこへザフィーラという援護するもう一人の騎士がいるのだ。行動範囲まで大幅に狭められ、クロノは防戦一方、攻撃すら出来ない状況だった。なのはやフェイトの援護が有れば、と考えたりもするが、その二人と転生者勢は既にやられている。援護は期待できない。

 

 そんな中でここまで戦闘を続けられているクロノは、やはり執務官という役職に付いているだけある。砲撃魔法や高速機動のなのはやフェイトにより、気付かれていないが彼女達より実力は上なのだ。

 

「ぐっ……はぁっ……はぁっ……!」

 

「いい加減くたばれぇえええ!!!」

 

 ヴィータがカートリッジをリロードし、ベルカ式特有の一時的な爆発的高魔力を得る。それにより、通常以上の火力を引き出した。

 

「ラケーテンッ!! ハンマー!!!」

 

「がっ……ぐぅうううう……!」

 

 ハンマーの片方が尖った形に変わり、もう片方からロケット噴射が噴き出る。勢いはどんどん増していき、何とか障壁で守るクロノだが、魔力はとうに尽きており、身体もボロボロだ。そんな状態で、この攻撃を守れる筈もなかった。

 

「ぶち抜けぇええええ!!」

 

『了解』

 

 ヴィータのベルカ式デバイス、グラーフアイゼンの了承の返事は有言実行、クロノの障壁をガラスの割れる様な音と共に打ち砕き、クロノにその鉄槌を叩き付けた。

 クロノはその攻撃の前に、為す術もなく吹き飛び地上に向けて吹き飛んで行き、地面に叩き付けられた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 息切れするヴィータの手にあるアイゼンが、カートリッジの薬莢をガシャンと弾き出し、熱処理の為に内部の熱を外へと勢いよく噴き出した。

 

「大丈夫か、ヴィータ」

 

「ああ、大丈夫だよザフィーラ。っと、珱嗄とアリシアはもう終わって―――」

 

「終わってるよ」

 

「へへへ~、ヴィータちゃんビリッけつ~」

 

 そこへ珱嗄とアリシアがやって来て、そう言った。それぞれがやってきた方向を見ると、なのはとフェイトは気を失いつつバインドで空中拘束中。火喰はマンションの壁にめり込んでおり、神崎は海に浮かび、會田は地面にクレーターを作って倒れていた。

 ヴィータは珱嗄の転生者勢へのやり口に若干引きながらも、とりあえず敵を全員殲滅した事に大きく息を吐く。

 

「さて、時間は……18時54分。ギリギリだな……さて、もうすぐ門限だ帰るぞ」

 

「でもよ、この結界どうすんだ? 正直この結界は何十人の魔導師達が張ったとびきり固い奴だ。あたし達じゃ……」

 

「……だよね~……まぁ、俺も魔力はそんなに残ってないから何とか出来る魔法も使えないし……アリシアは元々バインド以外は身体強化の魔法しか覚えてないもんなぁ……」

 

 そう、珱嗄は神崎達の無駄にしつこい攻防に無傷でありながらも魔法を結構使ったのだ。そのせいで、現在残っている魔力は雀の涙ほど、結界をどうこう出来る魔法を発動するには魔力が足りないし、周囲の魔力を集めるのにも核になる一定の魔力が必要なのだ。どちらにせよ、今の珱嗄達に結界をどうにか出来る程の手段は無かった。

 

「まぁ殴って壊しても良いんだけど……あまりやりたくは無いな」

 

「……ここは仕方ない。闇の書のページを多少使うが、闇の書を使って結界を壊そう」

 

 ザフィーラの提案。珱嗄達は、いた仕方ないという感じで了承。ザフィーラが闇の書の魔力を掻き集め、結界を壊す程の高火力魔法を発動させた。

 

 結界の上空に暗雲が浮かび上がり、黒紫色の魔法陣が現れる。その中央に黒い魔力が集まって行き、大きな砲撃と化した。

 

 まるで核爆弾を落としたかのような音を轟かせて、結界を破壊し土煙を上げて衝撃波が飛び散る。その衝撃でなのはとフェイトのバインドが時間を待つ前に罅割れ壊れたが、管理局の魔導師が二人を回収して転移して言ったのが見えたので、珱嗄もアリシアも心配はしなかった。

 

「帰るぞ」

 

「おう」

 

「ああ」

 

「はーい」

 

 珱嗄の声で全員がバラバラの方向へ飛び去っていく。はやての家を知られないようにするためだ。転移を繰り返し、管理局の追跡を振り切ってから帰る。いつものやり方だった。

 

「さて……18時57分、ギリギリだな」

 

 珱嗄はそう呟いて、高速で飛ぶ。転移魔法が魔力不足で使用出来ないが故の高速機動。地面を走ったり空を飛んだりとかく乱し、転移する場合と同様の振り切りを見せた。

 

 

 こうして、管理局陣営と闇の書陣営の二度目の衝突が終わった。結果を見れば、主力魔導師が全員撃墜、容疑者にも全員逃げられるという結果に終わり、管理局陣営の大敗であったのだった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 俺はあの後2分ほど全力走行を繰り返し、はやての家へと帰って来た。時刻は18時59分、とてもギリギリだが門限には間に合った様だ。

 

「おかえり兄ちゃん。ご飯出来とるで」

 

「ああ、ヴィータ達は?」

 

「皆帰ってきとるよ。兄ちゃんが最後や」

 

「そっか」

 

 そう言って、俺とはやては一緒にリビングに入る。そこにはアリシア達の姿が有り、晩御飯が待ちきれないといった様子だ。

 

『ザフィーラ、ページはどれくらい減った?』

 

『ああ……602ページあったのが、597ページまで減ってしまった……』

 

『まぁ、いいだろう。とりあえず597ページもあればあとは俺達の魔力でどうにか補えるだろ。上々だ』

 

 ザフィーラと念話でやり取りを終えて、俺も食卓に付く。はやてが今晩作ったのは、最近寒い季節になってきたので鍋。最近は温かい物を作る様になったので、季節の変わり目だなぁと感じるな。

 

「じゃ、いただきます」

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 そうして俺達は、毎日と同じ様に賑やかな食卓を飾るのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 管理局side

 

 

「状況は芳しくないわね……」

 

「はい。プレシアの事件の時に現れた男性……とんでもなく強いです。それに……死んでいた筈のアリシア・テスタロッサが何故か生き返って、その上滅茶苦茶強いです。魔力計測をこっそりやった結果、あの男性はAAAランク、アリシア・テスタロッサに至ってはSSランクと来てますからね」

 

「アリシアは元々大魔導師の私から生まれた娘よ。それくらいの素質が有ってもおかしくは無いわ」

 

「プレシア……貴方はアリシアさんの事を知ってどうするんですか?」

 

 なのは達主力勢が治療を受けている間、リンディ、エイミィ、プレシアの三人はちょっとしたミーティングを行なっていた。

 そこでリンディが気になったのが、今でこそ病気も神崎の無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)によって生み出された回復武器と會田の魔力吸収を使った治療で完治している物の、アリシアの事がまだ引き摺っている彼女の行動だ。アリシアが生きていると知れば、彼女はまた何か起こすかもしれないと考えたのだ。

 

「安心しなさい。今更何か起こす気は無いし、アリシアも悪意が有ってやっている訳じゃなさそうだもの。きっと、この件が終わればまた話せるわ。……まぁその時に私の心の準備が整っていれば、だけどね」

 

 プレシアは、少し苦笑してそう言った。今でこそフェイトとともそこそこ娘と母親の関係を築いているが、アリシアとはまだ面と向かって話せるかと言われれば言葉に詰まるだろう。何せ、自分がアリシアとフェイトにした事に対して、未だに罪の意識が残っているのだから。

 

「そう、アリシアさんが悪意を持っていないと分かるのは……母親だからかしらね」

 

「あら、貴方だって分かるでしょう? 一人の息子を持っている母親である貴方なら」

 

「うふふ、そうね。子供を持った母親は大変ね」

 

「全くよ。でも、だからこそ母親は幸せなのよね」

 

「分かってるじゃない」

 

 いきなり事件の話から母親談議に変わったことで、取り残されたエイミィは苦笑しながらその場を退室する。とりあえずはなのは達の容体を確かめに行こうとその足を医務室へと向けたのだった。

 

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