◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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嫌な予感

 さて、二度目の衝突を終えた日より時間が経ち、今では減ったページを取り返す為にまた少しづつ蒐集を行なっていた。

 今回は、俺とアリシアは家で待機し、シグナムとヴィータ、ザフィーラの三名が蒐集活動へ赴いている。それというのも、俺は教師の仕事があるしアリシアもはやてを助ける魔法を実行するに当たって必要な技術を会得する為に訓練に明け暮れているのだ。とりあえず、空間魔法を発動させて別空間に修行スペースを作っているからそこで訓練して貰っている。

 

 管理局の奴らは、この数日でおそらく主力陣営は復活しただろう。転生者勢はそこそこ痛めつけたからまだ完治しているかは分からないが、気絶させただけのフェイトやなのは、ヴィータに一撃貰ったクロノの方は恐らく復活していると思う。

 

 その辺がシグナム達を邪魔しないと良いんだけど……まぁ、転生者勢が出てくる可能性は低いから大丈夫かな?

 

「―――がこうなって、このxに(x-2)を代入して……」

 

 そう思うのだが、何か嫌な予感がしていた。シグナム達に危険が迫っているという訳ではなく、闇の書自体に何かアクシデントが起きそうな、そんな予感。

 

「(ただの勘違いならいいんだけどな……)」

 

 俺はそう考えつつ、チョークを地面に落としてしまった。割れたチョークを見ると、粉々に割れた部分がまた嫌な予感を募らせたのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 珱嗄がシグナム達の身を案じていた時、その嫌な予感が少なからず当たっていた。

 シグナムとヴィータは別々に行動していたのだが、その両方に管理局の主力メンバーが当たって来た。ヴィータの方はなのはが、シグナムの方にはフェイトがやって来て、戦闘となっていた。

 

 そして、ヴィータは命からがら逃げようとしてなのはの予想外に馬鹿でかい長距離砲撃魔法を喰らいそうになり、そこを―――仮面の男に助けられた。

 いきなり現れたそいつは、ヴィータに早く逃げろと促し、なのはに強固なバインドを仕掛けてヴィータを逃がした。ヴィータも少し疑ってはいたが、ありがたい展開だったので素直に逃げたのだった。

 

 

 そして、シグナムの方にもその変化はやってきた。フェイトとの勝負の最中に、仮面の男がやって来たのだ。そいつは、フェイトの胸を背中から貫いてリンカ―コアを抽出してみせたのだ。

 どう考えても、ヴィータの場所から転移してくるにしても速過ぎる移動。困惑するシグナムに、そいつは無感情な声色で、言った。

 

 

「さぁ……奪え」

 

 

 シグナムは、その言葉にはっとなる。確かに、ここでフェイトの魔力を奪えばページは一気に埋まり、珱嗄のいうはやてを助けられる魔法を使用するのがより早くなる。それは、シグナムにとっても特になる物だった。

 

 苦渋の決断を迫られ、騎士としての誇りと主の命を天秤に掛け――――シグナムは主の命を迷う事なく取った。

 

「っ……すまない、テスタロッサ」

 

 シグナムはそう言って、フェイトの魔力を蒐集する。それによって闇の書のページは621ページまで埋まった。フェイトはその蒐集のせいで気を失い、仮面の男は黙って消えて行った。

 

「フェイトっ!!」

 

 そこへやってきたフェイトの使い魔、アルフ。シグナムは男が消えた事で抱きかかえたフェイトをアルフに任せ

 

「言い訳は出来ないが……すまないと伝えてくれ……」

 

 一言謝って転移した。アルフはフェイトを抱き抱えて呆然と去っていくのを見ているしか出来なかった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

『―――なるほど……仮面の男、ね』

 

『ああ、ヴィータとシグナムを助けて何もせず去って行った。おかげでページは十分埋まったが……正直良い気分とは言えないな』

 

 珱嗄は学校での仕事を終え、早々に帰路についていた。既に空は赤く染まっており、そろそろ暗くなってくる時間帯。そんな時、ザフィーラと念話で今日あった仮面の男の話を聞いていた。

 

『そうか……分かった。とりあえず、そいつが何を考えているのかは知らないが……もう蒐集の必要はないんだ。奴らが何を企んでいようと、多分無駄だ』

 

『分かった。とりあえず、詳しい話は全員集まってからにしよう。ページも集まったのだからな』

 

『おう。それじゃ、またあとで』

 

 そう言って、珱嗄は念話を切る。

 

 そして、仮面の男に付いて考えをまとめ始める。ザフィーラとの念話で、珱嗄は『やつら』と言った。これは、仮面の男が複数いると見ているからだ。

 まず、仮面の男は通常ありえない速度でヴィータとシグナムの場所を移動してきた。個人での転移魔法は存在しているだけでも多くあるが、珱嗄でも持ち得る転移魔法を使ったとしてもあの速度はありえない。

 それはつまり、現存している魔法でも過去未来の魔法でも、そんな芸当を魔法で行なう事は不可能なのだ。珱嗄は全ての魔法を知り得ているのだから。

 

 となると、別々の個体が別々の場所へとやってきたと見た方が辻褄が合うのだ。最低でも二人、組織だって動くには随分と干渉が小さい事から、動いているのは組織ではなく二人以上の仮面の男を含めた少数人。

 

 目的は闇の書を使った何か。珱嗄の知識の中にある闇の書は、元々夜天の書と呼ばれるものであり、その力は管理者権限で主しか使えない上に、全てのページを埋めないと主も闇の書の力を使う事は出来ない。

 となると、仮面の男の目的は全ページを埋めて、その後闇の書を奪う事か……はたまた破壊する事。

 

「ま、それなら既に破綻した計画だけどね」

 

 そう、珱嗄達は既に目標のページを蒐集し終えている。闇の書が完成する事は無いのだから。

 

「さて、それじゃあはやてを救うとしよう。下準備は終わったのだから」

 

 珱嗄はそう言って、辿り着いたはやて宅の扉を開いたのだった。

 

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