◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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不憫な科学者

 さてさて、黒幕スカリエッティをぶっ飛ばした事で幾らかストレスも発散出来た所で、俺はスカリエッティとナンバーズの二人の襟を掴んで引き摺り、研究所外へと出た。そこにはシスターシャッハとロッサが待ち構えていた。更に言えば、フェイトもいる。どうやらジェイル・スカリエッティを捕まえに来たようだ。

 

「お、フェイト達じゃん。丁度良かった」

 

「お、珱嗄さん……なんでここに?」

 

「ちょっとコイツをぶちのめしに来たんだよ。殺すつもりだったけど、どうせなら有効利用してやろうと思って」

 

 俺はスカリエッティをぐいっと前に突き出した。フェイトは突き出されたボロ雑巾の様なスカリエッティを見て目を見開いた。

 俺はそんなフェイトをスルーして、ボロボロのナンバーズを投げ捨てる。そしてスカリエッティの身体だけを持って引き摺るように歩き始めた。ヴィヴィオはきっと、あの馬鹿でかい変な船の中に居るのだろう。えーと、俺の知識によれば、ロストロギア聖王のゆりかご、だそうだけど。まぁガジェットやら何やらで忙しそうだねぇ

 

「面倒だ。全部潰してしまおう」

 

「珱嗄さん! どこへ……」

 

「決まってるだろう。俺の娘を迎えに行くんだよ。お前は新人達の手助けにでも行けや」

 

 俺は背後から慌てて問いかけてきたフェイトにそう答えて、地面を蹴る。空を蹴って進み、聖王のゆりかごへと向かう。ガジェットが襲い掛かってくるが、スカリエッティを振り回してぶつけることで破壊していく。壊して壊して壊しまくる。武器(スカリエッティ)から何やら呻き声が聞こえてくるが、気のせいだろう。

 

「ぶげっ! ごぶっ! ぶるぁっしゃあああ!!?」

 

「オラオラオラオラオラオラ!」

 

 殴り続けて数十回。ジェイル・スカリエッティは半端ない位に満身創痍な体で随分と武器として役に立ってくれている。まぁあれだ、殴る度に俺のストレスが解消され、むしろ今では爽快感がメーターを振りきっている。超楽しいィィィ!!! なんてね。

 

「さて……」

 

 殴る手を止め、辿り着いたのは聖王のゆりかごの真上。ガジェットと戦うはやて達の姿が真下に見える。

 

 さて、俺が此処までやって来た理由は一つだ。先刻より準備していた魔法を使うべくやって来たのだ。はやての得意とする広域殲滅魔法のスケールアップ版、超極大規模広域殲滅魔法。過去と未来と現在全てを合わせても数えるほどしか存在しない稀少魔法だ。

 その効果範囲は、自分の魔力量と質、そして魔法の負荷に耐えられる身体能力に比例する。俺の場合は、その全てがほぼ最高の素材なので、随分と広い。その範囲は、俺を中心に直径90km。その範囲内に居る敵性生物や無生物を殲滅する魔法。それが超極大規模広域殲滅魔法。

 

 今回使うのは、その中でもかなり使い勝手の良い魔法。その名も【拘束壊滅魔法】。バインドの最終究極形。アリシアの【魔法殺しの鎖《マジックオブキリングチェイン》】はこの魔法の簡易バージョンだ。

 

 拘束した対象をそのまま分解、消滅させる魔法。その威力は絶大で、しかも対象を術者が選ぶ事が出来る魔法故に、味方を拘束することは無い。

 だが、ここまで使い勝手が良く、強力な魔法だ。リスクは当然ある。

 

 それは、肉体への圧力負荷。魔法が発動している間、術者の身体へ絶え間なく魔力による圧力が降りかかる。並の魔導師なら5秒発動すればいい方だ。それ以上行けば、圧力に身体が負けて死んでしまうだろう。

 だが、そこは流石の人外の身体。圧力なんて何のそのだ。実質リスクなしだぜ。

 

「さて、消し飛べ鉄屑共。俺の娘を返して貰おうか」

 

 その言葉と同時に全てのガジェットがバインドで拘束された。動きの止まるガジェット、そして次々とそのバインドの中で分解され、爆発していった。

 

「もういらねーや」

 

 俺はそう言って、発動を停止。スカリエッティを投げ捨てた。地面に落ちていくスカリエッティ、高度はそこそこあるから多分死ぬだろう。というか、死んだところで関係無いし、どうでもいい。

 俺は落ちていくスカリエッティに目もくれずにゆりかごへと駆けだす。空を蹴り、急いでガジェットが出て来ていた射出口から中へ入る。

 気配察知でヴィヴィオの位置を探り、その途中でクアットロの位置も分かった。どうやらディエチもいるようだが、関係無いな。

 

「さーて、ヴィヴィオ。お前の父親が迎えに来ましたよ?」

 

 俺はそう言って、走り出し、ゆらりと笑った。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「……出鱈目すぎるで、兄ちゃん……」

 

 はやてはそう呟く。何故なら、自分達が今まで戦っていたガジェットの全てがたった一人の魔導師によって破壊された。その総数はおそらく10万体を超える。切りが無かったガジェットの群れが一瞬で消滅したのだ、それは驚愕もするだろう。

 

「……でも、これで動きやすくなったで! 皆! まだ終わってないで! ゆりかごの中になのは隊長とヴィータ副隊長、それに珱嗄さんが入ってった。中の事は任せればええ! 私達はまた出てくるガジェットの殲滅に当たれ!」

 

 見れば、ゆりかごからまだガジェットが出てきている。だが先程よりは少ない数だ、たった一人で出来たのだ、自分達が出来ない筈は無い。

 

「皆、ここが踏ん張りどころや!」

 

『了解!!』

 

 はやて達は精一杯声を張り上げる。少ない魔力を絞り出し、最後の最後まで戦う。ゆりかごから放たれる魔力砲、ガジェットの攻撃、全てに対して全力を尽くす。全員が同じ様に不屈の闘志を抱いて戦う。

 それが八神はやての設立した部隊。機動六課なのだから。

 

「はああああああ!!!!」

 

 八神はやてと機動六課の隊員達、そして他の部隊の局員も、全員が戦う。ガジェットなんかに負けていられないのだ。一人一人が自分の正義を持っていて、その正義に従って戦っている。そんな強い思いを持つ彼らが、ガジェットに負ける筈がない。

 

「負けへんで、全部護って仲良くハッピーエンドや。根性みせたるで!」

 

 八神はやてはそう言って、また魔法を発動させたのだった。

 

 

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