◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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ヴィヴィオ救出

 さて、俺はあのまま進んでやっとこさヴィヴィオのいる聖王の間とやらにやって来ていた。というか、聖王の間に続く扉の前だった。中から感じる気配は一つ。ヴィヴィオ唯一人だ。

 やっと会えるな。誘拐されてから何日経っただろうか? 体感時間とすれば1ヵ月位だな。実際は1週間位かもしれないけど。

 

 でも、後一枚だ。この目の前にある薄壁一枚越えれば会える。俺はそう考えて拳を握る。

 

「―――――迎えに来たぞ、ヴィヴィオ」

 

 殴る。それだけでこの壁は壊れる。ガラガラと壊れていく扉の先には、玉座に座るヴィヴィオの姿。その隣にはクアットロに姿も有る。だがまぁそいつには気配を感じないので立体映像とかそんなんだろう。

 とはいえ、立体映像なら気にするまでもない。無視しよう。

 

「うふふ、来ましたね」

 

「ヴィヴィオ、迎えに来たぞー。起きろ」

 

 無視しよう

 

「これから陛下は完全な聖王へとなるのですから、邪魔しないでくださいねー?」

 

「ったく、いつも朝は弱いんだよなコイツ」

 

 無視しよう。俺はヴィヴィオの下へと近づく。クアットロの映像がなにやら焦っているようだが関係ないな。

 

「あ、あれ? あの聞いてます?」

 

「ほら、ヴィヴィオ」

 

「ん、パ……パ?」

 

 無視しよう。さて、ヴィヴィオが起きた事だし、こんな白けた場所とはおさらばだぜ

 

「おう、迎えに来たぞ」

 

「パパ!」

 

「さ、帰ろう」

 

「うん!」

 

 俺はヴィヴィオの腕を椅子に縛り付けている拘束具を砕いて抱き上げる。聖王のゆりかごとは、レリックと全く関係ないロストロギアだが、聖王とレリックは関係が少しだけあったりする。まぁこの場合はヴィヴィオとレリックだけど。

 とどのつまり、ヴィヴィオにレリックを融合させることで聖王の代用品にしている訳だ。となれば、そんな危険物は早々に取り除くに限る。

 

「排出っと」

 

「?」

 

 ヴィヴィオの背中からヴィヴィオに気付かれないようにレリックを排出、そのまま空間倉庫に放り込む。これで俺の空間倉庫にはレリックが3つある事になるな。いっそ壊してしまおうか?

 

「あ、あの! 無視しないでくれます!?」

 

「さーて、帰ろう帰ろう」

 

「あの……パパ、呼んでるよ?」

 

「なんだクアットロ、立体映像の癖に何か用かコラ」

 

 ヴィヴィオに言われちゃしょうがない。少しだけ対応してやるよ。

 

「切り替え早っ!?」

 

「こっちにはお前と話す必要性がない。ヴィヴィオがいなくなったわけだし、ゆりかごも止まるだろ。これ以上どうするつもりな訳?」

 

「………」

 

 クアットロは黙ってしまった。まぁヴィヴィオを奪い去った時のあの言い方とウザイ笑みにはむかついたし、一発位殴りたい気持ちも有るけど、此処からクアットロのいる場所に行くには少しばかり時間がかかる。ゆりかごはそこそこ複雑な構成してるからね。

 でも俺としてはゆりかごはかなり有用性のある兵器だ。使いようによっては最強の切り札になる。壊してしまうのは少し勿体無いよねぇ。となると、向かうべきは駆動炉か……なのはとヴィータの二人の気配が駆動炉に向かっている。どうやら壊すつもりの様だ。

 

「ヴィヴィオ、掴まってな。ちょっと行く所が出来た」

 

「うん」

 

 ヴィヴィオが俺の首に手を回して力強く抱きしめた。さて、行くとしよう。

 

「あの、あれ? 聞いてます?」

 

「転移」

 

 駆動炉の下へと転移し、なのは達を止める。そして、この聖王のゆりかごを……ふふふふふふふふふふふ……。

 

「あれ? 私最後まで無視ですか?」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「あ、あれ? 珱嗄さん?」

 

「珱嗄」

 

「よーなのはちゃん。頑張って来て貰ったトコ悪いんだけど、外出ててくれない?」

 

 俺はなのはとヴィータにそう言う。すると、なのはとヴィータは眼を丸くして立ち止まった。ここの駆動炉は破壊されるわけにはいかないのだ。

 

「ほら、ヴィヴィオも連れ戻したし。このゆりかごは俺が責任もって対処するからさ」

 

 そういうと、なのはとヴィータはどうすればいいのか迷っている様な感じでお互い視線を合わせ始めた。ええい、ややこしい。出てろって言ったら出てろよ。というわけで、転移させます。

 

「転移」

 

「「ちょっ!?」」

 

「……さて」

 

「パパ、何をするの?」

 

 ヴィヴィオが何やら疑問の顔でそう言ってくる。まぁ父親から娘への贈り物だよ。とはいえ、少しばかり手伝って貰うけどね。

 元々この聖王のゆりかごは名前の通り聖王専用の巨大兵器だ。つまり、現代で言えばヴィヴィオ専用兵器だ。ならば、こんな便利な物を破壊しておくよりは手に入れてしまった方が良いだろう。

 

「ヴィヴィオ、ちょっとこの駆動炉に触れてみてくれ」

 

「? うん」

 

 ヴィヴィオの小さな手が駆動炉に触れる。俺はそこで魔法を発動させた。古代ベルカ、聖王時代の魔法を。このゆりかごを作った際にも使われた魔法。そうそう、闇の書を夜天の書に修正した時使った魔法でもあるな。

 

「【強制契約魔法】……発動」

 

「ふえ?」

 

 強制契約魔法はデバイスや魔導書などとの契約を強制的に結ばせる魔法だ。それは夜天の書同様、ロストロギアに対しても同じ。

 ヴィヴィオと駆動炉は光輝き、それにつれてゆりかご自体も輝き始めた。そして、駆動炉の赤い輝きは青色に変化し、ヴィヴィオは何故だか知らないけどなんか成長しちゃった。

 

「っと、これでオッケイ。さて、ヴィヴィオ帰るよー」

 

「え? あ、うん」

 

 何が何だか分からないと言った顔のヴィヴィオだが、それは後で説明するとしよう。それに、ゆりかごを手に入れるに当たって思わぬ武器も手に入れたようだし、万々歳じゃないか。

 

 ああそうそう。忘れてた事が有ったよ。

 

「ヴィヴィオ、ゆりかご内に俺達以外の人間がいるだろう? 追い出してしまえ」

 

「どうやって?」

 

「ゆりかごに命令してみれば?」

 

「えと……じゃあ『追い出して』?」

 

 ヴィヴィオがそう言うと、何処かで眼鏡白衣の女が悲鳴を上げた様な声がしたが、多分ゆりかごはヴィヴィオの言うとおりに動いてくれたのだろう。強制契約魔法の効果はちゃんと機能してくれたようだ。

 聖王云々は関係無く、今のゆりかごは本当の意味でヴィヴィオ専用兵器。命令すれば幾らでも言う事を聞いてくれるだろう。

 

「よし。それじゃ帰ろう」

 

「うん!」

 

 俺はそう言った後、ヴィヴィオを連れて転移したのだった。

 

 

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