◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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vivid編
娘と父


 機動六課。今からおおよそ4年前に解散したロストロギアの調査的なことを目的としていた組織である。八神はやてを部隊長として活動していたこの組織は、圧倒的な戦力を持ってして、当時起こった大事件、

 

 ―――聖王のゆりかご事件

 

 これを完膚なきまでに力技で解決してみせた。この事件では、古代ベルカの時代に居たとされる聖王オリヴィエのクローンである、最後のゆりかごの聖王と呼ばれる少女、ヴィヴィオが重要な人物とされており、彼女は一人の男によって保護された。今はその男の娘として健やかに成長している。

 

 さて、これはその娘の話だ。今は泉ヶ仙ヴィヴィオと名前が変わった少女の話だ。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 珱嗄とヴィヴィオは、なんとなく手頃な家に、なんとなく暮らしていた。ちなみに、珱嗄は管理局に入っていない。実の所、機動六課に入っていたのは神様の仕組んだことだったからであり、正式な管理局員としての証明書なんかは全くない訳だ。つまり、はやて達はなんの関係もない一般人を六課に入れて戦わせていたということになる。

 謝罪金が支払われ、そのお金で珱嗄は家を手に入れたのだ。で、珱嗄はこの世界における戸籍名簿というか、そういう自身を存在を証明する戸籍を持っていないことに気がついた。ソレが無いとこの先辛いであろうと、珱嗄達は戸籍を作った。ということで、現在珱嗄は見た目的にそれ位? という訳で、戸籍上19歳の青年となっている。職業は無職だ。ちなみにヴィヴィオは現在10歳。ミッドチルダにあるサンクトヒルデ魔法学院初等科4年生の現役小学生となっていた。

 

 今日は4年生となったヴィヴィオの始業式である。そんな朝の時間。

 

「パパ、起きて~」

「んー、おっけー起きた。今起きた、きっと起きた、多分起きた、おそらく………zzz」

「起きてないよ!? 良いから起きて! ご飯出来たよ!」

「わはは、はいはい」

 

 この珱嗄の家では、ご飯を娘であるヴィヴィオが作っている。所謂、八神はやての小学生時代と同じだ。ヴィヴィオがまだ小さい頃は珱嗄がご飯を作っていたのだが、育つに連れて料理を学び始めたヴィヴィオは、珱嗄にご飯を作る様になっていたのだ。とは言っても、ヴィヴィオの学校で食べるお弁当は珱嗄が作っている。

 お昼頃に作って、ヴィヴィオの下へ転移させているのだ。魔法チート万歳。

 

「そういえば今日ってヴィヴィオの始業式だっけ?」

「うん! 帰りにちょっと寄り道するけど」

「じゃお弁当いらないな。なるべく早めに帰ってきなさいよ」

「何かあるの?」

「んにゃ、特に何も……ああ、そうだ。ほらヴィヴィオ、これ進級祝い」

 

 珱嗄はヴィヴィオの作った朝食の目玉焼きを咀嚼しながら、ヴィヴィオに一つの箱を手渡した。

 

「何コレ?」

「デ、ヴァ~イス」

「え!?」

 

 ミッドチルダの小学生は、魔法を使える。故に、ある程度成長するとデバイスを買い与えられるようになるのだ。ヴィヴィオも同じで、珱嗄が直々に作ったデバイスを渡されたという訳だ。

 

「ありがとう! パパ!」

 

 ヴィヴィオは箱を開ける。そこには、兎のぬいぐるみの外装のデバイスが入っていた。原作と同じだ。だが、しかし……そこはかとなく凄まじい威圧感を放っていた。

 

「……もしかしてパパ……これって」

「その通り、聖王のゆりかごを圧縮してデバイスにしちゃったぜ!」

「何してるの!?」

「だってよー、正直俺が持ってても動かせないガラクタだしさー……ぶっちゃけ使えるヴィヴィオに渡した方が早くね? って思って」

「えー……何が出来るのこの子……」

「大体何でも出来るけど……でもヴィヴィオって格闘技的なことやってんじゃん? だから補助とサポートがメインだね」

 

 ヴィヴィオはとんでもない凶器を渡された気分だった。例えるなら、核爆弾発射のスイッチ渡された気分だった。どうすればいいのと突っ込みたくなるほどだった。

 だが、そこは珱嗄の娘。コロッと素早く切り替えた。まぁいいかと。元々、珱嗄の無茶苦茶は今に始まったことではない。この父親は最強なのだ。例え自分がこの聖王のゆりかごデバイスをフル稼働させて戦ったとしても、瞬時に潰されるだろう。

 

「格闘技的なことやってんじゃんって……パパから教わってるんだけど……」

「そうでした」

「それにしても、パパの教える格闘技ってなんとなく型破りだよねー……」

 

 遠い眼をするヴィヴィオ。原作と違い、管理局に伝手が無い珱嗄の娘としては、珱嗄に格闘技を教わるしかなかったのだ。とはいえ、なのはやフェイト達とはまだ会ったりしているので、特訓的なことをやってもらったりはしているのだが、基本的にヴィヴィオは珱嗄から格闘術を習っていた。

 

「じゃあ今度ちゃんと型のある技を教えてやるよ。俺が以前使っていた必殺技だ。マスターすれば躱せる奴はいない」

「ほんとっ!? やった!」

「ほら、そろそろ時間だろ? 行った行った」

「あ、うん! それじゃあパパ、行ってきます!」

 

 珱嗄にそう言われてヴィヴィオはカバンを持って駆け出す。玄関の扉を開けて、勢いよく飛び出して行った。珱嗄はその背中をテーブルに頬杖を付いて微笑ましく見送った。

 

「わはは、随分とまぁ……元気に育ったもんだね。というかなんで俺の教育であそこまでまっすぐ育ったのか不思議でならないな……まさか反面教師的な……?」

 

 珱嗄はヴィヴィオがしっかりしている理由が自分にあるのではないかと思って、少し戦慄した。そこまで自分悪い見本だったかな? と考えて、これから少し生活見直そうかなとも考え始める。

 だが、珱嗄は次の瞬間にはその思考を切り替えた。面倒になったのだ。元々珱嗄は自由気ままに生きている。娘にとやかく言われた程度で直す筈もない、

 

「よし、明日から早起きしよう」

 

 訳も無かった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「あ、ヴィヴィオ! おはよう!」

「ごきげんよう、ヴィヴィオ」

「コロナ! リオ! おはよう!」

 

 学校に着いたヴィヴィオが会ったのは、友達であるコロナとリオだ。コロナは後頭部で髪を二つ結びにしており、どこか気品を感じる少女だ。そしてリオは頭にリボンを付け、ちょこんと伸びたアホ毛が特徴的な、活力あふれる少女である。どちらもヴィヴィオにとって大切な友達である。

 

「今日もお父さんのお世話?」

「あはは、お世話っていうか……ご飯は私が作ってるだけだよ」

「相変わらずヴィヴィオの家は親子仲良いね!」

 

 コロナとリオは、珱嗄の事を少なからず知っている。ヴィヴィオの話によく出てくるからだ。彼女達の中では、ヴィヴィオは珱嗄のことが大好きなお父さんっ子だ。まだ会った事は無いが、そこそこカッコイイらしい。

 

「うん! 今日の朝もね、今度新しい必殺技を教えてくれるって!」

「へぇ、ヴィヴィオは今の時点で凄く強いのにまだ強くなるんだ……」

「また差が開いちゃうなぁ……」

「え、いや! そんなことないよ!?」

 

 実は、コロナとリオもヴィヴィオと同じく魔法格闘技の経験者であり、共に競い合う仲なのだが、ヴィヴィオは三人の中でも飛び抜けた実力を持っている。

 その理由は、『珱嗄に』教わっているという所にある。元々珱嗄は自称近接格闘において世界で右に出る者はいない実力者だ。あまり世間には知られていないことだが、それは機動六課のメンバーだった者やヴィヴィオしか知らない事実である。

 そんな最強の男から小さい頃より指南を受けて来た格闘術のサラブレットであるヴィヴィオは、とても強かった。珱嗄の使う、型の無い自由自在な動きから繰り出される攻撃は、かなり受けづらく、何時攻撃が来るかも予測出来ない故に強い。

 

「一回会ってみたいよねーヴィヴィオのお父さん」

「ねー」

「別に良いけど……そんなに期待するほど凄い訳じゃないよ?」

「またまたー」

 

 あははと笑いあいながら、三人は歩く。始業式が行なわれる講堂へと移動するのだ。ヴィヴィオは思った。こんな平和な日々を送れるのも、珱嗄や機動六課のメンバーが4年前に尽力してくれたから。珱嗄という父親は、確かにだらしない部分もあるし、無茶苦茶な所もあるけれど、

 

 

 

 ヴィヴィオは今、確かに幸せだった。

 

 

 

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