◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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卑怯? いいえ、正当な手段です。

 ヴィヴィオとアインハルトの勝負が決着を迎えてから、彼女達は珱嗄の指導の下着々と仲を深め、そしてお互いに鎬を削りながら己を高めていた。

 あれからもう既に二週間程が経ち、学校でも会えば挨拶を交わして多少お話しする程度の仲にはなっていた。

 

 しかし、今日この日は格闘技という面に置いて一切の修行は行われない。

 

 アインハルト、リオ、コロナ、そしてヴィヴィオ、この四人は現在ヴィヴィオのお宅へとお邪魔して、珱嗄の指導の下授業を受けていた。なんの、と問われれば、勉強である。

 実はこの時期、彼女達の通う学校では、地球同様一学期の前期試験が行われる。小学生の癖になんて英才教育を受けているんだと珱嗄も内心呆れているのだが、ここで赤点でも取られたら親として叱らなくてはならなくなる。ぶっちゃけるとそれは珱嗄的に面倒臭かった。

 

 故に、こうして珱嗄は、過去教師をしていたこともあって、ヴィヴィオに勉強を教えることにしたのだ。その結果、ヴィヴィオがリオ達を道連れに―――もとい誘って来たのだ。まぁ馬鹿が何人増えようと関係無いかと考えた珱嗄は、纏めて面倒見てあげることにした。

 さて、此処で問題なのがテストの日程。勿論のこと中学校や高校の様に彼女達英才教育を受ける少年少女にも、当然の様に試験範囲などという妙に小奇麗な代物が課せられている訳ではあるが、その範囲は中々に広い。

 

 にも拘らず、テストの日程は明日なのだ。本来ならば試験範囲が配られる二週間前程には既に勉強を始めていないとおかしい筈なのではあるが、ヴィヴィオもアインハルトも、珱嗄の修行の方に夢中になって勉強を疎かにしていた。

 というか、テストの存在自体頭の片隅へと消え去っていた様だ。

 

「てことで、今日一日で明日全教科100点を取って貰います」

「えええ!!?」

「無理です」

「ヴィヴィオのお父さん……スパルタ……」

「ふふふ……テストってなんだっけ……私はそんな物知らない」

 

 悲鳴を上げるヴィヴィオと、すっぱりと無理と言い切るアインハルト。そしてそれを見ていたコロナはちょっと引いていて、リオに関しては現実逃避の真っ最中だった。

 

「出来なかったら試験休みに予定していたなのはちゃん達の異世界旅行は中止ってことで」

「鬼! 悪魔!! パパなんて大嫌い!」

「そんなっ……これが人のする事ですか……!?」

「何してるのリオ、勉強よ。項垂れてる暇があるなら一問でも多く解きなさい」

「私は誰だ……そう、かの有名な学者アルハザード……ふふふ、出来る、出来るとも……」

 

 出来ないと言う少女達に、珱嗄は無情にも過酷な事を言った。

 高町なのは、というよりもノーヴェ達が企画し、高町なのは達が協力して予定してくれた、ヴィヴィオ達の試験休み四日間を使った異世界旅行を盾に、ヴィヴィオ達に難関を強いる。

 

 この旅行は、異世界で慰安旅行的な要素も含みつつ、強力な魔導師達による魔法格闘技等の訓練を行ってくれる合宿的な意味も含んでいる。ヴィヴィオ達にとっては、夜も眠れない程に楽しみなイベントであった。

 反応は各々様々、ヴィヴィオは涙目でぷんすかと反抗し、アインハルトは絶望に四つん這いになり、コロナは瞬時に勉強を開始し、リオは自分に暗示を掛け始めた。

 

 とはいえ、珱嗄もなんの考えもなくそんなことを言った訳ではない。その為に珱嗄がいるのだ。

 

「まぁ落ち付け。俺がお前らに全教科100点を取らせてやる。校内順位で1位に名を連ねて一気に人気者だ」

「そんなこと出来るの?」

「出来る。無限書庫の司書長を知ってるか? 過去淫獣と呼ばれた男を」

「ユーノ・スクライアさんだよね? 淫獣?」

「彼の検索魔法を使えば余裕」

「なんか卑怯臭い!?」

 

 スクライア族に伝わる検索魔法、アレは闇の書事件の時も無限書庫の中に内蔵されている本を正確に検索し、その内容も凄まじい速度で情報処理する事が出来る。

 ソレを使えばたった数冊の教科書程度の情報など、余裕で頭に叩きこめるのだ。

 

「なら全員揃って試験休み中ずっと補習授業するか?」

「ははっパパったら何言ってるの魔法だって手段の一つだよ?」

「そうですよそんなの卑怯などと言いません正当な手段です」

「勉強と同じ結果が得られるんだからなにも悪くないです!」

「やってくれ、私にはソレが必要だ……!」

 

 珱嗄の言葉は決定的だった。ヴィヴィオもアインハルトもコロナも、それは正当手段としてすぐさま掌を返す。唯一リオだけが中途半端な暗示に掛かったまま中二病的ポーズを取りながらの返答だったが、珱嗄は流石は俺の娘だなぁと考えつつ、その身に宿った『人類の習得し得る全ての技術』という特典によってユーノの魔法を再現する。

 

 教科書を全てその魔法で頭に叩き込んだ珱嗄は、今回のテスト範囲の部分だけを『念話』の応用で四人の頭の中へと情報として叩き込む。ギュルギュルとテープが再生されるような音と共に、ヴィヴィオ達は完璧にその内容を頭に叩き込み、理解した。

 

「よし、これで大丈夫だな。ってことで、今日はとりあえず今の情報を基に適当に問題を解き続けること。分かった?」

「「「「はい!!」」」」

 

 やる気に満ちたその返事を聞いて、珱嗄はゆらりと笑った。

 

 

 

 

 その後、彼女達は翌日行われた試験において、全教科100点を叩き出し、貼り出された順位表において各教科トップを総舐めにした。

 

 そしてこの時、彼女達の四日間における合宿旅行が決定したのである。

 

 

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