◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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集合

 到着してからしばらく、珱嗄はロッジに備え付けてあったソファに寝っ転がって寝ていた。すっかり無職根性が染みついてしまったようで、最早動くよりもこうしてだらだらと寝っ転がっている方が多くなってしまったらしい。

 

 だが、外からわいわいと賑やかな声が聞こえてきたことで、珱嗄はふと眼を開けた。

 

 どうやらヴィヴィオ達が到着したらしい。珱嗄はヴィヴィオを家まで迎えに来たノーヴェに預けて、自分は転移魔法でやってきたから、まだノーヴェ以外の旅行メンバーには会っていない。無論、高町なのはやフェイト・テスタロッサにも会っていない。

 ちなみに、八神はやて、アリシア・テスタロッサ、神崎零の旧知の三人は忙しくて来れないらしい。

 

 のそのそとソファから立ち上がり、ロッジの玄関へと足を進める。すると、賑やかな声はハッキリとした言葉として聞こえてきた。

 

「―――お昼前に大人はトレーニングでしょ? 子供達は何処へ遊びに行く?」

 

 その言葉は、ルーテシアの母親メガーヌの声だった。珱嗄の扉に伸びた手が止まる。

 

「やっぱり川遊びかな、お嬢も来るだろ?」

「うん!」

 

 今度はノーヴェの声と、ルーテシアの返事。

 

「じゃ、大人の皆は着替えてアスレチック前に集合!」

『はいっ!』

 

 今度は聞き覚えのある女の声と、数人の返事。

 

「こっちは水着に着替えてロッジ裏に集合!」

『はーいっ!』

 

 今度はスバルの声と、子供達の返事。

 

 どうやらこれから色々と運動するらしい。どっちに付いて行っても面倒臭そうだなぁ、と考えながら、珱嗄は扉を開ける。ぼーっと半眼で頭を掻きながら扉を潜り、外へ出る。

 すると、外にいた全員の視線が珱嗄へと向いた。

 青黒い着物の裾を揺らしながら、珱嗄は欠伸をする。そして、扉から三歩ほど歩いた所で立ち止まり、ぐいっと身体を伸ばした。

 

「~~~ッはぁ……ん、皆来たみたいだな」

「パパ!」

「おーヴィヴィオ、良く来たな」

「何自分の家みたいに言ってるの! 早々に来て惰眠を貪ってたんでしょどうせ!」

「良く分かったな、流石は俺の娘だ」

「今ほどパパの娘であることが恥ずかしいと思ったことは無いよ!!」

 

 駆け寄ってきたヴィヴィオが地団駄を踏んで叱って来るが、珱嗄はゆらゆら笑って受け流してしまう。

 そんなやりとりをしていると、そこに二人ほど歩み寄って来る気配があった。視線をヴィヴィオからその二人へと移すと、そこには高町なのはとフェイト・テスタロッサがいた。エースオブエースにして戦技教導官の高町なのはと、執務官のフェイト・テスタロッサは管理局の中でも実力のある魔導師として有名だ。

 

「お久しぶりです、珱嗄さん!」

「お元気そうでなによりです」

 

 そう言って話し掛けてくる二人に、ヴィヴィオは笑顔を浮かべ、珱嗄を見上げる。

 

 

 だが、

 

 

「んー………………ああ、うんうん久しぶり久しぶり、えーと確か4年ぶりだっけ?」

 

 

 珱嗄は眼を逸らしながらそう言った。

 

「……珱嗄さん、私達のこと覚えてます?」

「え? 覚えてるよ? 勿論だよ、忘れるわけないじゃないか」

「じゃあ私の名前は?」

「魔王」

「欠片も合ってませんけどぉ!!?」

「あ、じゃあ私の名前は覚えてますか?」

「ああ、うん覚えてるよ。大きくなったなぁフェイトちゃん」

「なんで!? なんでフェイトちゃんは覚えてるのに私は覚えられてないの!?」

「そりゃ胸がでかい方を覚えるに決まってるだろうが!」

「限りなく最悪な理由だった!? 胸は大きさだけじゃないです! 形とか!!」

「形でも圧勝だろうが!」

「総合的に負けてた!? うわぁぁぁんフェイトちゃぁぁん! 珱嗄さんが虐める!」

「あ、あはは……よしよし……」

 

 再開して早々に虐められる高町なのは。機動六課時代には裸で素巻きにされて逆さ吊りにされたことといい、珱嗄に虐められる運命にあるのだろうか。

 あながち間違っていない気がしてくるのが不思議だ。

 

「パパ! なのはさんを虐めないの!」

「え? 名の破産を虐めないの?」

「名の破産って何!?」

「いや……知らないけど」

「もー! な・の・は・さ・ん! だよ!」

「へいへい、分かったよ……久しぶりだねなのはちゃん、彼氏出来た?」

「フェイトちゃん! 珱嗄さんが虐めるぅ!!」

「珱嗄さん……なのはも私もそういう話は……」

「え、そうなの? 確かもう23歳だよね? そういう話ないの? あ、そっか……そうなんだ……ごめんね、なんか」

「謝らないで! 危機感は感じてるから!」

 

 珱嗄の怒涛のボケが止まらない。そろそろ不味いな、と察したフェイトは、話を先に進めることにした。

 

「えーと、珱嗄さん……とりあえずこれからトレーニングなんですが、一緒にどうですか?」

「えー……」

「此処4年間ずっとぐうたらしてたんだから少しは身体を動かして来なさい! パパ!」

「マジかー……仕方ないなぁ」

「え? 珱嗄さんずっとぐうたらしてたんですか? ……だめですよーそういうときは運動しないと!」

 

 すると、ヴィヴィオの言葉ににやにやと意地悪な笑みを浮かべたなのはがそう言う。どうやら4年間運動もせずに過ごしていたと聞いて、今なら珱嗄にも勝てるんじゃないかと考えたんだろう。4年前は散々叩きのめされてきた訳で、その時の雪辱を果してやろうという考えなのだろう。

 

 珱嗄はそれを普通に汲み取った。

 

「……うん、まぁいいよ。じゃあ行こうかなのはちゃん―――ちょっと身体を動かそうじゃないか」

 

 珱嗄はそう言って、意地悪そうに、ゆらりと笑った。

 

 

 

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