◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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暇暇暇暇

 バーベキューも終わって、満足した様な表情の珱嗄とその後ろを茫然と歩いてくるコロナが帰ってきた。

 そして、珱嗄はアインハルトに近づいて言った。

 

「水斬り行こうぜ水斬り」

「いえ、もう良いです師匠」

 

 アインハルトは即断即決でそれを拒否した。先程の巨大な水柱が珱嗄の水斬りの結果だということを、アインハルトを含め全員が理解した。どうやら珱嗄の拳の威力は自分達の想像を遥かに越えているらしい。4年という年月が経っても、それは変わらずにいた。

 

 なのは達はなのは達でそれをため息交じりに苦笑で捉えた。正直な所、珱嗄の様な存在が管理局にいてくれればどれだけの人間を助けられるか、と思うばかりである。

 実の所、機動六課の一件が終わった後、珱嗄は管理局に就かないかと多くの部署から誘われていたのだが、それを珱嗄は全て断ったのだ。

 

 その結果が無職ニートの出来上がりな訳だが、珱嗄がそうしたからこそ神崎零が管理局でより働く羽目になったことを珱嗄は知らない。まぁ知っていても大した反応はしないだろうが。

 

「ああ、そう……結構面白かったんだけどなぁ」

 

 珱嗄はそう呟きながら、頭を掻いた。

 とはいえ、もう一度やられると流石にロッジが水浸しになるので止めて欲しいのだろう。珱嗄はまぁいいかと素直に退いた。

 

 そして、全員でバーベキューの後片付けを始め、午後のプラグラムの準備に掛かるのだった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 午後のプログラムは、大人達の救助トレーニングぐらいで、子供達は自由な時間だ。ちなみに珱嗄はトレーニングに参加するのは面倒なので、午後はゆっくり寛いでいる。

 

 現在は、ロッジの中にあるソファで力なくぐでーんと寝転がっている所だ。

 

「……あー、暇だぁー……」

 

 元々、この合宿は慰安旅行の意味合いも含んでいるが、メインはトレーニングを行う合宿だ。それを面倒だと思う珱嗄からすれば、酷く暇でしかない。普段家に居る時同様に、ぐうたらとゴロゴロしているしかないのだ。

 

「珱嗄さん、暇なら少しお話ししませんか?」

「んあ? ああ、確か……ルーテシアちゃんとコロナちゃんとリオちゃんだったか……」

「はい、今から図書室でベルカの歴史について話をしようとおもってるんです」

「……ベルカの歴史ねぇ……それなら俺の頭の中に知識としてはあるからなぁ……いいや」

「え? 知識としてあるって……どういうことですか?」

 

 そう聞くルーテシアに、珱嗄は面倒臭そうな表情を浮かべながらも答えた。

 

 珱嗄が神から与えられた特典の中に、『人間が習得し得る全ての技術』というものがある。この世界においては魔法技術も例外ではない。

 故に、魔法の技術を扱う為に、その魔法に関する使い方や由来、構成などの知識も与えられている。それらを繋ぎ合わせてみると、魔法が完成した時系列順にその由来や関連事項を追うことで、人間の歴史も追う事が出来る。

 

 詳細までは分からないが、珱嗄の頭の中には、古代ベルカでどのような戦いが起き、どのような結果に終わり、どのような人間達が生きていたのかが知識としてあるのだ。

 例えば、大した魔法でなくとも、結果的に古代ベルカの王を討った魔法という知識等、情報は数多く存在する。珱嗄の持ち得る知識は、おそらく管理局の無限書庫にも匹敵するだろう。

 

「……珱嗄さんってそんな希少技術(レアスキル)持ってたんですか?」

「まぁあまり魔法は使わなかったから分からなかったかもね。基本肉弾戦だったし、俺」

「でもそれが教会や管理局に知れたら確実に放っておかれないと思うんですけど」

 

 珱嗄の話を聞いて、ルーテシアはそう言う。古代ベルカやミッドチルダの歴史は、未だ詳しい所までは把握されていない。有名な人物や大きな出来事については分かっているのだが、失われた技術や魔法、そして古代に存在していた科学者やその顛末についての詳細は分からないのだ。

 故に、それを大まかにだが知識として把握している珱嗄の存在は、かなり希少だ。管理局や聖遺物等を管理している教会が放っておく筈がない。

 

「あー? そんなもんほっとけばいいんだって、はいこの話終わり終わり」

 

 だが珱嗄はそんな物は気にしない。いざとなれば管理局も教会も滅ぼせるのが珱嗄だ。なにか手を出してくるようなら、珱嗄は容赦なくその力を持って群がる全てを捻子伏せる。

 ただ、それだけのことだ。

 

「だから俺は良いよ、しばらくここでゆっくりしてるから」

「そうですか……」

「あ、じゃあここで話を聞かせてくれれば良いんじゃない?」

「それだ!」

 

 だから珱嗄は三人をさっさと図書室へと行かせようとしたのだが、コロナがそんな案を出した。リオもそれを名案だとばかりに手を叩く。

 ルーテシアもその案に少し考えた後、うんと一つ頷いて、コロナとリオを残して図書室へと向かうことにした。必要な本を持ってこようと思ったのだ。

 

「じゃ、少し此処で待っててね」

「はい」

「はーい!」

「……はぁ……なんで此処でやるかなぁ……」

「あはは、駄目でした?」

「んーっ……はぁ……まぁいいよ。暇してたし、それ位はね」

 

 俺は大人なんだよ、と珱嗄は言ってゆらりと笑う。コロナとリオも、そんな珱嗄の表情に、にぱっと笑顔を咲かせた。

 

 

 

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