◇2 リリカルなのはにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

97 / 112
珱嗄も強いけど、主人公もちゃんと強いのよ?

 ノーヴェに呼び出されてやってきた時、なのは達大人組が模擬戦を行っていた。少し離れた所では救助訓練をしているティアナやエリオもいるし、ぶつかり合う魔法の音と、渦巻く魔力の気配が、模擬戦とはいえなのは達の戦いの凄まじさを物語っている。

 

 なのはは元々後方支援型の魔導師ではあるものの、何故か前衛でも十二分に戦うことが出来る魔導師だ。良く言えば万能型、悪く言えば猪突猛進とも言える。彼女は後方支援だが、寧ろ率先して前に出る性分なのだ。欠点とも言えるが、十分に機能する以上長所でもある。

 連続して放たれるなのはの連続集束砲や、魔力弾は、その手数と威力故に、近づいて懐に入ることすら容易ではない。これが伝説のエースオブエースの実力、未だ現役、第一線で戦う高い実力の魔導師である。

 

 だが、彼女だけではない。そのなのはの相手をしている二人。かつて機動六課と呼ばれた、選りすぐりの魔導師で構成された少数精鋭の部隊で、当初新人ではあったがフォワードとして部隊に貢献したスバルや、キャロだって、なのは程ではないにしろ、全く歯が立たない訳ではない実力を持っている。

 

 空戦魔導師としての資質はかなり劣るものの、ウィングロードの魔法とローラーシューズのデバイスによる高速駆動を組み合わせた戦闘スタイルで、その資質の無さを補って余りある近接格闘を行う魔導師、スバル。カートリッジシステムで強化された一撃の破壊力や、かつてなのはに憧れて会得した集束魔法は、一撃で状況を引っ繰り返す事も出来る。

 そして、戦闘資質は並の魔導師並ではあるものの、竜召喚の希少技術(レアスキル)を保有し、他の魔導師を付与魔法を用いて全面的に補助出来る、後方支援を得意とする魔術師、キャロ。彼女もまた、個人ではなく集団戦闘において―――もっと言えば二人以上で戦う場合において、その戦力を何倍にも底上げする事が出来るのだ。回復、付与、強化、質の高い補助は、戦力を大幅に向上させる。

 

 この二人が今、なのはと二対一で勝負を挑んでいる。高速駆動で翻弄し、懐に入るスバルや、飛龍フリードとのコンビネーションでスバルを補助しつつ、的確にサポートするキャロ。如何に伝説のエースオブエースであっても、ひけは取っていなかった。

 

「はぁ!!」

「ふっ!!」

 

 スバルの拳と、なのはの障壁がぶつかり、隙を見せたスバルになのはの砲撃が放たれ、スバルが大きく後退する。また距離が空く。

 だがすかさずフリードの火炎弾がなのはを襲う、が、なのははそれを誘導魔力弾で撃ち落とす。

 

 一進一退の攻防が、そこにあった。

 

 

「……凄い……!」

 

 

 勿論、他のティアナやエリオも、負けず劣らず高い実力を持っている。今や、次世代を担う魔導師がすくすくと成長しているのだ。

 

 それを見たアインハルトは、素直に凄いと思った。ハードなトレーニングではあるが、疲れた様子もなくこなしている所を見れば、体力的にもずっと上なのだということが分かった。

 

「……師匠」

「ん?」

 

 アインハルトは、その視線をトレーニング風景から離さず、横に立っていた珱嗄に話しかけた。

 

「私も……私ももっと強くなりたいです」

「あ、うん、そう」

「あの……これから少し指導していただけませんか?」

「あ! パパ! 私も!」

 

 トレーニングを見ていて、身体が疼いてしまったのか今にも身体を動かす勢いで珱嗄に詰め寄る。アインハルトもヴィヴィオも、やる気満々といった様子だ。

 珱嗄はそんな二人を見下ろしながら、天を仰いで、大きく息を吐いた。

 

「あー……面倒臭いなぁ……でもまぁ訓練には付き合うって言ったし……分かったよ」

「やった!」

「ありがとうございます」

「じゃあほら、早く早く!」

「善は急げです」

 

 珱嗄が了承すると、ヴィヴィオとアインハルトは珱嗄の両手を取って、引っ張っていく。早々に身体を動かしたいようだ。珱嗄もゆっくり歩いて行きたいのに、引かれる力が思いの外強く、バランスを崩しそうになりながら、模擬戦の場から離れて行った。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「はい、それじゃあ特訓を開始します」

「はい!」

「はい」

 

 移動した先は、森の中の開けた場所だった。

 珱嗄と向かい合うように並ぶ二人は、動きやすい様に裸足にグローブを付けている。

 

「まぁ不知火は教えたから、もう特に教える様な派手な技は無いんだけど……アインハルトちゃんは『衝撃透し』でも教えるとして……ヴィヴィオはそうだなぁ……俺とスパーリングでもする?」

「え! パパと!? やる! やるやる!」

「……むぅ、私もやりたいです」

「まずは俺とヴィヴィオで『衝撃透し』を教えてあげるから、それを習得したらやってあげるよ」

「何してるんですか、早く教えてください。時間は刻一刻を争いますよ」

 

 珱嗄の言葉に物凄く鋭い勢いでシャドーボクシングを始めたアインハルト。さっさと習得して珱嗄と一戦やりたいらしい。その気合いや良し。

 

「わはは、それじゃさくっと教えますか」

「一通り教えたらちゃんと相手してね? パパ」

「はいはい、やり方だけ教えたら相手してやるよ」

「早くして下さい、ハリーハリー……速く鋭く絶え間なく……!! ハリー……!」

 

 シュパパパパ、とシャドーを続けるアインハルトに、珱嗄とヴィヴィオの親子は苦笑したのだった。

 

 




なのはさん達もしっかり強いんです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。