ストライクウィッチーズ 大怪獣空中決戦   作:サイレント・レイ

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第4話 怪鳥、飛翔す

――― アイスランド ―――

 

 

 ロンドン警察や扶桑陸戦隊の協力下に、ペリーヌ達3人によるレイキャビク基地及び周辺町村の生存者捜索が休み無く行われていたのだが、生存者処か遺体すら見つける事が出来ずに日暮れを迎えようとしていた。

 

「……リーネェ~…もう帰ろう…」

 

 だが、兄の成れの果てを見つけてからリネットが、生存者より犯人捜索に動き回っていた為、他の者達も引きずられて、とうとうエイラが音を上げていた。

 

「間も無く日暮れです。

今日は『赤城』に戻りましょう」

 

 更にリネットに同調していたペリーヌも、流石に時間的理由でエイラに賛同したが、当のリネットはと言うと、彼女らしくなく不満を露にして空の彼方を見つめていたが、突然ハッとした。

 

「……もしかしたら、夜行性なのかも?

だから昼間は姿を眩ましていたのかもしれない」

 

「だ、だったら尚更『赤城』に戻った方がいい!

録な装備が無いんだからな」

 

 リネットの予測にペリーヌが驚きながら同感としていたが、エイラや警察官達は顔を青くしていた。

 

「…せめて……せめて、一目だけでも見たいんです」

 

 自分でも我が儘な意見だとリネットは自覚し、更にそれが万に一つも叶わない事だと思っていた。

 だが不意に妙に冷たい風が吹いた後…

 

「「「……っ!?」」」

 

…何処か不気味な生物の咆哮が聞こえ……少しした後にリネット達の頭上を鳥の様な大型生物(以降は暫定的に“鳥”と呼称)が翔び去っていった。

 

「…リ、リーネさん、い、今の見ました!?」

 

「はい、アレがそうなんですよ!」

 

 どう考えても此の惨劇を作ったとしか思えない鳥を見て、少し混乱しているペリーヌがリネットに寄ってきたが、そのリネットは自分自身でも内心驚いている程に冷静であった。

 

「だとしたら…もう私達の任務じゃない…」

 

…此所では年長者ウィッチの筈のエイラは鳥の咆哮と姿に驚いて尻餅を着いてヘタレていたが、そんなエイラを何処か冷たい目線で見つめている警察官達も、彼女とほぼ同じ体勢であったのだから人の事は言えない。

 

「…っ! 何所に行く気だよ!?」

 

「ストライカーユニットの所です!

あの鳥を追いかけないと!」

 

 だがエイラが『赤城』の美緒に連絡を取ろうとしていたが、リネットが走った事に気づいて呼び止めたが、そのリネットの返事にギョッとした。

 

「何言ってんだよ!?」

 

「きっとあの鳥は餌を求めて飛び立ったんです!」

 

「無茶だ!

私達が食われる!」

 

「ですが、あの大きさに加えて此の現状から、あの鳥は人間を食べるんですよ!

ほおっておいたら、まだまだ犠牲者は出ますよ!」

 

 リネットだけでなくペリーヌ(表情が少し嫌そうだったが)も追跡すべきとの意見にエイラも嫌々ながら続いた。

 最も飛行場に戻ってストライカーユニットを履いて飛び立つ迄にかなり時間が掛かったが、幸いな事に雲が全く無い夕焼けで赤い空で南に向かって飛んでいる巨体の鳥を見失う事はなかった。

 

『…は? 鳥?』

 

 で、此の間にエイラが『赤城』の美緒に連絡を取っていたが、彼女の報告を美緒は疑っていた。

 

「…ただの鳥じゃない!

翼長が……だいたい15mもあるんだ!」

 

「アレは鳥なんかじゃありません!

私達が追っている鳥には羽毛が無くて、牙があるんです!

こんな鳥は存在しえません!」

 

 そんな美緒になんとか説明しているエイラに、異様に美緒を慕っているペリーヌまでが、血相を変えての報告してきた事に美緒が少し驚いている様だった。

 

『……だがな、信じられんぞ。

お前等を含めて……その鳥ってのが、電探に映っているらしんだが…』

 

「電探……って、レーダー?」

 

「兎に角!! 周辺海域に警戒を促して下さい!

此の鳥は人間を捕食するんです!」

 

 リネットの絶叫しながらの要請に美緒も、やっと事の重大さを理解した様だったが、リネットの「あ!!」との不意の叫びに驚いていた。

 何故かと言うと、前方の鳥が降下しだし、嫌な予感を感じながら鳥の向かう先をよく見たら、ブリタニアのと思われる遠洋漁業船団がいたからだ。

 

「……っ!」

 

「やるのかよ!?」

 

 リネットがライフルの弾を装填したのを見たエイラが、まだ怖じ気づいている様だった。

 

「やらないと、あの人達がやられます」

 

「だがな」

 

「リーネさん、行きますよ」

 

 引き吊った表情をしているペリーヌが、エイラに冷たい目線を少し向けた後、リネットに続いて銃を身構えると、リネットと共に速度を上げて鳥を追いかけ、それにエイラも嫌々続いた。

 

「…リーネさん、出来ますか?」

 

「……駄目です。

速すぎる」

 

「間に合わね!!」

 

 リネット達が追い付けない事に焦っている間に、鳥は遠洋漁業船団の前方の1隻に狙いを付けていた。

 

「……ん? 何だ?」

 

 その船の船首で作業をしていた男性が、自分達に近づいてきている鳥に気づいた。

 

「……うあぁ!!!」

 

 男性はなんの気なしに鳥を見つめていたが、その鳥の口が開けているのに気づいて、慌てて逃げようとした直後、頭から鳥に食べられてしまった!

 男性の悲鳴に加えて、突然の突風が吹いた後、仲間達が気づいて、船首に出てきて男性を探していたが、男性の左足が血を撒き散らして操舵室の壁にぶつかって落下したのを見て一斉に悲鳴を上げた。

 

「何をやってんだ!

早く中に逃げろ!」

 

 男性が鳥に食べられるのを目撃した他の船の者達が叫んでいたが、男性を飲み込んだ鳥は旋回して、今度はその叫んでいる者達の船を目掛けて鳥が近づいてきていた。

 勿論、鳥に狙われた船の者達は慌てて船内に逃げ込もうとし、最後尾の者に鳥が襲おうとした直前にリネットの銃弾が飛んできて、鳥が変な鳴き声を出して避けた為に難を逃れた。

 

「……間に合わなかった…」

 

 鳥への銃撃を続けるリネットは犠牲者が出た事に加えて、自分の銃撃が外れている事に悔しそうにしていた。

 

「ですが、アイツが犯人である確証は得られました」

 

「あわわ…」

 

 なんとか鳥を遠洋漁業船団から引き剥がせたが、リネットの銃撃を避けながら上昇していた鳥は、どうやらリネット達の存在に気付いて、急旋回をすると彼女達に向かってきた。

 

「…当たらない!」

 

 不味い事に鳥は奇襲となった初弾と違って、リネットの銃撃を悉く避け続け…

 

「来ました!!」

 

「来るな!!」

 

…更にペリーヌとエイラも射程内に入ったので、機関銃を撃ちを始めたのだが、それ等さえも鳥は体を捻るだけの必要最小限の動きで避けながら彼女3人に接近していた。

 

「ひぃ!!!」

 

「…っ! リーネさん!?」

 

 距離的に危なくなってエイラが何か変な小声を上げて退避し、ペリーヌも続こうとしたが、リネットが全くその素振りをしないのに気付いた。

 

「リーネさん、何をやっているのですか!?」

 

「……っ!」

 

 当然、ペリーヌは直ぐにリネットに駆け寄ったが、当のリネットは彼女を無視して鳥への銃撃を続けていた。

 

「リーネさん!!!」

 

「…兄の……兄さんの仇です!」

 

 リネットをなんとか引っ張ってでも退避させようとしたペリーヌであったが、リネットの呟きから彼女が復讐心で冷静な判断力が失われている事を察した。

 更にペリーヌが見た処、リネットは自分自身をも見失っている様で、鳥に避けられ続けていると言え、彼女の弾道が明らかに乱れていた。

 

「リーネ、ペリーヌ、逃げろ!!!」

 

 援護射撃をしてはいたが、えらく遠くにいるエイラが二人に叫んでいたが、ペリーヌの行為に反してリネットが全く動こうとせずにいる間に、涎を派手に撒き散らしながら咆哮した鳥と接触しようとしていた。

 

「……っ!」

 

「…ふえ!?」

 

 だがその直前にペリーヌがリネットから照明弾を奪って前方に投げると、照明弾を撃ち抜いて発光させた。

 此の照明弾に鳥が悲鳴を上げてフラつきながら失速するも2人をまだ狙っていた。

 

「…『トネール』!!!」

 

 照明弾では効果不足だと瞬時に判断したペリーヌが前に出て、固有魔法である雷遁を発動……本来は魔法力を雷に変換して放出して攻撃するモノなのだが、今回はそうせずに必要以上に発光した為、目が眩んだ鳥が悲鳴を上げながら直ぐ脇を過ぎていった。

 

「…っ! そうか、夜行性だから!」

 

 ペリーヌとリネットから逃げた事に驚いたエイラは、その理由を理解して直ぐにペリーヌと同じ様に照明弾を使って、未練がましく自分に近付こうとしていた鳥を追い払った。

 そして鳥が自分達の所に戻ってこない事を確信したペリーヌはリネットの左頬をおもいっきり張たいた。

 

「何をやっているのですか!?」

 

「……すみません…」

 

「分かっているのですか!?

死んでしまっては、仇も元も無いんですよ!」

 

 どうやらペリーヌのビンタでリネットは正気に戻ったみたいで、暫くペリーヌから目線を逸らしていた。

 況してやペリーヌはガリア脱出時に目の前で両親が死んだ壮絶な過去の持ち主なのだったから、余計に重みが感じられた。

 

「ペリーヌゥ~!! リーネェ~!!

早く此方に来てぇぇー!!!」

 

 でその間、鳥は何故かエイラを追いかけ回し、エイラが照明弾を使いながら必死に逃げ回り、ふらつきながらの鳥の突進を悉く避けているのは流石の一言だが、半ば泣き顔になっていて先輩の威厳が殆ど失われていてた。

 勿論、ペリーヌとリネットは直ぐエイラの救援に向かおうとしたが、その直前に鳥は何かに気付いて急に離れていった。

 

「…おぉ~い!!!」

 

「…っ!?」

 

「少佐!!」

 

「助かった!」

 

 どうやら美緒がシーファイアとF6Fの戦闘機隊を引き連れて来たのが原因の様だった。

 因みにシーファイアとF6Fの2種類の戦闘機だが、『赤城』がブリタニア回航時にネウロイとの遭遇戦(芳佳の初陣)で本来の搭載機の九六艦戦と零戦を全て失った為、ブリタニアからシーファイアを支給され、更に大破した『タイコンデロガ』の予備に搭載していたF6Fを拝借していたのだった。

 まぁ、戦闘機がどうであれ、シーファイア群は遠洋漁業船団の上空で展開し、F6F群は鳥を無理せずに追撃して、当の鳥もエイラ達に未練さを感じさせながら退いていた。

 

「ペリーヌ、アイツがそうなのか?」

 

「…はい……アイツ、見た目以上に狂暴です」

 

 美緒は自分なりに鳥の危険度を察していたが、報告するペリーヌも現実を受け入れる事への拒絶反応が顔に出ていた。

 

「…ですけど、状況はもっと不味いかもしれませんよ」

 

「……どう言う事だ!?」

 

 リネットの指摘を理解出来ないでいた美緒達だったが、リネットが指し示した方角を見て3人揃ってギョッとした。

 何故なら、アイスランドの上空には自分達が追い掛けていた鳥の他にも5頭もおり、計6頭の鳥達は咆哮し合いながら旋回していた。

 F6F群も鳥達を警戒して遠方で旋回しながら待機していた。

 

「なんで分かったんだよ?」

 

「被害者の数が多すぎましたし、なにより生物学的に一頭だけとは思っていませんでしたから」

 

 エイラの質問からリネットは鳥に仲間がいる事を早い段階で予測していた様で、エイラとペリーヌが驚いて美緒は関心していた。

 

「……戦艦を呼び寄せる必要があるな。

それも1個戦隊分をだな…」

 

 顔を引き吊らせる美緒の意見にリネット達は黙って頷いた。




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