ストライクウィッチーズ 大怪獣空中決戦   作:サイレント・レイ

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第5話 環礁の金属

――― サラトガ ―――

 

 

 リネット達が上層部を巻き込んで鳥群への対応策を練る事に追われていた夜間、環礁捜索艦隊に参加していたバルクホルン達三人はと言うと『サラトガ』の作戦室にて環礁の調査報告を纏めながら読み漁り続けていた。

 

「……ソナーによる測量結果、形状は敢えて言うなら楕円形、長径60m、短径40m、か…」

 

「思っていた以上に大きいですね」

 

「まぁ、殆ど水没しているからな」

 

 バルクホルンの測量報告に芳佳が驚いて、ジムが補足事項を言った。

 

「土壌の調査結果は、簡易のだから外れている可能性があるが、どうも北極の海底のモノとほぼ同じだそうだ」

 

「と言うと、アイツは元々北極にあったって言う事か?」

 

 土壌調査の報告書を読み上げたシャーリーにジムが質問したが、シャーリーは「そこまでは私は知らん」と答え、バルクホルンがムッとしていた。

 因みに環礁の土壌が分かれたのは、過去に行われたリベリオンの北極調査隊に参加していた者が偶々いたので、奇跡的に判明したのだ。

 

「でも潮に流れと目撃情報を纏めますと、環礁が北極から流れてきたのは確かな様です」

 

「だがな、プルトニウムを奪った時も含めてアイツは何度か潮に逆らっているぞ」

 

「まぁ、それを含めてあんなデカイのが、何で流されてきたのかが全く分からん」

 

 芳佳の指摘にバルクホルンが疑問を感じていたが、此の件に関してはジムの事実上のギブアップ宣言通りに完全にお手上げになっていた。

 

「だとしたら、もうやる事は一つしかないねぇ~…」

 

 シャーリーの意見に全員が頷いたが、そのシャーリーが後頭部で腕を組む何処かやる気の無さそうな感じもあって、シャーリーに同感である事への不満がバルクホルンの表情から出ていた。

 

「…環礁に危険性は無いのか?」

 

「放射能レベルは通常な上に人体に悪影響を及ぼす毒物は一切確認されていません。

ですので、上陸班は既に防護服を脱いで調査作業にあたっています」

 

 プルトニウム強奪もあって慎重な姿勢のジムは部下からの報告に頷いていた。

 因みにと言うか、当然と言うか、プルトニウムの捜索は真っ先に行われ、プルトニウムの容器は全て発見されていたが、肝心のプルトニウムは完全に失われていていた。

 そして不思議な事に、プルトニウムの容器全てに超高温でのモノと思われる損傷があり、此の事で関係者達は仕切りにくびを傾げていた。

 まぁ、此の為にプルトニウムが海に流出した事が奇遇され、更に環礁の放射能汚染が心配されていたが、そんな事が全く無く、此れも関係者達の首を傾げてさせる要因となっていた。

 

「じゃあ、短艇を用意させろ。

それと念の為にストライカーユニットも乗せておけ。

そう言う事でいいですよね?」

 

 ジムにバルクホルン達三人が了承し、シャーリーから「爆弾もたんまりとね」とのオマケが付き、バルクホルンが眉間に皺を寄せていた。

 で、バルクホルン達三人が退室しようとしたが、その直前にバルクホルンをジムが思い出したかの様に呼び止めた。

 

「………環礁に何かあったら、有無を言わずに魚雷と砲弾を撃ち込みますので…」

 

「…言われなくても分かっているよ」

 

 “何を今更言う”とバルクホルンが発して退室し、芳佳が続こうとしたが、シャーリーはジムに変な笑みを向けていた。

 

「…アンタ、あんなのが好みだったの?」

 

「はぁ?」

 

「アレはやめたといた方がいいよ。

あんな堅物、付き合ったら苦労するだけだ」

 

「何言ってんだ、お前は?」

 

「宮藤、リベリヤン、さっさと来い!!!」

 

 シャーリーとジムのやり取りに芳佳が理解出来ずにキョトンとしていたが、バルクホルンの怒鳴り声で芳佳は「はい!!」と答えながら急いで行ったが、シャーリーはなんかわざとらしく「御免あそばせぇ~…」と言いながら行った。

 

「……?

何やってんだ!

さっさと仕事しろ!」

 

 更に言うと、何かをしようとしていたジムが『サラトガ』の皆さんがニヤついていた(一部は口笛を吹いていた)のに気付いて怒鳴り、一斉に「へいへ~い…」との返事が返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 環礁 ―――

 

 

 バルクホルン達三人が環礁に上陸しようとしていた時は既に日が落ち、しかも新月で変に雲が掛かった闇夜となっていた。

 当然ながら光源が一切無い大西洋のど真ん中にいるのだから、本来は一寸先も見えない闇の中なのだが、環礁を囲む駆逐艦群が探照灯で環礁を中心にあたり一帯を照らしていたので、航海や調査作業には全く支障が出ていなさそうだったが、照らされた環礁が何処か不気味(元から不気味だったかもしれないが…)にしていた。

 

「…行くぞ」

 

「はい」

「おう」

 

 此の為にバルクホルン達は環礁の岸辺に着いても怖じ気ついて少しの間硬直していたが、意を決したバルクホルンに芳佳とシャーリーが続いて三人揃って短艇から降り、靴越しに真冬の大西洋の水温に驚きながら歩き上がった。

 だが実際に環礁に上陸すると、何故か警戒心が無くなるだげなく、それに反比例して自分でも分からない安堵感が出て、そんな戸惑いを誤魔化す様に三人各々に環礁の辺りを見回した。

 

「……なんだかなぁ~…ガキの頃にオヤジと遊んでた時の記憶が変に思い起こされるなぁ~…」

 

「シャーリーさん、実は私もお父さんとの記憶が色々と…」

 

 シャーリーの頭を掻きながらの独り言に芳佳も同感である事を伝えていて、そんな二人に目線を向けていたバルクホルンも幼き日の父親との思い出が色々と甦っていて内心驚き戸惑っていた。

 

(まさか此の環礁が父さんとの思い出を思い起こさせているのか?)

 

 バルクホルンは環礁の最頂部を見詰めながら推測していたが、その理由までは分からず硬直し、今朝方にその父親と妹のクリスの夢を見ていた為に無性に妹の顔が見たくなっていた。

 

「…戻ったら、クリスの所に行くか。

そして父さんの墓参りもしとこうかな………?」

 

 苦笑していたバルクホルンだが、不意にシャーリーの変な声が聞こえ、そちらに振り向くとそのシャーリーが少し離れた場所で錆びた金属を掘り出していた。

 

「…何なんだ、そいつは?」

 

「船の装甲の欠片みたいだ。

かなり錆びてるから『タイコンデロガ』のじゃないな。

コイツは『タイタニック』のヤツのだと思うぞ。

調べてみる価値はあるかもよ?」

 

 シャーリーは金属片を手の中で投げては転がして子供みたいに笑っていたが、そんなシャーリーが不愉快に思ったバルクホルンはなんの気無しに最頂部へ向かおうとしたが、数歩歩いたら右足の下に違和感を感じた。

 『タイタニック』の欠片だと予想したバルクホルンは右足で湿気った砂利を掘ってみたら、予想に反して銀色の手のりサイズの金属が埋まっていた。

 

「……何だ、此れ?」

 

 金属を掘り出したバルクホルンは、その金属が見た事にが無い形をしていた事もあって正体を探ろうと色々回して確認していたが、芳佳が何の気無しに覗いて思考して、思い出したのかハッとしながら手を叩いた。

 

「バルクホルンさん、此れ勾玉ですよ!」

 

「勾玉? 何だそりゃ?」

 

「私も詳しくは分かりませんが、確か扶桑の古代のアクセサリーだったと思います」

 

「じゃあ、何で扶桑の古代のモンがこんな大西洋のど真ん中にあんだ!?」

 

「私だって分かりません。

ですけど学校の授業で見た勾玉と同じ形をしているんです」

 

 バルクホルンは内心大人気ない事は自覚していたが、彼女の言う通りに扶桑の遺物が地球の裏側に存在している事は疑問であった。

 此の為にバルクホルンは勾玉は“『タイタニック』に乗船していた扶桑の考古学者の落とし物かな”と少し無理のある予想を立てていたが…

 

「…貴女方も見つけたのですか」

 

「貴女方? 他にもあるのか?」

 

「“見つけてくれ”と言わんばかりにありますよ」

 

…偶々近くを通り過ぎようとしていたリベリオンの士官に、数的理由で否定された。

 実際、士官が持っている木箱の中に勾玉が大量に入っていただけでなく、いつの間にかにシャーリーも勾玉を大量に持ってきていた。

 更にまだまだあるらしく調査隊の大半が環礁の至る所で勾玉を掘り起こしていた。

 

「コイツが言うには此の金属は扶桑の勾玉らしいんだが、正体は分かってるのか?」

 

「そこまでは分かっていません」

 

「その為に持ってくんだろ?」

 

「はい、ですが一つだけ言えるのは、此の環礁自体その物が宝島とまでは言わなくても、遺跡や古墳みたいな物なのかもしれないと言う事です」

 

「ジムに此の事は伝えているのか?」

 

「はい、今頃は『サラトガ』から本国へ考古学界への協力要請が出ている筈です」

 

 自分のに続いてからのシャーリーのやり取りを聞きながらバルクホルンは環礁が予想外の価値が秘められている事を察して驚いていた。

 

「おーい!!!

誰か来てくれぇー!!」

 

 でこんな時に、最頂部から大声での呼び声があって、勾玉を士官に託して急いで向かい、芳佳やシャーリーも続いたが、シャーリーが勾玉だけでなく『タイタニック』の金属片まで託されて士官が渋い表情をしていた。

 

「どうした!?

何があった!?」

 

 で、バルクホルンがたどり着いた時には最頂部に早くも人だかりが出来ていたが、その人だかりを掻き分けながら現場に入った。

 

「此れを見て下さい」

 

 で、呼び出し人と思われる水兵が指し示した場所にバルクホルンが視線を向けると、そこには大きな直方体の金属が埋まっていた。

 尤も地表に出ている部分は荒れていたが、大型金属はかなり深い所まで埋まっているみたいで、そしてなによりバルクホルン達素人目でも大型金属から何らかの重要さを感じさせていた。

 

「……うわぁ~…」

 

「こりゃすげぇ~…」

 

 更に遅れて着いた芳佳とシャーリーも同じ様な反応をし、バルクホルンは大型金属に近付いて簡単に触って確認して掴むと、彼女の魔法力(犬の耳と尻尾)と個有魔法の『筋力強化』を発動させて引き抜こうとしたが、大型金属は全く動く気配が無く“立ち位置”“姿勢”“掴み所”を変えて何度やっても駄目であった。

 

「…駄目だ」

 

 バルクホルンが引き下がった事にシャーリーが驚きを表情に出し、そんなシャーリーに芳佳が驚いていた。

 

「発破使いますか?」

 

「葉っぱ?」

 

「爆薬の事だよ」

 

「馬鹿!! コイツごと吹っ飛ばす気か!」

 

 “発破”に芳佳が何か勘違いをしてシャーリーが正していたが、バルクホルンが怒鳴って却下した。

 

「バルクホルンさん、どうするのです?」

 

「…ツルハシとスコップ、ああ、後バケツを沢山持ってこい」

 

「やっぱり、そう言う事?」

 

「ああ、掘るぞ」

 

 大方の予想通りにするしかない事にシャーリーが大きく溜め息を吐いた。

 

「……今夜、寝れるかな…」

 




 感想・御意見お待ちしています。

シャーリー
「…今回、此れだけ!?」

…なんで?

シャーリー
「だって、SPACEBATTLEGAILヤマトと比べて寂しいんだもん!」

芳佳
「シャーリーさん、あのハチャメチャな後書きを他でもしろって言うのは、酷だと思いますよ」
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