本編前に追加補足を一つ。
女提督の一人称は基本「あたし」ですが、上官等との真面目な会話では「私」になります。
ご了承お願い致します。
初任務で陽炎を連れて工廠にやって来た。
女督「艤装の開発か……資材も限られているし最低限の資材で開発すれば良いだろう。その方が失敗しても被害は少ない」
陽炎「そうね。開発や建造は大事だけど、それは資材が潤って余裕が出てからにしましょう」
中に入ると工廠担当の妖精が集まっていた。
妖精I「おう提督。今日がお互い初仕事だな。早速トランザムシステムでも開発しちまうか?」
妖精R「格闘特化型の艤装なんてどう?」
モブ妖精「どうします?」
女督「やる気があるのは嬉しいが今は資材が無いんだ。今日は適当に最低限レシピで造ってくれ」
(そもそもトランザムシステムって何だ?)
妖精I「まぁ、資材が無いならしゃぁないな」
妖精R「そうね。では陽炎さん、資材をこちらのバケツへ入れてください」
陽炎「オッケーよ♪」
モブ妖精「すぐに造りますです!」
妖精仕事中ーー
妖精達『すいません』ドゲザ
女督「ははは、最初だし仕方ないさ。資材が充実したら存分に造らせてやる。それまで辛いだろうが、耐えてくれ」ナデナデ
妖精達『イエス マイ ロード!』
女督「では、今日の仕事は終わりだ。ゆっくり休んでくれ」ヒラヒラ
妖精達『ふ、ふつくしい……////』
執務室ーー
女督「さて、あらかた今日の仕事は片付いたな。後はーー」
Prrrrr……Prrrrr……
女督「はい、こちら◇◇鎮守府、執務室……って、元帥殿? どうしました?」
元帥『いやなに、今日から本格的に鎮守府を運営するんだろ? その激励さ』ハハハ
女督「それはわざわざ、ありがとうございます」
元帥『気にするな。そこで、君に私からプレゼントだ』
女督「と、言いますと?」
元帥『君には半ば強制的に提督業を押し付けてしまったからね。先程、此方で建造した艦娘を数名そちらに送った。昼過ぎにはそちらに着任するだろう』
女督「いつも元帥殿の話は急ですね……。既に陽炎を始め、不知火、黒潮と私はお譲りしているのに、ですか……?」
元帥『陽炎達は正規の艦隊員ではなかった。言うなれば見習いだ。だから君の下で訓練をさせていた。ならば次は所属先を決めなくてはいけない……とそこに陽炎君達から申し出があって、私はそれを受理した。譲ったのではない……良いね?』
女督「…………はい」
元帥『気にすることは何も無い。今回は私の所から建造し送るだけの事だ。君の下で訓練して、大いにこき使いなさい』ハハハ
女督「はぁ……分かりました。お心遣い感謝します。では失礼します」
カタンーー
陽炎「司令、電話は終わった? それならお昼休憩にしない? 不知火と黒潮も訓練を終える時間だし、折角だから、みんな一緒に……ね?」
女督「それもそうだな。ならば行こうか」
陽炎「了解よ♪」
それから不知火、黒潮と合流し、鎮守府内の食堂へ来た。
食堂ーー
女督「そういえば、ここはまだ間宮や伊良湖は配備されていないから自炊になるわけだが……」チラ
三人『』サッ←目を反らす
女督「……だろうな。仕方ない、あたしが作るか」
三人『……!』キラキラ
女督「これでも家事は得意だからね。何かリクエストはあるか? と言っても下ごしらえも何もしてないから簡単なのしか出来ないが……」
妖精い「料理は出来ませんが、ご飯やパンの用意はしてありますよ!」
妖精あ「食材も揃えてあります」
女督「おぉ、それはありがたい。で、みんな何が良い?」
陽炎「簡単なのって言えば、炒飯とか?」
不知火「ふ、フレンチトーストが良いです……////」
黒潮「うちはお味噌汁とご飯があればええで♪」
女督「見事にバラけたな。まぁ、どれも簡単だしそれぞれ作ってやろう」ニコ
陽炎「手伝うわ♪」
不知火「し、不知火もお手伝いします!」
黒潮「みんなでやろか~♪」
仕度中ーー
女督(自前エプロン)「よし、みんなエプロンして手は洗ったな?」
陽炎「問題無いわ!」
不知火(し、司令のエプロン姿……////)ドキドキ
黒潮(ヤバイわ~////)キュンキュン
女督「じゃあ、陽炎はお豆腐とワカメと長ネギ、それと味噌を持ってこい」
陽炎「了解!」
女督「不知火は食パンと卵を持ってこい」
不知火「は、はい!////」
女督「黒潮はレタスとキャベツとトマトを持ってこい」
黒潮「アイアイサー♪」
女督料理中ーー
女督「はいでは、みんな手を合わせて~」
四人『いただきます!』
昼食開始ーー
陽炎「司令! この炒飯、とっても美味しいわ♪」
不知火「フレンチトーストも美味しいです♪」
黒潮「お味噌汁も良い味や~♪」
女督「ははは、そいつは良かった。ちゃんとサラダも食べろよ? 艦娘とは言え体は人間と同じなんだからな」
三人『はい!』ニコ
女督「食べ終わったらデザートにフルーツポンチもあるからな」ニコ
三人『やった~♪』バンザーイ
そして昼食を終え、みんなで食休みで母港の埠頭に来た。
陽炎「司令の料理どれも美味しいかったわ~♪」
不知火「是非とも嫁ぎたいです////」
黒潮「嫁さんに欲しいわぁ////」
女督「そんなに誉めても何も出ないぞ?」フフ
三人『……////』ドキッ
女督「」ピクッ
三人とそんな話をしていると波と風の音が変わった。
ヒューーーン
女督「伏せろ、お前達!」
三人『!!?』バッ
女督「はぁっ!」
ピシャッ!
突如飛んできた砲弾を透かさず鞭で捌き、明後日の方角へいなす。
ドーーーン!
轟音が響き、三人はすぐさま海へ視線を移す。
陽炎「はぐれ深海棲艦!?」
不知火「駆逐イ級、軽巡ト級……重巡リ級までも!?」
黒潮「最初の二隻ならまだしも、重巡まで居るんか!」
女督(いくらこの娘達でも重巡は分が悪い……しかも艤装も外してしまっている……!)
陽炎「砲撃来ます!」
女督「三人はあたしの後ろへ! はぁっ!」
パシンッ!
ドーン!
女督「お前らにあたしの命もこの娘らの命もくれてやる気は毛頭無い!」
陽炎「司令……」
黒潮「またや、司令はん!」
女督「くっ!」
ビシッ!
バーン!
次の瞬間、リ級が陽炎達のすぐ側まで接近してきたーー
不知火「司令!」
女督(またお前らはあたしから大切なモノを奪うつもりか……?)
ドクンーー
ブチッーー
女督「さぁ、踊ろうか」ニタァ
リ級「? ……っ!?」
ピシッ、パンパンパンパン!
女督「まだまだ!」
ズバッズバッ、ズビシッ、バンバンバン!
ドゴォーーーン!
リ級はまるで木偶人形のように宙を舞う。
女督「」オジギ
三人『……カッコいい////』キュンキュン
ドバーン!
三人『っ!?』
女督「何とかなったな……」フウ
残りの深海棲艦が次々と沈んで行く。
そしてその向こうから、複数の影が見えた。
元帥の言った時間通り、着任予定の艦娘達が援護してくれたのだ。
埠頭ーー
女督「着任早々、手間掛けさせて悪かったね。気を緩め過ぎていた。助けてくれたこと、心から感謝する」フカブカ
??「いえ、艤装無しの娘達を身を呈して守っていたお姿は、とても立派でした。あなたの様な提督が居る鎮守府に着任出来たことを嬉しく思います」
軽い挨拶を交わし、あたしは陽炎達とその娘達を連れて、司令室へ向かった。
司令室ーー
女督「では、改めて。あたしがここの提督だ。以後よろしく頼む。一人ずつ自己紹介をお願いしたい」
横並ぶ艦娘達で向かって右の艦娘が一歩前に出る。
妙高「私、妙高型重巡洋艦、妙高と申します。共に頑張りましょう」ケイレイ
那智「私は那智。よろしくお願いする」ケイレイ
足柄「足柄よ。砲雷撃戦が得意なの。ふふ、よろしくね」ドヤァ
羽黒「は、羽黒です。妙高型重巡洋艦姉妹の末っ娘です。あ、あの…ごめんなさいっ!」サッ
女督「ん? あぁ、あたしのこの顔の傷が怖いのか。それはすまなかった。しかし、これは馴れてもらうしかないからな……辛抱してくれ」
陽炎達『』ギロリ
羽黒「い、いえ……! ご、ごめんなさい!」ササッ
妙高「すみません。この子はすごい人見知りで。提督のお顔のせいではないのでお気遣いなく」ペコリ
女督「しかし、数名とは聞いていたが……まさか重巡洋艦四名とは……元帥殿にも困ったものだ」ハァ
妙高「あの、一つ宜しいですか?」
女督「ん?」
妙高「元帥殿から、提督の事をくれぐれも宜しくと仰せつかっておりますが……お二人はただの上司と部下の間柄では無いのでしょうか?」
その質問にどう答えようかと一瞬迷ったが、隠す必要もないので正直に答えた。
女督「あぁ、あの元帥殿は私の叔父だ。奥さんは居るが子供に恵まれなくてな……あたしのことを本当の娘のように構ってくれているが、今では実の両親より過保護なんだ」ハハハ
全員『えぇーーーー!』
衝撃的とはこの事を言うのだろう。みんな驚いて口が開いたままだ。
女督「とりあえずこの話はここまでにして、既に着任しているお前達も自己紹介してやれ」
陽炎「陽炎型駆逐艦の一番艦、陽炎よ。司令の秘書艦をしてるわ」フフン
二人『』ピクッ
不知火「……駆逐艦不知火です。以後お見知りおきを。明日はこの不知火が秘書艦となります」キリッ
黒潮「……駆逐艦の黒潮や。みんなよろしゅうな。明後日はうちが秘書艦やからな」キリッ
陽炎「……」グヌヌ
妙高「よ、よろしくお願いします」
那智(これはこれは……)フフン
足柄(面白い所に着任できたわ……)ニヤリ
羽黒(く、駆逐艦なのに、ここ、怖い……)ガクブル
こうしてうちにまた新しい仲間が増えたーー。
那智「ところで提督、貴様に聞きたいことがある」
足柄「私もあるわ」
女督「あぁ、質問を許可しよう」
那智「では……先程の戦闘のことだ。なぜ我々艦娘ではないのにリ級を屠ることが出来たんだ?」
足柄「私も那智姉さんと同じ質問よ」
妙高「私もそれは気になりました」
羽黒「」コクコク
女督「あぁ、それはあたしが自分の部下を守る為に元帥殿に特別に造らせたこの鞭のお陰だ。他にもあたしの愛用のベレッタM92とデザートイーグルもある」
那智「我々艦娘の艤装を応用した物なのか?」
女督「まぁ、簡単に言えばそうだ。しかし艤装には劣る……だがあの状況は敵がわざわざ陸に上がっていた。海上なら攻撃をいなしたり、交わすのが精々だっただろう」
足柄「陸上だとどうして勝てるの?」
女督「奴らの装甲は陸へ上がると深海のエネルギーを失う。かと言って弱くなる訳じゃないが、勝てない相手ではなくなる。だから奴らは今でもこの国の内陸部まで侵略出来ていないだろう? 厄介なのは空母くらいだ」
妙高「ならば、何故陸での戦闘ではなく海での戦闘に?」
女督「……ここからはあたしの持論になるが良いか?」
妙高「はい」
女督「仮に内陸部での戦闘をメインにしても、相手は海から無限に沸いてくる。それに海を制圧されていては我が国は貿易も出来ない。貿易で成り立っているようなこの国が貿易困難に陥れば、満足に国も回らない。だから海上を守る事を第一に考え、こうして深海棲艦に対抗できる存在である艦娘……すなわち君達の手を借りているんだと思っている」
羽黒「で、でも司令官さんのような武器を改良して沢山作れば、もっと戦いが早く終わるんじゃ……?」
女督「そう考えるのが妥当なんだがな……そんなにシンプルにいかないのが世の常だ……」
ここで話を区切り、あたしはまた話を始める。
女督「あたしは一度だけ、深海棲艦の意識に触れたことがある」
那智「深海棲艦の意識……?」
女督「そう。それは人間に対する、深海のように深く、冷たい憎悪や悲壮だった。この顔の傷はな、深海棲艦と同じ皮膚組織なんだよ。言うなれば、あたしは一部深海棲艦みたいなものなんだ……だからあたしはある程度の武器があれば奴らに対抗できるのさ」
足柄「え、深海棲艦と同じ……?」
女督「そう……奴らと同じだ。奴らの中に人間に似た奴が居るのは、あたしのように奴らの意識に触れ、取り込まれた者達や今まで轟沈した仲間達なんだろう」
妙高「では、私達は人や仲間達を殺しているのですね……」
女督「そう言われればそうだろうな。こればかりは割り切ってもらうしかない」
那智「そんな戦いに意味はあるのか?」
女督「これは大本営の見解だが、深海棲艦というのはある意味、人間が生み出したものらしい。幾度となく繰り返してきた人間同士の戦争や過去の世界大戦、度重なる環境汚染……その都度人間は海に数多くの仕打ちをしてきた。地上ならば整備し、育むことも出来るが、海はそうはいかない。そこで海は深海棲艦を産み出し、人間に仕返しをしているのではないかとな」
足柄「なら、私達は何なの?」
女督「深海棲艦に対抗できる唯一の存在。それと同時に深海棲艦と唯一、意志疎通が出来る存在なのかもしれない」
羽黒「意志疎通……?」
女督「あぁ、これも大本営の見解だが、そもそも君達が兵器なら意思と言うものは要らない。ただ使われ、壊れたら棄てる物に意思は要らないだろう? だが、君達はそれぞれ意思を持っている。それは君達が兵器ではなく、あたし達人間と海との信頼関係を取り戻す為の架け橋のような存在だと考えている。あたしや元帥殿、数多くの提督や大本営がそう思っている」
妙高「では、私達は提督や皆さんのご期待に応えなくてはいけませんね!」
那智「あぁ、ただの無意味な戦争ではないのだと希望が持てた。私は何の憂いも無く従うぞ!」
足柄「なんか熱い展開ね! 良いわ、私達にそんな期待があるなら、やってやろうじゃない!」
羽黒「こ、怖いけど……が、頑張ります……!」
陽炎「なんか私もやる気が出てきたわ!」
不知火「はい。しかし、不知火はあくまでも司令の為に戦います」
黒潮「うちも頑張るで♪ 司令はんの為にな♪」
女督「至らない点もあるだろうが、あたしを信じてよろしくこれからよろしく頼む」
全員『はい!』
初日から色々な事があったが、それも提督となれば日常茶飯になるだろう。
あとは仲間を失わないよう、あたしがしっかり鍛えて指示を出すだけだーー。
読んでいただき本当にありがとうございました!
補足説明等がある場合は、前書きや後書きの場にてあげていきます。