イケメン女提督と艦娘達 艦これSS《完結》   作:室賀小史郎

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南西諸島防衛線攻略戦。


八話:司令はん、なんやろかー?

 ◇◇鎮守府、○六三○ーー

 

 司令室ーー

 

 空母を艦隊に迎え数日が過ぎた。

 訓練、出撃を繰り返し、ついに迎えた南西諸島防衛線攻略戦も大詰め。

 

 前日に空母無しの艦隊で、ボスが確認されているポイントFまでの活路は開いた。

 

女督「後は自分を信じ、仲間を信じるのみ、か……」

 

 やれることは全てやった。

 後はみんなで勝利を掴むだけ。

 力みも緩みもせず、ただ冷静に……。

 

女督「すぅー……はぁー……」

 

 開けた窓から入る少し冷たい潮風と潮の香りを肺一杯に取り込み、馴染ませるように吐く。

 水平線は見渡す限りの異なる二色の青色で至って穏やかな日和だ。

 

 そしてあたしはもう一度、本日出撃する艦隊の名簿に目を通した。

 

旗艦:祥鳳

随伴:瑞鳳、鳳翔、妙高、那智、球磨

 

女督(誰一人として失わせはしない……!)

 

 ○七○○ーー

 

 コンコンーー

 

黒潮『司令はん、もう居る?』

女督「黒潮か、あぁ居るぞ、入ってこい」

 

 ガチャーー

 

黒潮「おはようさん、司令はん!」ニカッ

女督「あぁ、おはよう、黒潮。本日の秘書艦、よろしく頼む」ニコ

黒潮「アイアイサー♪」

 

 黒潮の笑顔を前にあたしは先程までの緊張が無くなり、平常心を取り戻せた気がした。

 

女督「黒潮、ちょっと良いか?」チョイチョイ

黒潮「ん~? 何なん?」テテテッ

女督「ちょっとな……少しこうさせてくれ」ギュッ

黒潮「なっ!? 司令はん……?」

  (司令はんの手、震えとる……?)

 

女督「すまないな。こんな弱い提督で……」

黒潮「そんなことあらへん。うちの自慢の司令はんなんやから、そんな悪い言い方せんでや……」キュッ

女督「ありがとう……黒潮……」ギュッ

黒潮(ホンマ優しいなぁ……)

 

 ○七三○ーー

 

 コンコンーー

 

黒潮「」ビクッ

女督「ありがとう、黒潮」ボソッ

  「開いているぞ、入れ」キリッ

黒潮(ホンマに……役得やで……)ニヘヘ

 

 ガチャーー

 

祥鳳「失礼します」

瑞鳳「失礼しまーす!」

鳳翔「失礼致します」

妙高「失礼します」

那智「邪魔するぞ」

球磨「クマー」

 

女督「第一艦隊が勢揃いだな」ニッ

祥鳳「全員いつでも出撃出来ます!」ケイレイ

全員『』ケイレイ

女督「本日は待ちに待った南西諸島防衛線攻略戦の総仕上げだ。あたしも同行する。みんなで生きてここへ帰還しよう!」

全員『はい!』

 

 それからあたし達は埠頭へ向かった。

 

 港、埠頭ーー

 

 埠頭へ着くと、他のみんなまで埠頭に居た。

 

 みんな笑顔であたし達を送り出してくれるそうだ。

 集まった仲間達を見て、改めて数多くの仲間が居ることに気が付き胸が熱くなる。

 

女督「これより、あたしと第一艦隊の面々は南西諸島防衛線攻略戦へ向かう。みんな、留守を頼むぞ」ニッ

 

陽炎「えぇ、任せて!」グッ

不知火「御武運を!」ケイレイ

黒潮「任せとき~!」ニカッ

 

足柄「救援なら任せてよね!」グッ

羽黒「必ず助けに行きますから!」グッ

青葉「青葉にお任せ~!」ケイレイ

衣笠「衣笠さんにもお任せ~!」ケイレイ

 

初春「遠征任務はわらわ達に任せよ」ドヤァ

子日「やっちゃうよ~!」ピョンピョン

若葉「しっかり任務を全うする」ケイレイ

初霜「頑張ります!」ケイレイ

綾波「どうかご無事で」ケイレイ

敷波「ファイト~」グッ

 

多摩「任せるにゃ」ノシ

北上「ま~ぼちぼち頑張るよ~」ノシ

大井「お気をつけて」ケイレイ

木曾「ここの警備は任せとけ」ケイレイ

 

女督「頼りにしているぞ……では、抜錨!」

六名『了解(クマー)!』

 

 こうしてあたしと第一艦隊は埠頭から戦地へと赴いた。

 

陽炎「行ったわね……」

不知火「えぇ……」

黒潮「ほな、うちらも自分の仕事に向かおか~」

 

 

 

 南西諸島防衛線海域、ポイントF付近ーー

 

 一度だけの戦闘を経たが目に見えた損傷は無く、目的地のポイントFへ近づいてきた。

 

女督「各艦索敵を怠るな。どんな些細なことでも随時報告しろ」

 

祥鳳「妖精さん、何か見える?」

索敵機妖精(以下妖精)『敵艦見ゆ!』

 

瑞鳳「妖精さん、報告を!」

妖精『敵艦隊、空母ヲ級二隻、重巡リ級二隻、軽巡ヘ級一隻、駆逐ニ級一隻の輪形陣です!』

 

鳳翔「索敵行動終了、ただちに離脱してください!」

妖精『了解したです!』

 

妙高「提督!」

女督「あぁ……陣形をこちらも輪形陣へ! 中央に祥鳳、瑞鳳! 先頭に球磨! 右に妙高! 左は那智! 最後尾に鳳翔! 空母は各艦載機を飛ばせ! 他の艦は弾幕を張れ! 空母に近づけさせるな!」

 

妙高「対空は任せて!」

那智「訓練の成果を見せてやろう!」

球磨「球磨の反応速度をなめるなクマー!」

 

 敵影もあたしの肉眼で捉えることができ、とうとう南西諸島防衛線の決戦が始まった。

 

 

祥鳳「攻撃隊、発艦始めてください!」

妖精RS『こちら妖精RS、デュナメス。目標を狙い撃つぜ!』

妖精AH『こちら妖精AH及びHH、キュリオス。迎撃行動に移ります』

妖精HH『楽しい戦闘にしようぜ~! アーヒャヒャヒャ!』

 

 

瑞鳳「数は少なくても、精鋭だから!」

妖精TA『こちら妖精TA及びヴァーチェ。迎撃行動に移行する!』

妖精SFS『こちら妖精SFS、エクシア。目標を駆逐する!』

 

 

鳳翔「風向き、よし。航空部隊、発艦!」

妖精AR『僕が一番艦載機を上手く扱えるんだ!』

妖精SA『あの艦載機、何て動きをするんだ……!』

 

 

ヲ級『行ケ……!』

 

 ヒューンヒューン!

 

 バラララ! バーン!

 

妖精RS『妖精AH、撹乱サンキュー!』

妖精HH『もっと行くぜ~!』

妖精AH『僕達がカンコレ・ビーイングだ!』

 

 チュドーーン!

 

妖精TA『敵は一掃した。妖精SFS、航空爆撃は頼んだぞ!』

妖精SFS『了解。これより敵を殲滅する。俺が艦載機だ!』

 

 ボボーーン! バーーン!

 

妖精AR『敵の動きが見える……!? これなら……!!』

妖精SA『あの体勢から当てるのか……!? 私も負けては居られないな……!!』

 

 バーーン! ボーン! ボーン!

 

祥鳳「敵空爆機接近!」

女督「対空放射放てーーっ!」

妙高「いきます!」

那智「当たれ!」

女督「球磨、空母に的を絞らせるな!」

球磨「任せろクマー!」

 

 バラララ! バラララ!

 

 チュドーーン!

 

鳳翔「制空権確保! 敵艦隊砲雷撃戦へ移行! 残存勢力は空母ヲ級ニ隻、リ級一隻、駆逐ニ級です! 内、敵旗艦ヲ級は無傷、他三隻は中破しています!」

女督「空母勢は第二攻撃隊準備を! 他は砲雷撃用意!」

 

 バーーン! バーーン!

 

妙高「ああっ! ……まだ……引けません……!」

那智「妙高! くぅっ!」

 

 ボンボン!

 

女督「くっ! 敵空爆機が予想以上に厄介だな! 球磨!」

球磨「はいクマー!」

女督「やれ!」

球磨「っ!! 了解クマー!」

 

 バシュンーー

 

鳳翔「これで決めます!」

祥鳳「っ!? 鳳翔さん避けて!」

鳳翔「え!?」

 

 ヒューンーー

 

女督「やらせんぞ!」

 

 バンバンバンバン!

 

 ボーン!

 

女督「無事だな?」

鳳翔「はい!」

瑞鳳「凄いなぁ……拳銃だけで敵空爆機落としちゃったよ……」

女督「そろそろか……」

 

ヲ級「……っ!?」

 

 バーーン!

 

 大きな水柱が上がりそれと同時に静けさが戻り、それが戦闘の終わりを告げる。

 

女督「各艦、索敵機を飛ばせ」

球磨「提督ーーー!」

女督「どうした球磨?」

球磨「敵旗艦のヲ級、まだ息があるみたいクマー!」

女督「っ!?」

 

 それを聞いてあたしは軽率にもヲ級の側へ向かっていた。

 

ヲ級「…………敗ケタノカ……」

女督「本当にまだ生きているようだな……」

ヲ級「っ!?」

女督「もう戦闘は終わった。お前達の敗けでな……これ以上の殺生をする気はない」

ヲ級「…………オ前ハ、ドコカワタシ達ニ似テイル……何故ダ……?」

女督「あたしはお前達の意識に触れたことがあるからな。半分はお前と一緒だ」

ヲ級「仲間ダト言ウノカ……?」

女督「敵だ。だが戦闘が終わった以上、敵でも味方でもない」

ヲ級「ワタシヲドウスル気ダ……ッ!!!?」ガクガク

女督「おい、どうした!?」

 

 突如として激しく身体を揺らし始めたヲ級。

 すると次の瞬間、ヲ級の頭の艤装が個体で動き出した。

 

六名『提督!』

女督「来るな!」

艤装『人間は審判の時を迎えている……』

女督「……っ!?」

 

 耳からではなく、脳に直接その言葉は入ってきた。

 

艤装『海は生物の母……それを汚すこと……それは生まれ出てきたことを否定すること……』

女督「…………っ!」

艤装『貴様の思考は読めている。お前のような人間が居ることは喜ばしいことだ』

女督「ならばなぜ未だに殺戮を繰り返す……!?」

艤装『人間がしてきたことを返している……審判の時が終わった時、生きるか滅ぶかが決まる』

女督「それまでこれは続くのか……」

 

 ボワンーー

 

 言いたいことだけを言って、ヲ級の艤装は消滅した。

 ヲ級を見ると、既に動かず身体の半分は海と同化していた。

 

女督(海へ還るということか……)

 

 ヲ級から手を離し、徐々に海へと還るヲ級に祈りを捧げながら、あたしは艦隊を引き連れて母港へ帰還を開始した。

 

 深海棲艦の艤装から語られたこと……それを考えたがまとまることはなかった。

 

 

 

 帰りの海上ーー

 

妙高「提督、大丈夫ですか?」

女督「あ、あぁ、すまないな。大丈夫だ」

 

那智「深海棲艦を知るには奴等の艤装が鍵になるようだな」ウデクミ

祥鳳「はい……次からは本体ではなく艤装に的を絞って攻めれば、本体は助かるのでは……?」

女督「それは無理だ」

瑞鳳「どうして?」

 

女督「あのヲ級の最期を見たろ? まだ息はあったが艤装が外れた途端、海と同化を始めていた……元が死体、ならば力を失えば海へ還るだけと言うことになる」

鳳翔「なかなかに辛い事実ですね……」

 

球磨「でも、だからって球磨達が沈んだら意味無いクマ」

女督「球磨の言う通りだ。今回は深海棲艦とその艤装の関係を知ることが出来た。それは海域を開放すること以上の収穫だ」

六名『はい(クマー)!』

 

女督「あたしにこういう事があったのなら、恐らく他にもそういった事があった鎮守府もあるだろう。まずは情報交換を他の鎮守府や大本営と交わす必要がある。みんなはこれまで通りの任務で頼む。何かあればすぐにあたしからみんなへ説明することを約束しよう」

六名『了解(クマー)!』

 

 それから無事に帰還したあたしと第一艦隊に鎮守府全体が歓喜した。

 

 第一艦隊に補給、入渠を促した後、あたしは残りの艦隊全員に今回のことを話した。

 

 司令室ーー

 

女督「ーーと言う訳だが、我々はいつも通り任務を続行する。納得出来ない者は居るか?」

 

 シーーン……ーー

 

女督「理解に感謝する。では解散!」

 

 最初は戸惑いの色を隠せていなかったが、帰る際の表情は何の憂いも見えなかった。

 

黒潮「お疲れ様やね、司令はん」

陽炎「大丈夫、みんな司令を信頼してるわ!」

不知火「寧ろ不審に思う者が居れば許しません」カチャ

女督「ありがとう……そう言われると、肩の荷が軽くなるよ」

 

黒潮「それより、今晩はパァーと行こうや♪」

陽炎「そうそう♪ せっかくの勝利なんだからね♪」

不知火「慢心はいけませんが、気を張り詰めるのは良くありませんからね」

女督「お前達は出来た部下だな。可愛いヤツめ!」ワシャワシャ

三人『えへへ~♪////』

 

 

 そうしてあたし達は気分を変えて祝勝会を催した。

 

 足柄が盛大に酔って脱ぎ出すわ、青葉がそれを撮るわで大騒ぎだったが楽しい一時を過ごせたーー。




他作品のネタをかなりぶっ込んでますがお許しを!

次もよろしくお願い致します!

読んでいただき本当にありがとうございました!
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