オーバーロード~あっさり死んでしまうあのキャラになってしまったので全力で抗ってみます~ 作:富永悠太
遅くなりましたが続きです!
毎日のように5000字以上投稿できる方は超人だと思います!
ダインはベッドに横になり、頭の中で考えをまとめる
1.モモンに会わないように冒険者組合に行かないよう誘導する
2.組合でモモンに遭遇してもペテルが話かけないように誘導する
3.ンフィーレアの依頼を受けないよう誘導する
4.エ・ランテルに帰還後にバレアレ宅での薬草の荷降ろしを手伝わないよう誘導する
5.バレアレ宅に行くことになったら必ずモモンと一緒に行くよう誘導する
1は難しい。冒険者が組合に行かないなんてどんな理由をつけても無理だ。モモンが組合に来る詳しい日時がわからない以上時間をずらすこともできない。しかし、早急に遠方に出る依頼を受けてエ・ランテルを離れることはできそうだ。
それにモモンが組合に来る詳しい日時はわからないとは言ったが、すぐ迫っているのはわかる。なぜなら昨晩ダインの記憶では、この黄金の輝き亭でトラブルを起こしたお嬢様と執事――ソリュシャンとセバスを見た記憶があるからだ。すぐに出発というセリフは無かったから、昨晩出て行った訳ではない。3巻で何度も似たような騒動を起こしていると書いてたから、もしかするとその騒動の初回だったのかもしれない。時系列はあやふやだが、今日か明日あたりにモモンが組合に訪れると予想される。つまり時間がない。
2はペテルが話かけなくてもナーベがいる以上、ルクルットがちょっかいを出しそうだ。ダインのキャラではないが、タイミングを見てケンカを売って険悪な空気にしても良い。新入りにケンカを売って反応を見るのは冒険者としては常套手段のようだし、後で言い訳はきくだろう。険悪な空気になれば、一緒に依頼を受けるなんて話にはならないはずだ。
3はモモンと一緒に行動したら避けられない可能性が高い。臨機応変に対応するしかないが難しいだろう。
4は可能だと思える。あの薬草の荷降ろしなどの雑用は、好意でやったサービスみたいなものだ。別の適当な用事でもあつらえておけば回避は可能だ。しかし、4までひっぱると死が近づきすぎているから正直ここまでは来たくない。
5.は最終手段だ。どんな手を使ってもモモンに同行してもらわないと全滅となる。
ダインはできるだけ考えないようにしていたが、実は一つ実現可能で確実な手がある。
それは・・・・・・ンフィーレアを暗殺することだ。ンフィーレアは『漆黒の剣』にとっては死神のようなものだ。もちろんンフィーレアは被害者だし、悪いのはカジットやクレマンティーヌだというのは理解している。ただ事実として、ンフィーレアが今死ねば『漆黒の剣』は全滅せずに済む。
叡者の額冠が使えなければ、
あの騒動の際にかけつけた兵士や冒険者が、何人ケガして何人死んだのかは知らないがその人たちも助かるだろう・・・・・・。
(いや殺さないよ! 現代日本の普通の大学生にそんな事できませんわ。それにダインの人格としてもンフィ殺すのは無しだ。こんなことを考えたのは、全てのアイテムを使えるとかいうチート持ちで天才錬金術師で前髪あげると美形で、かわいい
もし1や2や3が上手く行っても油断はできない。
エ・ランテルは現在危険な状態だ ズーラーノーンが潜伏している上にクレマンティーヌが徘徊してるからだ。
(法国の追っ手――『風花聖典』をまくために騒ぎを起こそうとしているのに、どう考えても目立つ可能性の高い人殺しを我慢できないなんてクレマンティーヌは典型的なシリアルキラーなんだな・・・・・・)
計画に支障が出るとカジットにたしなめられしぶしぶ殺すのを止めたみたいだが、それまでにかなり殺している。『漆黒の剣』のレベルからすればラスボスがはじまりの街を闊歩してるのと同じだ。
(どんなクソゲーだそれは! 冒険者を見ると殺してプレートを奪いコレクションにしたいラスボスがうろうろしているなんて。道端で偶然クレマンさんと遭遇し『漆黒の剣』全滅なんて十分に有り得る!)
叡者の額冠使えなくてカジットが潜伏したら、いつ爆発するかわからない爆弾に怯えて暮らさなきゃならないようなものだ。クレマンティーヌは計画が頓挫したら、八つ当たりがてら冒険者を殺しまくる可能性が高い。どちらにしても『風花聖典』から逃げるために、別に何らかの騒ぎを起こすだろうからそれに巻き込まれない保証は無い。
一時的にエ・ランテルから離れてもエ・ランテルを拠点として活動している以上戻らなくてはいけない。冒険者はそれなりの理由がなければめったに拠点を移動しない。その理由を作るのには時間がかかる。
今に限れば、城壁に守られたエ・ランテルよりも外で野宿してゴブリンやオーガを相手にしてる方がまだ危険が少ないという逆転現象がおきている。それを知ってるのはダインぐらいなものだが。
(とにかく自分と仲間の命がかかっているんだ。色々なことを試してみよう)
朝食を食べていると、またソリュシャンとセバスが騒いでいた。
(実際見ると感動するな! ソリュシャン美人すぎる! あれなら捕食されても男として本望だろ。セバスは渋いし格好良い! そして声はやっぱり千葉さんだ! ただセバスの目つき鋭すぎるな、カタギじゃねえ!)
騒動をおこしている以上、いくら見ていても怪しまれないと思い延々見続けていた。
「ダイン見すぎですよ!」と小声でニニャにたしなめられる。
「いや昨日も見たけどあれは見ていたくなるだろ! あのお嬢様やっぱすげえ美人だ!」
「確かに。でも性格がきつすぎますね。」
ルクルットとペテルも小声で盛り上がってるのを見てニニャは苦笑いしている。
忙しない朝食だったが、気持ちを引き締めなおし予定通り冒険者組合に向かった。
◇◇◇◇◇◇
組合に到着するといきなりモモンとナーベに遭遇した。
ダインは一瞬スーパースターに会ったような錯覚に陥り気持ちが浮ついたが、そんな場合では無いとペテル達を他の依頼にむかわせようとした。しかし「まあまあ」とぞんざいに扱われあっさり
まるで皆が精神系の魔法でもかけられ、操られているかのように思えてダインは怖くなった。
そしてペテルがモモンに話かける寸前に前に出てケンカを売ろうとしたが、何かを察知したナーベが前に出てきた瞬間何も言えなくなった。それどころか身体が動かない。
(これが殺気ってやつなのか? ヘビににらまれたカエルってやつか? 日本人の人格が主になっているのが仇になった・・・・・・殴り合いのケンカすらろくにしたことない自分じゃ、こんな無様なことになるのか! まずいな・・・・・・これじゃゴブリンの殺気でも腰がひけそうだ)
「
モモンがナーベをチョップでたしなめてくれたおかげでなんとか動けるようになったが、本気の殺気を叩きつけられ、身動きがとれなくなった現実に衝撃をうけていた。ナーベラル・ガンマはあのクレマンティーヌより、レベルからして倍くらい強いのだからある意味当然とも言える。はるか高みにいる上位者の凄みの一端を垣間見て呆然とする。
そして気が付くと『漆黒の剣』の仕事を手伝ってくれないかという流れになり、別室で詳しい話をすることになっていた。その後は書籍と同じように自己紹介をした。
その際、モモンの――鈴木悟の顔を元にしたご尊顔を拝見した。
(言うほどおっさんには見えなかったし、酷い顔でもなかった。日本人のひらべったい顔があまり良く見えないのかな? ダインの方がよほどふけてみえるよ! ダインの記憶から年齢がわかったが驚いた・・・・・・ダインは24歳だ!)
その後やはりンフィーレアが現れモモンに指名依頼をし、『漆黒の剣』はモモンとナーベと共にンフィーレアを護衛しカルネ村近辺の森で薬草採取をすることになった。
もちろんこの間、ダインは呆けていたわけではない。どうにかンフィの依頼を断れないかタイミングを計りながら口を出していた。この街に来たばかりで登録したばかりの
(これはなんなんだ! もしこれが物語としての修正力やこの世界の強制力とやらなら何をしても無駄じゃないか!)
ダインは目の前が真っ暗になり、この後しばらく何を話しかけられても上の空だった。
暗い顔をしているダインをペテルやルクルット、ニニャが心配そうに見ているのに気がついた。皆になんでもないと無理矢理笑顔を作りあらためて決意する。
(諦めるわけにはいかない。修正力か強制力かわからないが穴を見つけ、最後の最後まで抗おう。ただその前に、ゴブリンの殺気にびびって殺されたりしないように気をつけなきゃ・・・・・・)
やっとエ・ランテルを出発できます!
なかなか進まない!