「見えた!見えたよ!」
ゆきが叫んだ。私も窓の外を見る。
リバーシティ・トロン・モール。ここら辺で最も大きいモールだ。今、この辺りで生存者がいる可能性がかなり高い場所。
「元気すぎよ。昨日ちゃんと寝た?」
「えへっ、あんまり」
悠里さんが言うと、ゆきは照れくさそうに笑った。
「ゆきは遠足で熱を出すタイプだね」
私が呟く。すると、ゆきは慌てて、
「そそそ、そんなことないよー」
うん、ダウト。くるみがやれやれと言わんばかりにため息をついた。
「じゃあ行きましょ?」
めぐねぇが言う。私はトランクからシャベルを取り出すと、肩に担いだ。
「もし避難するとしたらここよね…」
悠里さんが辺りを見回す。
確かに、ここら辺には基本的に会社のビルしかないので、避難には向かないだろう。
「じゃああたしが先に行く。皆は後からついてきて」
「了解――って…ん?」
パンフレットが落ちていた。どうやら館内案内の紙らしい。
(…っと…紳士服売り場は…2階と4階か)
「めぐねぇ、これ」
「え?あぁ、ありがと。愛莉ちゃん」
必要なところだけに目を通すと、私はそれをめぐねぇに渡す。ふと見ると、くるみ達が結構先へ進んでいた。慌てて追いかける。
「あたしに付いてこい。なるべく音は立てるなよ」
「らじゃー」
くるみが走り、ゆき、悠里さん、めぐねぇ、私と続く。館内が暗いせいか、私達が見つかることはない。
1階の音楽ショップに着いた。シャッターを閉める。
「中にはいないみたい」
「さんきゅー、りーさん」
私は悠里さんとくるみの会話を耳にしながらも店内を見回る。確かに《奴ら》はいないようだ。これなら大丈夫だろう。
「少し行ってくる。缶詰めとか、あるだけ取ってくるよ」
「私も少し行きたい場所があるから、少し離れていい?」
くるみの台詞に私も続いた。悠里さんは驚いたようにこちらを見たが、結局は特に何も言ってこなかった。
ただ、頷く。
「二人とも…気をつけて」
「おう」 「うん」
私達はそう答えると、シャッターを開け、外へ出た。
「じゃあ、あたしは食料品売り場に行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
私の目的地は、2階の紳士服売り場だ。電気が止まり、ただの階段となっているエスカレーターを駆け登ると、《奴ら》が数体見えた。
「――っ」
一度身を隠す。どうやらまだ気付かれていないようだ。これなら…行ける。売り場に行くために避けれない奴だけを倒す。バレないように、音をたてずに。
そして、4体目の首をはねた頃には紳士服売り場に着いていた。
「厚手のコート厚手のコート…」
呟きながら、店内を探し回る。
なぜ私が厚手のコートなんかを探しているのか、と言うと…
――《奴ら》がβ型なら感染方法は血液感染――
これは、あのマニュアルに書いてあったことだ。
血液感染。つまり、傷口から何らかの形でウイルスが入り込み《奴ら》になるのだ。――恐らく、体液だと思われるが。つまり…
(噛まれても、傷に体液が入らなかったら《奴ら》にはならない…はず)
そして《奴ら》の体が人間である以上厚手のコートを噛み千切るちからは無いはずだ。…多分。
言い方が曖昧なのは仕方がない。私に専門的な知識などは無いのだから。
そんなことを考えながら探していると、ようやく見つけた。
防水性の、黒地のコートだ。生地はかなり厚く、私が望んでいたものと一致する。
「後はズボンと…手袋辺りが欲しいな」
私はコートを羽織ると、呟き。また、服を探し始めた。
そして出来上がったのが、黒い手袋、黒いコート、ジーンズの…
「やだ何これ普通に怪しいわ」
黒ずくめの女の子だった。思わず鏡を見て呟く。――まぁ、何にせよこの服は暫く使う。慣れるしかないだろう。
「――じゃあ、そろそろ戻ろうかな」
探すのにかなり時間を食ってしまった。心配されているかもしれない。早く戻らないと。
私はシャベルを片手に1階の音楽ショップへ走りだした。
「あいちゃん遅いね」
隣のゆきが呟いた。椅子に座って暇そうに足をブラブラさせている。
「何かあったのかしら…」
「あいつに限ってそれはねーよ」
心配そうに言うりーさんに笑いかける。あたしには愛莉は無事だろう、という確信があった。
「そうならいいんだけど…」
それでもりーさんは愛莉が心配らしく、落ち着きがない。
「ただいまー」
シャッターを開け、愛莉が戻ってきた。行ったときとは服が全然違う。黒いコートに着替えていた。――返り血がついて、赤黒く染まっていたが。
「その服どうしたの?」
めぐねぇも気になったようで、愛莉に聞く。愛莉は笑みを浮かべた。
「ん?防具、かな」
めぐねぇが首をかしげる。それを尻目にあたしはリュックを背負った。
「じゃあ、全員揃ったことだし、行きましょうか」
りーさんの言葉に、あたし達は頷いた。
テレー♪
愛莉 は あつでのコート を 装備した‼
防御 と 耐性 が 上がった‼
はい、と言うわけで防具装備完了。これで多少は無茶できるね‼(おい
没シーン
くるみ「そんな装備で大丈夫か」
愛莉「大丈夫だ。問題ない」
悠里「アウトよ二人とも」