服屋を後にしたあたしたちは、5階に続く階段を登っていた。
「もし、誰かいるならここだよね」
最後尾にいる愛莉が言う。あたしも、それは間違いないと思っていた。
階が上がるごとに《奴ら》の数は少なくなっていた。生存者がいるなら、上の階に逃げているはず。
そんな事を考えながら階段を登っていると、『それ』が目に入った。
「これ…」
りーさんが呟く。あたしも頷いた。
「うん」
段ボールを積み重ねて作られたバリケードだ。…誰か、いるかも。
「ちょっと持ってて」
だが、警戒は禁物だ。りーさんに背負っていたリュックを渡し、あたしはバリケードを乗り越える。
そして、降りた先にいたのは――
大量の《奴ら》だった。
「――ッ!!来るな!」
後に続いてくるかも知れない四人に叫ぶ。あたしは迷わずもう一度バリケードを登った。焦っていたため、着地を失敗し、肩から落ちたが今はそんなことを気にしている暇はない。
「だ、だいじょうぶ?」
「急げ!」
ゆきに心配されたが、今はもっと大事なことがある。逃げなければ。
ミシッと、バリケードが嫌な音を立て――倒れる。
そして…大量の《奴ら》が見えた。
「くるみ!さっさと行って!」
愛莉があたしに叫んだ。思わず言い返そうとして、止める。確かに、ゆき達だけで行かせるわけにはいかない。痛む肩を抑え、立ち上がってシャベルを持つ。
あたしは愛莉に向けて頷くと、走り出した。
ゆき達も慌ててあたしに続く。
*******
くるみに他の3人が付いていくのを見て、私はシャベルを握りしめる。
《奴ら》は階段が苦手だ。かなり遅いスピードでしか降りれないし、登れない。それに、狭い階段なら囲まれる心配もない。
私はポケットから店で入手しておいた爆竹を取り出し、火を着け、即座に投げた。急いで階段を駆け降りる。
轟音。パチパチ、と火薬が弾けた。
(これなら――)
《奴ら》が知覚できるのは、音と光。爆竹なら、音だけでなく煙で視界を遮れる。
(撒けたかな…?)
階段を降りるのを3階で止め、上を向いた。《奴ら》が追ってくる気配はない。
「――ふぅ」
思わずため息をつく。
問題は爆竹の音で他の《奴ら》が寄ってこないか、だったが…
唸り声は無い。杞憂だったようだ。
張り詰めていた緊張が緩むのを感じる。
――と。そんな時だった。
「――――!!」
誰かの声が、上から聞こえた。
思わず息を呑む。声が聞こえると言うことは、つまり。
「誰か…いる…っ!?」
そう、生存者がいると言うことだ。
ならば助けなくては。
そう考え、私は上の階へ向かった。
愛莉ちゃんの単独行動が目立つ…。
没シーン
そして…大量の《奴ら》が見えた。
愛莉「ここは私に任せて先に行け!」
悠里(愛莉さん、それ死亡フラグよ…)