がっこうぐらし +α   作:ラビ@その他大勢

18 / 29
がっこうぐらしの最新刊買いました!

ヒカさん可愛い。本編始めます


しんぱい

湿らせたタオルを口が塞がれるようにしっかりと巻きつけて、私は階段に突入した。火が回るのが予想外に早い。煙が階段を埋め尽くしていた。

 

(急がないと)

 

生存者を助けるために、自分が死にました、等というのは洒落にならない。

煙が濃く、前が見えない。

だが。5階についた途端、薄く影が見えた。かなり前屈みの…そう、足を引きずっているような。恐らく《奴ら》だ。何かに襲いかかろうとしているような体勢。それに気付き、私は《彼》へ向かってシャベルをふるった。

 

頭が潰れ、血が辺りに飛び散る。最近は慣れてきたが、やはり気持ちの良いものではない。思わず顔をしかめる。

 

「――ぇ…」

 

――と、その時。掠れた女性の声が聞こえた。煙の中なので姿は影くらいしか見えなかったものの、声は確かに聞こえた。

 

「誰かいるの――?」

 

小さな声でそちらへ呼び掛ける。すると、煙の向こうから咳をする声が聞こえてきた。慌ててそちらへ向かう。すると――煙の先にいたのは、二人の少女だった。目が合い、両方が固まる。だが、先に動き出したのは向こうだった。

みるみるうちに目が潤み出したショートカットの茶髪の少女が、勢いよく私に抱き付いてきたのだ。もう片方の銀髪の少女はただ呆然としている。

 

取り合えず、と私は二人に問いかける。

 

「二人は噛まれてないよね?」

 

二人ともが首を縦に振ったのを見て私は頷くと、階段の方向へ身を翻した。もちろん、下にいるくるみ達と合流するためだ。

 

煙のせいで前があまり見えないため、《奴ら》の存在を察知するためには音しかない。耳を済ませ、階段をゆっくりと降りていく。

 

「――ふぅ。ここまで来れば大丈夫かな」

 

一階まで着き、私は安堵の息をついた。後ろを振り向くと、少女二人はしっかりとついてこれていたようだった。

 

「取り合えず、合流するよ」

 

二人に言うと、銀髪の少女がこちらに詰め寄った。

 

「他にも…いるんですか!?」

 

「うん。あと…四人かな」

 

銀髪の少女の瞳に、希望の色が見えるようになり。火まで付けた甲斐もあってか、一階に《奴ら》の姿はろくに見えない。私たちは、頷きあうと、モールの入り口へ向かって全速力、走り出した。

 

 

*******

 

モールの入り口から漸く出てきた愛莉達に怪我が無さそうなのを見て、あたしは他の奴らに聞こえないように小さくため息をついた。

 

「ったく…無茶しやがって…」

 

――と。入り口まで走ってきていたらしく、息を整えている愛莉達に…いや、愛莉に近寄る影があった。めぐねぇだ。

愛莉がそちらへ振り向くと同時、パシン、と乾いた音が響いた。めぐねぇが愛莉を叩いたのだ、と理解するのに数瞬かかる。

 

「愛莉ちゃん。自分勝手な行動は控えて」

 

愛莉は反射的に言い返そうとしように見えたが、何も言えずに結局黙ってしまう。

 

「……あんまり、心配させないで…」

 

めぐねぇの言葉は、最後の方には掠れていた。めぐねぇは、あたし達生徒の怪我が自分の責任だと思っている節がある。めぐねぇは、あたし達より愛莉のことが心配で、気が気でなかったのだろう。

あたしは黙ってそちらから目を逸らした。そして向けるのは、愛莉と一緒にモールから出てきた女子二人だ。

祠堂 圭と、直樹 美紀、という名前らしい。

 

 

 

――と。二人がいざ、車に乗り込んだときに今さらながら気付いた。

 

「めぐねぇー。この車、何人乗りだっけ…?」

 

「えぇ、と…四人乗り、だったと、思う、んだけ…ど……」

 

言ってる途中でめぐねぇも気づいたらしく、言葉が尻すぼみになっていく。

そう、あたし達は現在七人いる。――明らかに人数オーバーだ。

行きは五人だったので詰めれば何とかなったが、流石に七人は詰めても無理だろう…。

 

「これ、どうすんだ…?」

 

あたしの呟きは、虚空へ消えた。




四人乗りの車に七人で乗る方法とは…!?

ちと無理してモール回終了。次からは真面目に書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。