あたし達は地下室に入り、その設備の充実に唖然とした。
「くるみちゃんくるみちゃん、冷凍室だって!!」
「いや待て、ゆき。あたし達の目的はなんだ?」
とか言いつつ体が自然にそちらへと向いている自分がいて苦笑する。……冷凍室…つまり、新鮮な食べ物があるかもしれない。肉とか、肉とか、肉とか。味を想像してしまったあたしのお腹から、くきゅる~と音がなる。慌てて頭を振り、シャベルをぎゅっと強く握りしめて食欲と闘う私に、ゆきが更に追い討ちを掛けるかのように叫んだ。
「うんまい棒やホテチも沢山あるよー!!」
「いいから薬探すぞ!」
これ以上ここでウロウロしていたら食欲に負ける。そんな確信が現実のものにならないうちに、あたしは倉庫の奥へ奥へと進んでいった。倉庫の最奥に置いてあった白色の薬箱を開け、中にある薬を漁る。
「α、β……Ω、これか!!」
脳内に未だに少し残っているマニュアルの内容と薬箱の中身を比べる。そしてようやく見つけた対抗薬一式を取りだし、あたしは急いで部屋へ戻るべく、走り出した。勿論、途中でうんまい棒をもしゃもしゃと食べていたゆきを拾うのも忘れない。ここだけの話、とても殴りたくなった。
あたし達が部屋へ戻ると、りーさん達が弾かれたようにこちらを向いた。その表情には、疲労が色濃く見える。その理由は、部屋を見回せばすぐに分かった。
「あいちゃん…」
隣のゆきが悲痛に呟く。あたしは急いで地下室から持ってきた救急箱を開けると、中にある薬を取り出した。
「くるみ、それ…」
りーさんが話し掛けてきたが、今は話す時間も惜しい。あたしは、手錠を外そうと暴れる愛莉に近寄り、片腕を押さえ付けた。だが、一人――それも片手だけでは流石に抑えきれない。それに気付いたのか、めぐねぇがこちらへと走ってきて、同じく愛莉の腕を抑えた。
「頼む……っ」
祈りながら注射をすると、途端に愛莉は暴れるのをやめた。代わりに、というように聞こえてきたのは先程までのような唸り声ではなく、ただの呼吸音だった。
額に浮かんだ汗を拭い、近くの椅子に倒れ込むように座る。張り詰めていた部屋の空気が、幾分かましになった気がした。
だが、まだ終わってない。
あたしは重い体に力を入れて、立ち上がる。視線をめぐねぇに向けると、めぐねぇは胸元のリボンを握りしめてコクリと頷いた。
*******
「美紀、ちょっと」
くるみ先輩が佐倉先生と何かを話そうとした時、いつの間にか隣にいた圭が私の手を引っ張った。
「な、なに?圭」
無言でずんずんと進んで行ってしまう圭に引かれる形で、私は部屋を出る。圭は無言のまま進んでいたが、不意に、他の教室に入ったかと思うと突然私へと振り向いた。
「美紀……」
すまなそうに目を伏せる。――だが、意を決したかのようにこちらの目を見詰めた。
「あの時、置いていこうとして、ごめん」