くるみの説得を受けて戻ってきた後、他の人にこのことを知られるとまた揉めると言うことで、めぐねぇにだけ私の体の話をしたが、意外にも彼女は驚かなかった。私の様子から、何となくは気付いていたんだそう。流石に長い間一緒に居るだけあって、お見通しというわけだ。
――さて、現在に話を戻そう。
今、学園生活部の面々が一同に介し、テーブルを囲んでいた。テーブルの上に置いてあるのはこの辺りの地図。赤いペンで2ヶ所に丸がつけられており、その丸の位置は『ランダルコーポレーション』と『聖イシドロス大学』。悠里さんが地図から顔をあげて、皆の顔を見回す。その瞳には決意が宿っていた。
「今週中にここを出て聖イシドロス大学に行こうと思うの。…何か、特別に持っていっておいた方が良いもの、ある?」
悠里さんの言葉に、ゆきがビシッと手を上げ、全員の注目を集める。そして、彼女は真顔でこう言い放った。
「20倍に膨らむ風船!」
「「「勝手に持っていけ」」」
ばっさり両断。当然である。幸い、風船は嵩張らないので持っていくのを止めることはしない。…のだが今ここで話すことではない。
次に手を上げたのは、美紀くんだった。彼女なら真面目だし、ふざけたことを質問はしないだろう。そう高をくくり、全員で美紀くんへと目を向ける。
「太陽光電池とか、持っていけませんかね」
やはりまともだった。それも、中々盲点を突いている。確かに、持っていけるものなら持っていっておきたいところだ。
「車とか改造して乗せれるかな」
「…改造…!?」
くるみの言葉に、奮発して買った車が改造されかねないと知っためぐねぇが涙目になって絶句していたが誰も気にしない。「最近扱いが酷い気がする…」と、のの字を書きながらぼやくめぐねぇを置いて、くるみが頭の辺りで腕を組みながら天井を見上げる。
「車2台で行くんだよな?」
「そうね。だからなるべく荷物は沢山積んでおきたいわ。一応途中で補給できる所があるとは限らないし」
「車のキーって2つあるんですか?」
「ええっと…大丈夫ですよね?佐倉先生」
「ええ。一応2台分の鍵は用意してあるわ。…ホントは無免許のあなたたちに運転させたくはないんだけど…そうも言ってられないしね」
くるみと美紀くん、そして悠里さんといつの間にか立ち直っていためぐねぇの四人が話を進めている。私の出せる意見は既に出尽くしており、私が今出来そうなことは特にない。
ゆきは話についていけてないのだろう、呆けた表情で四人の顔の間に視線をさ迷わせている。圭さんは私と同じ…と言ったところだ。
あーでもないこーでもないと議論を続ける四人を見ながら、私は顔に軽く笑みを浮かべる。
――まぁ、皆が楽しいならそれだけで良いかな。
そんな事を考えながら。
次回最終回になります。