あの日から2日経った。
まだまだ生活圏は狭いが、これから広くしていけばいい――
そんなことを考えながら、あたしはシャベルを握る手に力を込めた。
「こんなこと…他のやつにさせるわけには行かないしな…」
めぐねぇ、りーさんも手伝いたいとは言ってくれたが…。
これはあたしがやるべき事だと思う。ゆきなんか特に論外だ。
「大丈夫?くるみさん…」
「――ッ!…って。めぐねぇか」
後ろからの声に思わず警戒してしまった。
「だから!めぐねぇじゃなくて佐倉先生!」
「分かってるって。めぐねぇ」
「分かってないじゃない…」
少し頬を膨らませて怒った顔をするめぐねぇが可笑しくて、つい笑ってしまう。
「まぁ…大丈夫だよ。調子は良いし」
あたしが言うと、めぐねぇの表情が心配のそれに変わった。
めぐねぇはあたしに戦わせることに強い罪悪感を持っている――
気にすることないのにな。
あたしがそう言っても、めぐねぇは困ったように微笑むだけだ。
――そう言う訳にはいかないのよ、と
気まずくなりかけた空気に耐えきれずあたしは話をそらした。
「そう言えばめぐねぇ。バリケードは出来そう?」
昨日の間に制圧したため、三階にはもう《奴ら》はいないが、バリケードは作れていない。
時間と人手が足りていないのだ。
「そうねぇ…一応机は見つかったから後はワイヤーみたいなのがあれば」
めぐねぇがそう答えたとき、丁度校内放送が流れた。
『下校時刻となりました。用のない生徒は――』
抑揚のない声が淡々と告げる。
「くるみさん」
「うん、分かってる」
奴らは放送後に《帰宅》するために数が減る。
その間に足りない物資を購買部に取りに行こうと、先日めぐねぇ達と話し合って決めた。
りーさんはゆきが心配だから残ると言っていたので、行くのはあたしとめぐねぇの二人だけ。
「行きましょう」
「うん」
「…ふぅ」
《奴ら》が動かなくなったのを見届けてあたしはシャベルを降ろす。地面に当たったシャベルがカランと小気味良い音を立てる。
思ったより2階にいた《奴ら》は少なかった。購買部についた今でさえ、まだ2匹しか殺っていない。
「めぐねぇどう?」
「食料とワイヤーは持ったからもう大丈夫よ」
「ん―――」
それくらいで良いだろう。そう考えてあたしは食料が詰まった改めてリュックを背負いなおす。
――と。その時だった。
『誰か生きていませんか――』
校内放送が流れたのは。
『もし生きている人がいるなら放送室に来てください』
誰かいる――あたし達四人以外の誰かが。女性の声だった。
「めぐねぇ!これ!」
めぐねぇも頷く。
放送室に行かなければ――
四人しかしか生きていないことを覚悟していたあたし達にとっては救いが来たように感じてしまい、気持ちがはやる。
しかし、少し引っ掛かっていることがあった。
さっきの声に迷いがあるように感じたのだ。なぜだろうか―――
(いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない)
「急ぐぞめぐねぇ!」
3階が安全地帯だとは分かっていても
それでも焦ってしまう。
「え、ええ!」
あたしが走り出すと、めぐねぇも後に続いた。
やっと…めぐねぇとくるみちゃん出せた…。
あっ、因みに、このSSは由紀の登場回数が圧倒的に少ないのでご注意をば。
大体くるみちゃんか愛莉視点です