《奴ら》の攻撃は非常に避けやすい。
理由は簡単だ。
まず、動きそのものが遅いこと。
次に、基本的に《奴ら》は攻撃として噛みつくことしかしてこないこと。
「――ふっ」
私に噛み付こうと頭を前に出した《彼女》の首をシャベルではねる。シャベルは腐った肉体を軽々と貫通し、私の足元に新たな死体を産み出していく。
これで何体目くらいだろうか――
途中から数えるのはやめてしまった。
横から来た《奴》の顔を柄で殴り付け、倒れた《奴》にシャベルを降り下ろす。頭を壊すのにはかなりの力がいるため、狙うのは胸と首の間。《奴》の首が、ゴトリと嫌な音をたてて転がる。
終わりが見えない。入口から湧く《奴ら》は無尽蔵なのではないか、とすら思えた。
「――っ!!どんだけいるんだよこいつら!」
私の体力も既に限界に近い。目の前の1体の首をはね、その勢いでもう1体を葬る。だが、疲れでシャベルを握る手が震えている。
(そろそろ限界かなぁ)
襲いかかってきた《彼》の首をはね、もう1体を貫いた。
私の手からシャベルが落ちそうになり、慌てて持ち直す。
どうやらシャベルを持つ握力すらろくに残ってないらしい。
――と、その時。
「よく耐えたぁっ!」
頼もしい声が耳に届いた。《彼ら》がその声に反応し、振り向く。
血濡れたシャベルを構えた、くるみがそこにいた。
「――ッ‼くるみ!」
彼女は近くにいた《彼》の首をシャベルではね、私に襲いかからんとしていた《彼女》を切り裂いた。
その勢いで、次々と《彼ら》を始末していく。
頼もしすぎる…。いや、頼もしい、ではダメだ。
「――すぅ――」
一度大きく息を吸い、シャベルを改めて構える。まだ手は震えるが、気持ちはかなり楽になった。
私とくるみは目にいた《彼ら》の首をただはね続けた。
どのくらいそうしていただろうか?
耐えきれずに私の手からシャベルが落ちるのと、くるみが最後の《彼》の首を跳ねるのは同時だった。
今回ばかりはくるみもキツかったようで、周りに《彼ら》がいないことを改めて確認すると、シャベルを置いて座り込む。
――私?私は――倒れていた。
《奴ら》の血が服について気持ち悪いが、もう既に動けない。体を限界まで酷使していた反動だろうか。だが、不思議と達成感のようなものが心を満たしていた。
「終わった…んだよな?」
「みたいだね」
「めぐねぇと、ゆきは?」
――そうだ。二人が無事かまだ確認できてない。
思わず起き上がろうとしたが、体が言うことを聞かない。
仕方ないので、太陽光電池の所にいるはずだ、と伝える。
「了解――」
と、言って起き上がろうとしたくるみだったが…くずおれた。どうやら彼女も限界が来てたらしい。
「「――ぷっ」」
私とくるみは、顔を見合わせるとどちらからともなく笑いだす。
結局、私達をめぐねぇ達が見にきたのは、一時間ほど後のことだった。
本文だけを見ると愛莉ちゃんばかりが無双してるように見えますが、りーさん付近を安全地帯にしてから助けに来てるくるみちゃんの方が圧倒的に凄いです。
流石くるみちゃん!