やはり俺のパラレルワールドはまちがっている   作:ミステリー

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暗殺の時間

 転校生

 それは、親の都合やトラブル等があり学校を変えなければならなくなって、新しく編入してくる人のことをそう呼ぶ。

 転校生が来ると、クラス中が騒がしくなり転校生が質問攻めに合う場合がほとんどである。

 しかし、時々そうならない場合がある。それは、俺のような人が転校生としてくる場合である。

 と、思っていたのだがそうでもなかった。

 

 「新しく編入してきた比企谷八幡君だ。」

 

 転校初日なので、とりあえず挨拶はしておこう。

 

 「比企谷八幡です。よろしくお願いします。」

 「では、席につきてくれ。」

 

 そう言われ、指された席に座る。

 

 「初めまして、俺は菅谷創介よろしく。」

 

 座ったとたん前の席の菅谷というやつが、話しかけてきた。

 

 「お、おう」

 

 急すぎたので生返事になってしまった。

 しかし、こんな俺にもかかわらず話しかけてきたこいつは、相当なリア充であるとわかる。

 

 

 

 昨日、この教室に転校するにあたって色々なことを話した。

 まず、怪物の事。

 月を三日月にしたのは本当のようで、来年には地球も爆る予定だそうだ。この事を知っているのは各国首脳だけで、世界がパニックになる前に、秘密裏に怪物を殺す。つまり、暗殺をしてほしいらしい。しかし、怪物は最高速度はマッハ20。つまり、怪物が本気で逃げれば、破滅の時まで手も足も出なくなってしまい、それでは面白く無いと怪物が椚ヶ丘中学校三年E組の担任ならやっていいと言い出してここにいるそうだ。そして、殺せると100億円貰えるのでクラスの人は、とても殺る気があるのだそうだ。

 

 次にこのクラスのこと。

 このE組は、勉強についてこれなかった脱落組、通称「エンドのE組」と呼ばれている。毎日、山の上の隔離校舎まで通わされて、あらゆる面でカスみたいに差別される場所らしい。

 

 最後に今後のこと。

 パラレルワールドのことは怪物との二人だけの秘密にするとのこと。そして、寝泊まりは怪物がアパートを借りてくれると言ってくれた。家賃等も払ってくれて、お小遣いまで貰えるのでとてもありがたい。学校に必要な物も全て怪物が揃えてくれた。こんなに親切な怪物は、ほとんどいないと思うので、とても感謝している。ここまで親切だと、最終的に殺させてもらえるかもしれない。うん、絶対ないな。

 

 

 

 午前の授業が終わり、昼休みになった。

 ここでのベストプレイスは、山を少し登った所にある大きな岩の上にしようと思っている。

 

 昼飯を食べ終え、教室に戻るため校庭の方に戻ると四人の男子が話をしていた。

 

 「あのタコ、機嫌によって顔の色が変わるだろ。観察しとけって言ったやつできてるか?」

 「……一応。余裕な時は緑色のしましまなのは覚えてるよね。生徒の解答が間違っていたら暗い紫。正解だったら明るい朱色。面白いのは、昼休みの後で…」

 

 なにやら顔の色の話をしている。

 俺も一応メモは取っている。他の皆に聞いても良いのだが、あいにくボッチの俺には、難易度が高い。

 

 「たとえ……どんな手を使ってもな。」

 

 そう言いながらなにかを渡して三人は去っていった。袋の大きさから、グレネード等のものだろう。けど日本では、本物のグレネードは買えないからオモチャかなにかだろうし、火薬でもいれない限り安全だろう。

 

 等と考えていると、空からミサイルを持って怪物が帰ってきた。

 

 「……お帰り先生。どうしたのそのミサイル。」

 「お土産です。日本海で自衛隊に待ち伏せされて。」

 「大変ですね、標的だと。」

 「いえいえ。皆から狙われるのは……力を持つ者の証ですから。」

 

 たしかにそうだ。力を持つと好意が多くなるが、悪意も多くなる。なので俺は力を捨て悪意も好意もいらない。もし力を持っても、俺には悪意しか向かない。

 

 

 

 「お題にそって短歌を作ってみましょう。ラストを『触手なりけり』で締めて下さい。書けた人は先生のところへ持ってきなさい。チェックするのは、文法の正しさと触手を美しく表現できたか。出来た者から今日は帰ってよし!」

 

 なんだその問題。触手なりけりとかどう使うんだよ。

 

 「先生しつもーん。」

 「……?何ですか、茅野さん」

 「今さらだけどさあ、先生の名前なんて言うの?他の先生と区別する時不便だよ。」

 

 全く授業に関係ない。別に名前なんてどうでもいいでしょ。高校だって平塚先生以外誰も分からないし。

 

 「名前……ですか。名乗るような名前はありませんねぇ。なんなら皆さんでつけて下さい。今は課題に集中ですよ。」

 「はーい。」

 

 プシューーー

 

 ガタッ

 

 「お。できましたか渚君。」

 

 たぶんさっき渡された物を使うのだろう。一番油断するのは昼飯の後で俺達が眠くなる頃に怪物の顔がうすいピンクになったときだからだ。だが、殺せはしないだろう。いくら油断しているからってその程度では怪物は死なないだろう。けど、殺ってみては良いと思うので俺は、銃の準備をする。

 

 潮田はナイフで怪物を狙うが止められ、そのまま怪物に抱きついた。首にはグレネードがぶら下がっている。

 その直後、グレネードは爆発する。

 俺はここを狙う。

 爆発した後、黒い物体が飛び出てくるのがわかった。その物体は、天井に向かって動いたので、先に天井に向けて銃を打った。

 

 ベチョ

 

 そんな音がしたので、当たったんだなと思ったら触手が上から落ちてきた。

 しかし俺が狙ったのは、最悪のタイミングだったようで、顔が真っ黒でド怒りだった。

 

 「寺坂、吉田、村松、比企谷、首謀者は君らだな。」

 

 やべえ。なぜか俺まで入ってる。まあ、追い打ちをしたわけだし、昼休みの時もいたから間違えられてもおかしくはないだろう。

 そして怪物は教室を出ると、全員の表札を持って帰ってきた。

 

 「政府との契約ですから、先生は君達に危害は加えないが、次また今の方法で暗殺に来たら、君たち以外には、何をするかわかりませんよ。家族や友人……いや、君達以外を地球ごと消しますかねぇ。」

 

 そんな言葉に、クラスが凍った。寺坂なんて泣き出しそうだ。

 

 「なっ……何なんだよテメェ……迷惑なんだよ!!いきなり来て地球爆発とか暗殺しろとか……迷惑な奴に迷惑な殺し方して、何が悪いんだよォ!!」

 

 とうとう泣き出してしまった。と言うか、迷惑な殺し方ってわかってたのかよ。片付け大変なんだぞ。

 

 「迷惑?とんでもない。君達のアイディア自体はすごくよかった。特に渚君と比企谷君。渚君は肉体までの自然な体運びは百点です。先生は見事に隙を突かれました。比企谷君は片時も冷静さを失わず、正確に弾を当てましたね。」

 「「ええ!!」」

 「ただし!寺坂君達は渚君を、渚君は自分を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません!人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員それが出来る力を秘めた有能な暗殺者だ。暗殺対象である先生からのアドバイスです。」

 

 この先生はすごいな。こんなときまで生徒の教育をするなんて。

 たぶん、潮田は自分は落ちこぼれで先生にも見てもらえていないから、殺れると思ったのだろう。しかし、相手は怪物だ。そして、最高の教師だ。そんな奴が、生徒を見ていない訳がない。

 

 「……さて問題です渚君。先生は殺される気などみじんも無い。皆さんと三月までエンジョイしてから、地球を爆発です。それが嫌なら君達はどうしますか?」

 「……この前に先生を殺します。」

 「ならば今殺ってみてなさい。殺せたものから今日は帰って良し!!」

 

 「殺せない……先生……あ、名前『殺せんせー』は?」

 

 

 

 こうして殺せんせーと名付けられた怪物と俺の、始業のベルは明日も鳴る。

 

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