やはり俺のパラレルワールドはまちがっている   作:ミステリー

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観察の時間 四時間目

 「お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!!余ったお菓子は先生が回収しておきます。」

 「あ……あのっ、先生……毒です!!飲んで下さい。」

 

 今は理科の時間が終わり、奥田さんが謎の液体を持って正面から殺しにいっている。

 

 「……奥田さん、これはまた正直な暗殺ですねぇ。」

 「あっ……あのあのわ、私皆出さなくてみたいに不意打ちとかうまくできなくて……でもっ、化学なら得意なので真心こめて作ったんです!!」

 

 奥田さんは、人との会話が苦手で素直なのだろう。だから真っ正面から当たっていくのだ。だからと言って毒を作ってしまうのもどうかとはとは思うが。

 

 「それはそれは、ではいただきます。」

 

 飲んじゃうのかよ。

 殺せんせーは謎の液体を飲むと震えだし、にゅっとつのが生えた。

 

 「この味は水酸化ナトリウムですね。人間が飲めば有害ですが、先生には効きませんねぇ。」

 「……そうですが。」

 

 毒の味で何か分かっちゃう上に「人間には有害」って事は殺せんせーは人間じゃ無いって事になる。

 

 「あと二本あるんですね。」

 「は、はい!」

 「それでは。」

 

 そう言うと二本目を飲む。またも震えだし、今度はバサッと羽が生えた。どんどん豪華な顔になってきている。

 

 「酢酸タリウムの味ですね。では最後の一本。」

 

 奥田さんの毒による暗殺でどんどん豪華な顔になってきているので、次はどうなるのかクラス中が興味深々である。

 そして殺せんせーの顔は……

 

 真顔だった。

 

 まったく変化の法則性が読めない。

 

 「王水ですねぇ。どれも先生の表情を変える程度です。」

 「てか先生真顔薄っ!!」

 「顔文字みてーだな!!」

 「先生の事は嫌いでも暗殺の事は嫌いにならないで下さい。」

 「いきなりどうした!?」

 「それとね奥田さん。生徒一人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ。」

 「……はい。すみませんでした……」

 「放課後時間があるのなら一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう。」

 「……は、はい!!」

 

 暗殺対象と一緒に作るのもどうかと思うが、ある程度の毒薬では、殺せんせーを殺せない事がわかったのでよかっただろう。

 

 

 「ヒキタニ。」

 俺が帰り支度をしていると前から声をかけられた。顔をあげるとそこには顔を赤くした速水さんが立っていた。

 

 「何かようか?」

 「この前の猫見に行きたいから、ヒキタニの家に行かせてもらおうと思って。」

 

 予想外だった。猫好きだとは思ったが、まさか俺の家にまで来たいとは。

 

 「悪いな。今日はちょっとあれがあれであれだから無理だわ。」

 

 そう言って断る。何があれかわからないがこれで帰ってくれるだろう。

 

 「わかった。じゃあメアド交換しとこ。」

 「え?」

 「暇なとき連絡よこして。」

 

 そう言われたら仕方がないので、一緒にこっちの世界に来てしまったスマホを渡す。スマホはこちらの世界でも使えることは確認済みだ。

 

 「え!私がやるの!?」

 「よろしく。」

 

 そう言うと渋々ながらも操作を始めた。

 

 「何これ登録数少な!しかも女の人ばっかじゃん。」

 

 そう言いながらも設定が終わったらしい。

 

 「サンキューな。」

 「じゃあ暇なとき連絡してね。」

 

 速水さんが立ち去って行くと俺は帰り支度の続きをしてすぐに帰る。

 

 

 

 翌日、奥田さんは殺せんせーからの宿題で毒薬を作ってきた。

 

 「先生これ……」

 「さすがです……では早速いただきます。」

 

 ゴクン ゴクン ゴクン

 

 「ヌルフフフフフ、ありがとう奥田さん。君の薬のおかげで……先生は新たなステージへ進めそうです。」

 「……えっ、それってどういう……」

 

 殺せんせーは毒薬を飲むと叫びだし、光った。眩しく思わず目を閉じてしまった。

 目を開けると溶けた殺せんせーがいた。

 

 「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです。」

 

 そう言って素早く動いて、片岡さんの机に入った。

 

 「液状ゆえにどんなスキ間も入りこむ事が可能に!!しかもスピードはそのままに!!さぁ殺ってみなさい。」

 

 そう言うと猛スピードで天井や床に入りこむ。クラス中は大騒ぎになった。

 

 「だ、だましたんですか殺せんせー!?」

 「奥田さん、暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ。」

 「えっ……」

 「どんなに優れた毒を作れても……今回のようにバカ正直に渡したのでは暗殺対象に利用されて終わりです。渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」

 「え。……うーん、先生の好きな甘いジュースで毒を割って……特性手作りジュースだと言って渡す……とかかな。」

 「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語力です。君の理科の才能は将来皆の役に立てます。それを多くの人に分かりやすく伝えるために……毒を渡す国語力も鍛えて下さい。」

 「は……はい!!」

 「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね~。」

 

  殺せんせーの力の前では……猛毒を持った生徒でもただの生徒になってしまう。まだまだ……先生の命に迫れる生徒は出そうにない。

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