やはり俺のパラレルワールドはまちがっている   作:ミステリー

8 / 9
 


胸の時間

 五月に入った。

 殺せんせーが地球を爆発するという三月まで……残り十一ヶ月。危機は少しずつ迫ってきている。

 

 「……今日から来た外国語の臨時講師を紹介する。」

 「イリーナ・イェラビッチと申します。皆さんよろしく!!」

 

 新しい教師がやって来た。しかし何故か殺せんせーにベタベタである。しかも殺せんせーが「ヅラです」と言っても「構いません!!」とすごくベタベタである。

                  ・・

 「本格的に外国語に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の半分は彼女の受け持ちで文句は無いな?」

 「……仕方ありませんねぇ。」

 

 殺せんせーが人間の女の人に、しかも体型が抜群にいい人にベタベタされて、どんな顔になるか……

 

 デレデレだった。

 

 普通にデレデレだった。なんの捻りもない顔だ。人間もありなのかよ。

 

 「ああ……見れば見るほど素敵ですわぁ。その正露丸みたいなつぶらな瞳。曖昧な関節。私とりこになってしまいそう❤」

 「いやぁお恥ずかしい。」

 

 だまされるな殺せんせー。そこがツボな女なんていないから。

 

 しかし俺達はそこまで鈍くない。この時期にこのクラスにやって来る先生、けっこうな確率で只者ではない。

 

 

 

 休み時間は特にすることがないので、烏間先生に教えてもらった暗殺バドミントンで壁打ちをしている。しかしここの地面は凸凹で、ほとんど長く続かない。少し休憩すると、イェラビッチさんが……イェラビッチって言いづらい。略してビッチさんでいいや。ビッチさんが殺せんせーの方に走っていった。

 

 「殺せんせー!烏間先生から聞きましたわ、すっごく足がお速いんですって?」

 「いやぁ、それほどでもないですねぇ。」

 

 殺せんせーはデレデレである。

 

 「お願いがあるの、一度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたくて。私が英語を教えている間に買ってきて下さらない?」

 「お安いご用です。ベトナムにいい店を知ってますから。」

 

 そう言い残すと殺せんせーは飛んでいった。

 

 「……で、えーと、イリーナ……先生?授業始まるし、教室戻ります?」

 「授業?……ああ。各自適当に自習でもしていなさい。それとファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?あのタコの前以外では先生を演じるつもりも無いし、『イェラビッチお姉さま』と呼びなさい。」

 

 ……あんた何様だよ。先生を演じる前にもうすでに先生なんですけども。他の生徒も黙り混んでるし。

 

 「……で、どーすんの?ビッチねえさん。」

 

 赤羽もそのあだ名になったようだ。しかし、ビッチさんは嫌だったようだ。まぁ、当たり前か。

 

 「あんた殺し屋なんでしょ?クラス総がかりで殺せないモンスタービッチねえさん一人で殺れんの?」

 「……ガキが。大人にはね、大人の殺り方があるのよ。潮田渚ってあんたよね?」

 

 そう言うと潮田にディープキスをした。というかヤバい。どれ程ヤバいかというと、もうすでに潮田がくたくたなのがヤバい。っべー、マジぱねーわ。

 

 「あとで教員室にいらっしゃい。あなたが調べた奴の情報聞いてみたいわ。ま……強制的に話させらる方法なんていくらでもあるけどね。その他も!!有力な情報 持っている子は話に来なさい!良い事してあげるわよ。女子にはオトコだって貸してあげるし。技術も人脈も全て有るのがプロの仕事よ。ガキは外野でおとなしく拝んでなさい。」

 

 良い事と言うのはやっぱりそういうことなんでしょうね。ぐへへ……おっと危ない、俺は別にそんな事してほしかったんじゃない。ほんとだよ。ハチマン、ウソ、ツカナイ。

 

 「あと、少しでも私の暗殺の邪魔をしたら殺すわよ。」

 

 

 

 しかしさすがプロの殺し屋だ。『殺す』の重みが違う。でも、俺らをガキとして見下しているのと、自分が一応教師であるとわかっていないあたり、嫌いだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。