今は英語の時間のはずだ。
何せ先生のビッチさんが暗殺計画をたてていて、全く授業をしていないからである。
「なービッチねえさん、授業してくれよー」
「そーだよビッチねえさん」
「一応ここじゃ先生なんだろうビッチねえさん」
ビッチネエサン ビッチネエサン ビッチネエサン ビッチネエサン
「あーー!!ビッチビッチうるさいわね!!まず正確な発音が違う!!あんたら日本人はBとVの区別もつかないのね!!正しいVの発音を教えてあげるわ。まず歯で下唇を軽く噛む!!ほら!!……そう、そのまま一時間過ごしてれば静かでいいわ」
まぁ確かにさっきのビッチねえさんコールはうるさいし聞きずらかったな。俺は今は中三ってことになってるけどほんとは高三だからな。BとVの違いくらいは出来る。
烏間先生の体育の時間中にビッチさんが殺せんせーと倉庫に入っていった。暗殺をするのだろう。
他の生徒は見え見えの罠に引っ掛かっている殺せんせーにガッカリしている。
「……烏間先生、私達……あの女の事好きになれません」
「……すまない。プロの彼女に一任しろとの国の指示でな。だがわずか一日で全ての準備を整える手際、殺し屋として一流なのは確かだろう」
ビッチさんは一流の殺し屋なのは本当の事なのだろう。はじめの色仕掛けはほとんど予備に近かったにちがいない。そこから新しい暗殺方法を考えるつもりだったのだろう。今回の暗殺も練りに練った計画なのだろう。
しかしビッチさんの計画はたぶんできないと思う。 この前の男の部下を使うことが間違っている。殺せんせーは鼻が良いので加齢臭でばれるだろう。
ドドドドド……
始まったか。というかこの音はいつもの銃の音ではない。
まさか実弾ではないだろうか。それでは殺せんせーは殺せない。殺せんせーに鉛の弾は体内で全てを溶けてしまうからだ。
だいたい一分だろう。銃声の音が止んだ。
「いやぁぁああ!!」ヌルヌル
なんだろう。悲鳴とヌルヌル音が倉庫から聞こえてくる。
「めっちゃ執拗にヌルヌルされてるぞ!!」
「行ってみよう!!」
俺たちは倉庫に駆け寄る。
すると殺せんせーが倉庫から出てきた。
「殺せんせー!!おっぱいは?」
潮田、それでは変態に間違えられるぞ。
「いやぁ……もう少し楽しみたかったですが、皆さんとの授業の方が楽しみですから。六時間目の小テストは手強いですよぉ」
「……あはは、まあ頑張るよ」
しかしまだビッチさんが出てきてない。少しようすをみようと近づくとフラッと出てきた。
その姿はとても健康的でレトロな服だった。
「まさか……わずか一分であんな事されるなんて……肩と腰のこりをほぐされて、オイルと小顔とリンパのマッサージされて……早着替えさせられて……その上まさか……触手とヌルヌルであんな事を……」
「殺せんせー何したの?」
ほんとなにしたんだよ。ビッチさん倒れちゃったよ。
「さぁねぇ、大人には大人の手入れがありますから」
「悪い大人の顔だ!!」
ほんと何真顔でいってんだ殺せんせーは。
しかも何事も無かったかのように教室に戻ろうとしてるし、他の生徒もそれに続いちゃうしビッチさんが可哀想でしょ。
そうでもないか。
タンッ タンッ
教室にはまたもビッチさんの暗殺計画の準備する音が響いている。
「先生」
「……何よ」
「授業してくれないなら殺せんせーと交代してくれませんか?一応俺達今年受験なんで……」
良く言った磯貝、さすがリア充だな。
「はん!あの凶悪生物に教わりたいの?地球の危機と受験を比べるなんて……ガキは平和でいいわね~。それに聞けばあんた達E組って……この学校の落ちこぼれだそうじゃない。勉強なんて今さらしても意味無いでしょ。そうだ!!じゃあこうしましょ。私が暗殺に成功したら一人五百万円分けてあげる!!あんたたちが一生目にする事のない大金よ!!無駄な勉強よりずっと有益でしょ、だから黙って私に従い……」
ビシッ トーントーン……
「……出てけよ」ボソッ
やっちゃいましたね。
「出てけよくそビッチ!!」
「殺せんせーと代わってよ!!」
「なっ……なによあんた達その態度っ、殺すわよ!?」
「上等だよ殺ってみろコラァ!!」
ブーーーー ブーーーー
……すげえ。初めて学級崩壊するところ見たわ。ほんとにいろんなもの投げるのな。
いやぁ、良いもの見れたわ。
そんなことを思いながらいつものベストプレイスへと向かう。
その途中、烏間先生とビッチさんが一緒に何かを見ていた。俺もそちらを見ると殺せんせーや生徒達がいた。
烏間先生は、殺せんせーのあり方について話しているようだ。烏間先生はビッチさんにもしっかり先生をやってほしいのだろう。ビッチは複雑そうな顔をしている。
俺は期待はせずにベストプレイスに向かった。
五時間目、英語の時間だが皆だらけきっている。
ガララッ……
ビッチさんが教室に入ってきた。
そしてチョークを持つと何かを黒板に書き出した。
「You're iocredible in bed! 言って!!」
ぽかーん
「ほら!!」
「「「……ユ、ユーアーインクレディブルインベッド」」」
「アメリカでとあるVIPを暗殺したとき、まずそいつのボディーガードに色仕掛けで接近したわ。その時、彼が私に言った言葉よ、意味は『ベッドでの君はスゴイよ……❤』」
危なかった。つられて読む前に気づいて良かった。
すみません、ヘタレなもので。
「外国語を短い時間で習得するには、その国の恋人を作るのが手っ取り早いと良く言われるわ。相手の気持ちをよく知りたいから必死で言葉に理解しようとするのよね。私は仕事上必要な時……その方法で新たな言語を身につけてきた。だから私の授業では……外人の口説き方を教えてあげる。プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身につければ実際に外人と会った時に必ず役立つわ。受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい。私が教えられるのはあくまで実践的な会話術だけ、もし……それでもあんた達が私を先生と思えなかったら、その時は暗殺を諦めて出ていくわ。……そ、それなら文句無いでしょ?……あと悪かったわよいろいろ」
「「「……あははははは」」」
「何ビクビクしてんだよ。さっきまで殺すとか言ってたくせに」
「なんか普通の先生になっちゃったな」
「もうビッチねえさんなんて呼べないね」
「……!あんた達……わかってくれたのね」
「考えてみりゃ先生に向かって失礼な呼び方だったよね」
「うん、呼び方変えないとね」
「じゃビッチ先生で」
「えっ……と、ねぇキミ達、せっかくだからビッチから離れてみない?ほら、気安くファーストネームで呼んでくれて構わないのよ」
「でもなぁ、もうすっかりビッチで固定されちゃったし」
「うん、イリーナ先生よりビッチ先生の方がしっくりくるよ」
「そんなわけでよろしくビッチ先生!!」
「授業始めようぜビッチ先生!!」
「キーッ!!やっぱりキライよあんた達!!」
こうしてビッチ先生もE組に馴染んだ。
しかし、俺より馴染むってどうゆうことだろう。俺の方が先に来たはずなのに。
まあビッチ先生はプロの殺し屋だからだよね。