なのは+『現の幻』   作:黒影翼

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エピローグ~現の幻

 

 

 

 

エピローグ~現の幻

 

 

「話にならんな。」

 

休日、魔法戦技訓練場で私とクラウは、フレア=ライトさんという槍使いを相手に二人で挑まされて、ただの一撃で吹っ飛ばされて地面を転がっていた。

と言うか、当人いわくそれでも加減したらしい。ホント何なのこの人達!!

 

「当面の目標は、彼相手に二人がかりで一勝をもぎ取る事です。特にアクアにとっては彼と近い獲物ですので、拾えるものは拾ってください。」

 

現職の局員では、近接戦闘で勝負になる者が殆ど居ないとすら言われてるらしい人を『初手の目標』にするのはどうかと思うんだけど…

 

とはいえ、あんな大見得切っちゃったし、まだマスターさん達とは仲良くなりたいし、フレイアさんとは友達だし、あんまり情けない事ばかりは言ってられない。

 

 

「では取り合えず戦闘の真似事でも出来るように、回避防御を中心に行きましょう。一撃でどちらもする間も無く倒れていたのでは修行になりませんから。」

「うん!」

 

私達の面倒を見てくれているシュテルちゃんの提案に素直に頷く。

クラウの方も無言で頷き…

 

「誘導弾20発3分間、3セット。行きますよ。」

「にじゅ…う、うん。」

「分かった。」

 

何でもないことのように告げられた、桁外れの弾幕にしり込みする私。

対して迷いなく頷くクラウ。

 

弟を前に情けないこと言ってられるかっ!えーいっ!何でもこいっ!!

 

 

 

 

「きゅぅ…」

「はぁ…っ…」

「クラウの気概はいいのですが…どうしても自力不足ですね。基礎鍛錬メニューを作りますので鍛える気ならどうぞ。」

 

事務的にそれだけ告げると、シュテルちゃんはモニターを展開してキーを叩き始めた。

 

体力はともかく魔力はまだ私より絶対低いはずなのに、私みたいに座り込まずに震える足でたっている。

頑張るなぁ…私はそんな意地はる気力もないよ。

 

「さすがに…ヒーローさん達は凄いね…」

 

当たり前にこんな事…って言うか、多分それ以上をこなしているのだと思うと素直に尊敬する。

 

うん、素直に。なのに、何故かシュテルちゃんは手をピタリと止めて私に視線を向けた。

 

「ヒーローなんてものが、本当に居ると思いますか?」

「え?」

 

いつも通りの淡々とした問いかけ。でも何故か、その問いが重い。

居ると思いますかって、そりゃマスターさんのことじゃ…

 

「救えた貴女に、救われた人々にとって、マスターはヒーローに映るでしょう。ですが、全ての人々の救い手たる事は不可能です。」

「そりゃ…うん…」

「ですがそれでは…見捨てるような人がでるようでは、ヒーローたりえません。」

 

人の目には映り、実体は存在しない。

まるで幻みたい。

 

「ゴールのないマラソンをしているようなものです。憧れで近づくのは薦めませんよ?」

 

際限なく大変な苦行。しかも、それが当たり前になってる人達に近づく。

大変だろう。今も十二分に思い知ってる。

 

「んー…やめるのはいつでもできるし、頑張ってみる。」

 

笑いながら言うと、シュテルちゃんは眼を閉じて深い溜息を吐いた。

 

「随分軽いノリに付き合わされる事になりそうですね…」

「あ、そっか、シュテルちゃんにも悪い?」

「…まぁ、かまいません。普通の人がぽんぽんと鋼の意志を持っていても怖いですし。」

 

そう言ったシュテルちゃんの声は、何処か優しげに聞こえた。

そのまま、すたすたと訓練場を去ってしまうシュテルちゃん。

 

「回りの人皆がマスターさんみたいに無茶して命がけの事にかかわってるなら、落ち着かないのかもね。」

 

その姿が完全に見えなくなったところで、クラウが小さく呟く。

 

無理して突っ立ってるクラウ。私はその手を掴んで…

 

「うりゃっ!」

「っ!?」

 

思いっきり引っ張った。

私は座ってるから、クラウは下から引っ張られてしりもちをつく羽目になる。

 

「なら、私達くらい普通に頑張ろう、ふつうに。」

 

クラウは私を見ながら二、三度瞳を瞬かせ、笑顔で頷いた。

将来とかそんな話までは分からないけれど、アレだけの目に遭って懲りてない私はきっとこの後も何かを調べたり追ったりすることは止めないだろう。

 

だから、少し頑張ってみよう。

この目の前にある幻のヒーローさん達と一緒に。

 

 




という訳で、これにて一般人編…というかイクス終了です。


いやー…地味だなぁ(汗)。


ドゥーエが生きてるから情報拾えないじゃん!?
って事に気付いてから考え始め…
主人公まで出来たあたりでなんとなくこうなりそうな気配を感じ、やるか飛ばすか躊躇って…


折角だしやってみよう!と進めたものの、技量と頭の不足のせいか、なんだか地味な感じに(汗)


情報が足りてない人がどういう風に考えるかって言うのをやってみるのも兼ねてたんですが…どうでしょう?
真相知ってる人からすれば、『おーい隣に居るぞー!』って間違いなくなりますから、その辺使ったすれ違いができれてばと思います。


ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!


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今作設定

アクア=トーティア
元気でおっちょこちょいな女の子。
弟のクラウを引き連れて、好奇心のままあちこちを回る。
魔力はA、体力も普通の人よりあちこち回っている為か少しはあるけど、誤差程度。
ノリで参加したDSAAにて、選考会こそ突破したものの一回戦敗退。
そんな経緯で競技参加をやめたものの、自分が出なくてもそういうのが割りと好きなほうで、ヒーローの噂に辿り着いて今回色々と調べ始めた。


クラウ=トーティア
寡黙で頼りなさげにも見える雰囲気のアクアの弟。
可哀想に見える扱いを受けっぱなし。
実際は姉の為に何かするのを苦としていないため、資材だろうと平気で投げ渡す。
魔力はC、ただそんな魔力値で大剣を扱えるように訓練していた為、体力はそれなり。
素養的にアクアより低い事を知りながら、別に鍛錬が好きでもないのに鍛えていたのは、DSAAの敗戦で落ち込んだアクアを見て、力が欲しいとか見たいと思ったときに、自分の力をアクアのために使えるようにしておくため。



…一般人で済むのはここまでだぞー二人とも(笑)。
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