なのは+『現の幻』   作:黒影翼

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File4~第97管理外世界・準備編

 

 

 

File4~第97管理外世界・準備編

 

 

 

集めた資料をばらばらとめくる。

地球出身っぽい人を有名人やらなんかのクラブに参加してる人やら片っ端から調べてみたけど、どうもひっかからない。

エースでないとはいえ、本職の局員さんより手早く安全な仕事が出来るだけの技量と魔力を持ってる人なんて縛りをつけただけで殆どいなくなってしまうと言うのに、地球の人を探すとなると大変だ。

 

テンドウさんとかナカジマさんとかは、多分日本関係につながってると思うんだけど…先祖ってだけじゃさすがに今の地球の事に詳しくないはず。

 

一応ストライクアーツの有段者にノーヴェ=ナカジマさんって人がいたけど…遠目から見てみたけど子供には見えない。

 

大見得きって早速手詰まり。

 

「いっそ事件現場に…張り込んだって管理局の人が正体つかめないような逃げ方する人私が追えるわけないよー!!」

 

ちょっと魔力があったってそんなの不可能だ。

うー…所詮これがお子様の力だっていうの?

 

…いやいや、100パーセント興味だけならともかく、約束したんだしもう少し粘らないと!

 

 

「どうした?難しい顔して。」

「あ、マスターさん。」

 

休日の昼時とかに偶に見かける男の人で、従業員をやってる女の子達からマスターと呼ばれてる。

何をしてるのか、結構見かけるのは珍しい人なんだけど…

 

「いや、『フードのお助け魔導師』について調べてたんだけど…」

「ふーん、見てもいいか?」

「あ、どうぞ。」

 

別に極秘資料と言うわけでもないし、秘密にしなきゃいけない事なら私が知れる訳もない。

自分から喋って回る気もないけど、見てみたいというなら特に断る理由もない。

 

「へぇ…結構調べたな。地球がらみなんだ。」

「今回は約束しちゃったからね、こーなったら高町なのはさん家でも探してみようかな?」

「約束?」

「うん。」

 

局のお兄さんとの約束を簡単に話すと、マスターさんは少し驚いたように瞳を大きく開いた後笑みを浮かべた。

 

「知らない酔っ払いとの約束を守ろうなんて随分優しいな。弟を財布にしてる娘とは思えないぜ。」

「う…それを言ったらマスターさんだって殆ど店にいないじゃん。」

「それもそうだ。」

 

痛いところを突かれた私は言い返してみたけど、マスターさんはサラッと笑顔で認めてしまった。

うーん…芸能人みたいに副業かなにかなのかな?

でもニュースとかで見た記憶はないけど…

 

「でもあれだろ?高町なのはさんって優秀な局員なんだろ?仮に個人情報知ってたってべらべら喋らないんじゃないか?」

「だよねぇ…第一この人たち、管理局が動いてる時に別で動いてるんだから、まさか局員さんの中に仕事サボって変装してる人いないだろうし…」

 

私は口元に手を当てて考える。

あてがない。どうやって探せばいい…

 

「あぁもう!いっそ地球でローブとか魔法使いについて調べられればいいのに!」

「行くか?地球。」

「そんな簡単に…え?行くか?」

 

他人事扱いであっさり言ったのかと思ったら、なんだか提案のような感じになっている事に気がついて…

 

「俺は実家だからな、里帰りしようと思えばできるんだ。」

「ぇ…えぇ!?」

 

あっさり言ってのけたマスターさん。

突然の事態に頭が全くついていかない。

 

それまで黙っていたクラウも驚いたようにマスターさんを見る。

 

「いやいやいや!それは嬉しいけどっ!」

「何だ?そんな上手い話はないって?ま、そうだな。行くなら家の人には許可取らないといけないし、問題はあるな。」

 

自分で言うな!

とツッコミたくなった。相手が大人じゃなかったら言ってしまってたかも知れない。

 

「って、それだけクリアすればいいみたいじゃない。」

「こっちはかまわないぞ。」

「だからなんで!」

 

正直なんだってそんな身内話にいきなり誘われる…って、まぁついでだけど、それでも其処までしてくれる理由が分からない。

怪しい…とまで言うつもりはないけれど、

 

 

 

「アイツ、美人で真面目で物静かだろ?菓子作りか店の事か家族との時間くらいしかもたなかったんだよ。」

 

 

 

店の奥…家とつながってるらしい方向を見ながら呟くマスターさん。

その声が、なんだか本当に優しくて…

 

「ま、そんな可愛い家族の珍しいお友達だ。旅行に一緒に行くくらいなら、別に不思議でもないだろ?」

 

一瞬であっけらかんといつもの軽いマスターさんに戻ったのに、なんだかちょっとついていけなかった。

 

「と、友達って…」

「違うのか?そりゃ俺もちょっとショックなんだけど…」

「い、いや!店長さん嫌いじゃないけど!歳とか違いすぎだしっ!…友達とか言っちゃっていいの?」

「それを言ったら、俺んちの店員はどうなるんだよ。知ってるだろ?」

 

肩を竦めるマスターさんの言葉に、店員さん…店員『ちゃん』達の姿を思い出す。

 

偶に見かける店員さんは、どー見ても9歳前後の女の子達。

それ以外には、なぜかいる背は低いけど渋いおじさんと店長さん、後はマスターさん位しか見かけない。

命がけの管理局ですら実力あれば1桁で働けるわけだし、こんな所で店員やるくらい別に若くてもいいんだろうけど…そんな人達と普通に仲良くしてるんだから、今更私達との歳の差なんて気にするわけがない。

 

「それならまぁ…店長さんが嫌じゃないなら、友達でいっかな。」

「ならよかった、ほらコレを。」

 

店名と店長さんの名前…フレイアと書かれた紙を渡される。ここの連絡先も書いてあった。

 

「ちゃんと家の人に許可取れたらな。近日に出られればいつでもいいから駄目でも教えてくれると助かる。」

「分かった、ありがとねマスターさん。」

 

紙を受け取ってお礼を言うと、マスターさんは笑みを浮かべて家に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…行くの?」

「なに?クラウ。嫌なの?」

 

お店を出たところでクラウが珍しく問いかけてきた。

 

「私と一緒ばっかりだもんね。アンタも少しは他の人に慣れたら?」

「いや、そうじゃなくて…」

「何事も経験経験。第一、お父さんとお母さんに許可貰えなかったらそれまでなんだし、アンタよりお父さん達の方がまともに判断してくれるでしょ。」

 

いや、できれば…というか、なんとしてもいってみたい。

この件があってもなくても、地球って何か色々あるみたいだし。

 

 

個人的には超気になるっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ…」

 

話を聞いてお父さんは神妙な顔をした。

 

「広い世界を見て経験にしてくる。うん、いい事なんだが…その手始めが知らない人との管理外世界とは…」

「友達だってば。」

 

私の話を聞いてますます表情を険しいものにするお父さん。

この間危なかったばっかりだし、心配なんだろう。

 

「そうは言うがな、学校の友人ならともかく」

「あのね!管理外世界ってのは心配するの分かるけど!お店持っててその連絡先まで渡して『許可がないとだめだ』なんていう人が変な事考えるわけないでしょ!人の友達馬鹿にしたら怒るよ!!」

「む…ぅ…」

 

割と真面目に怒ってるのが伝わったのか、お父さんが口ごもる。

 

「でも、心配なのは分かるでしょう?」

「そりゃ…まぁね。」

「それに…チケット代いくらするのか…」

「ぅ…」

 

そういう面でとめられるとなると私は口出しできない。

そう言えば…チケット代とか聞いてないなぁ。地域旅行のレベルじゃないんだ。世界渡るんだから。

 

「連絡してみたら?」

 

話が終わりかけた所でクラウがそんな提案をする。

…なんだかんだで味方してくれるのね。

 

「そだね!知らないのが問題なら話してみればいいよ。断るにも連絡欲しいって言ってたし。」

「そう…だな、お誘いいただいてるわけだし一報入れるくらいはするべきか。」

 

あとはこれでマスターさんたちを信用してくれればいいんだけど…

 

「それじゃ、決まったら明日には教えるから。」

「うん。」

 

と、その日の話はコレでお開きになった。大人だけでする話もあるだろう、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

実際に地球にいけるかはおいておいて、調べる必要のあることをまとめておく。

いけるなら、決まってから纏めたんじゃ遅すぎるし、いけなくたってどの道まだあがくつもりなんだから。

 

「えーと…ローブと魔法使い、刀について、それから…」

 

…人については調べてもどうにもならないだろう。

さすがにこっちで活動してる人の正体なんて分かるわけがない。

 

「格闘技も…かなぁ?DSAAではカンジの流派の人も何人か見かけるし。」

 

当然全部なんて調べられるわけがないことは分かってる。図書館みたいな所を使わせてもらえれば少しくらい…って所だ。

だって、学校の休みに行くわけで長くても1泊2日くらいで、しかもマスターさんたちの帰省のついでなんだから。

 

「はぁ…」

 

息を吐いてベッドに身を預ける。

 

本当に会えるのか?

 

考えてしまうとその途方もない難易度に嫌でも気付く。

公務員でもない子供だからある多くの制限。それに加えて、時に管理局の人より仕事が速い魔導師。

 

正体を知るどころか、会って話すことなんて…

 

「いやいや、まだまだ!」

 

偽者のヒーローも、本物っぽいヒーローにも会えた訳だし、諦めるにはまだ早い。

 

とにもかくにも明日だ明日!!

 

 

 

Side~高町なのは

 

 

「あーのーねー…」

「そう睨むなって!」

 

私は眼を細めて焦った様子の速人お兄ちゃんを睨む。

 

「いいだろ、今回は俺が正規の手順で帰るのに友達連れてくだけなんだから。お前だってヴィヴィオ連れて帰省するだろうが。」

「それはそうだけどね。」

 

ヴィヴィオだって一応『こちら』の住人と言えばそうだ。

第一、クロノ君家だって向こうに住めてるわけだし、地球に管理世界の人と行くのは全くの不可能と言うわけじゃない。

 

けど…

 

「お兄ちゃんやリライヴちゃん、シュテルちゃん達の事を調べている娘を、本人が地球に連れてくなんて…」

「まぁまぁ、誰にも知られちゃいけないって事もないだろ?暴露する気もないが、あの娘が当たりを引くようなら教えてやるさ。」

 

確かに、『絶対に』知らせてはいけないことはそうない。

一応JS事件の関係者である戦闘機人の皆も知り合いや友人はいるし、仲良くなれば自分の話くらいする人もいるだろう。

 

「リライヴちゃん解放の取引については絶対NGだからね。」

「分かってるよ、心配性め。」

「お兄ちゃん限定っ!心配してるんじゃなくて『させてる』んだってば!」

 

今更することでもないのかもしれないけど、速人お兄ちゃんは本当に変わらない。

だから、いつまでも心配なままなんだ。ちゃんと大人になれてない筆頭だから。

 

そうでなきゃならない理由があることは知ってるけど…ね。

 

「それにしても…お前有名人だよなぁ中々。」

「あぅ…授業参観とか、色々と都合悪いんだけどね…」

 

楽しそうにするお兄ちゃんに対して、私は小さく肩を落とした。

お兄ちゃんに通信が入ったところで私が去る間もなく通信が開かれたせいで、映像通信当たり前の次元世界では私の姿もあっさり入ってしまった。

 

 

通信越しのご両親…驚いてたなぁ…悪い事しちゃったかも。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

翌日…なぜか緊張全開の満面の笑みを貼り付けたお父さんとお母さんが快く旅行を了承してくれた。

一体何したんだか、あのマスター。

 

ま、何はともあれいけるわけだし!調べるものの絞込みとかしておこう!

 

 




鍛錬ついででアインハルトが調べられたくらいなので興味もって調査すればある程度の実力者なら名前他調べられるかなー…ということで、調査経路の想像みたいな(笑)
こういう探し方なら軽度の情報なら入るかと。
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