GATE/サーヴァント 彼の地にて、斯く戦えり   作:虚空屍

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 第2話は二重橋での攻防から特地内のでの帝国軍や連合緒王国軍との戦いの末、伊丹が第三偵察隊の指揮を命じられるものです。


2 伊丹耀司二等陸尉、第三偵察隊の指揮を命ずる!

 半蔵門前に集まる避難民。しかし半蔵門が開けられない限り彼等はここで異界の軍勢に蹂躙され想像が着かない程の犠牲者を更に増やす事になる。

 

「だーかーらー、民間人を半蔵門から皇居に入れて反対側から逃がせば良いでしょうがぁーー!」

 

 伊丹は半蔵門の皇宮警備隊の詰所に駆け込み、溢れ出す民間人の避難誘導の仕方を話し出す。

 

 二重橋に集まりつつある異界の軍隊には攻城の為の投石機や城門鎚を乗せた木甲車まで見て取れる。

 

 この惨状に観るに見兼ねたメデイアとギルガメッシュが動き出す。

 

( 耀司様! このままでは民間人の犠牲者が増えますので増援が来るまでギルと一緒に暴れさせて頂きますわ )

 

( この状況じゃ仕方が無いな、頼んだぞメデイア )

 

 メデイアは蝶のごとく浮遊をして纏わせた円環からビームを竜騎兵へと浴びせ掛け次々と落としていく。地上にいる敵兵士群には直径数メートルのヘカティック・グライアーを放ち異界の軍勢をことごとく消し炭に変えていく。

 しかも戦う場所は霊気が集まる皇居で有る為、宝具級の攻撃を放っても魔力の事を考えずに次々と放てる。

 

( やはり私が見込んだ霊地。魔力全開で撃ち放題なんて快感ですわ~ )

 

 ギルガメッシュはメデイアから送られる情報を元に何処に槍剣を射出をすれば良いのか指示を受けて自らの背後の空間から数多の槍剣を浮かび上がらせ雨あれと攻撃を仕掛ける。

 

「フンッ、異界の雑種が…………我に平伏せよ」

 

 こうして増援が来るまでの間、メデイアとギルガメッシュは奮戦をする。

 しかしこの大活躍が一般人の携帯動画で録られたりしたが、後日政府はインターネットに上げられた動画を全てチェックし、鮮明に録られている物は削除対象として公開出来ない処置をし、鮮明でない物のみ暈しを入れ公開させ、自衛隊や警察のドローンであるとして公表せざるを得なかった。

 

 半蔵門にいる皇宮警備隊の警部は皇居の住人の上の方から半蔵門の解放と皇居内での籠城を認められ、開け放たれた半蔵門に避難して来た民間人が我先にと殺到するが、指揮の系統から外れた警察官や有志の民間人が避難の誘導に当たり大きな混乱も無く粛々と避難が始まる。

 

 作戦指揮所となった半蔵門脇の詰め所の伊丹の元に傍の警視庁(桜田門)から機動隊の増援や市ヶ谷から来る陸上自衛隊の情報が入りだす。

 

 異界の軍勢は狭い二重橋で身動きが取れない程に詰め寄せ退く事が出来ない程に集中しだす。それでも城門鎚で門を突いたり、投石機で大きな石榑を投げ込んで来る。

 

 警察官の拳銃や催涙弾等の装備では敵を撃退する迄には至らない。しかし彼等警察官は民間人に被害が出ない様に精一杯粘っている。

 

 そこに警視庁(桜田門)から機動隊の増援が、更には市ヶ谷から攻撃ヘリのAH-64D アパッチ・ロングボウが駆けつけワイバーンに銃撃を浴びせまくり次々と敵の竜騎兵を落としていく。

 アパッチ・ロングボウが攻撃をするに当り未確認の浮遊物体(メデイア)があり、それはさながら民間人を守り敵軍に矛先を向けている事が明白な為、メデイアに流れ弾が当たらない様に攻撃をしていた。

 

 装輪装甲車で現地に到着し出した市ヶ谷からの陸上自衛隊は迫り来る敵軍に雨あられと銃弾や擲弾を撃ち込む。次々と倒れていく敵軍は隊伍を乱し崩れ始める。今まで防戦一方だった機動隊か催涙弾を撃ち込み、『検挙!』の一声で一斉に前に進みだし敵軍の兵士を捕まえ始める。

 

 圧倒的な火力の戦力差の前に隊伍を崩され敗残の兵となった異界の軍勢はゲートの中へと退いて行ったのである。

 

 

 

 

 

 銀座事件の後、北条重則総理は国会で日本と異世界は門で繋がれた陸続きの土地のため日本国内と定義をし、今回の異世界からの侵略者に対してその責任者を逮捕し賠償を求める為に自衛隊を門の中に派遣をする特別地域自衛隊派遣特別法案を提出した。

 一部左派系野党からの反対があったが法案は衆・参議院ともに可決され特地への自衛隊派遣が決定された。

 

 異世界からの侵略者により憲法九条は日本を侵略してくる相手には全く意味を持たない事も当然の事ながら露呈し、今まで憲法九条をお題目の様に唱えていた左派系野党はその支持率を大きく失う事となる。

 

 そして伊丹は二重橋で民間人を救った英雄として防衛大臣から賞詞を受け二尉へと昇進をした。

 

 そんな伊丹は特地派遣隊の第一陣として門を潜る事になる。

 

「耀司様、私達をお連れになっては下さらないのですか!」

 

「聴けば何が居るかも解らない蛮地へ向かわれるなど…………どうか我も帯同させて頂きたい!」

 

「駄目だ駄目だ、二人とも! 自衛官でもないし連れて行ける訳ないだろ。無理言うなよ」

 

 行かせろ、無理だの押し問答の挙げ句、伊丹は少し考え出し、徐に携帯を取り出しある人物に電話をする。

 本人が出ない為、留守伝に用件を残し電話を切った。

 

 待つ事数時間、件の相手からのコールバックが掛かる。嘉納太郎である。

 

『わりいなぁ伊丹、待たせちまって。二尉に昇進おめでとう』

 

「いえ、有り難う御座います。それにこちらこそ突然に済みません」

 

『で、お前さんの用件って何だ?』

 

 伊丹は先ず自身の特地行きを切り出す。

 

「閣下は俺が特地派遣隊なのはご存知ですか?」

 

『ああ、名簿にお前さんの名前があったよな』

 

 暫し言い淀む伊丹であるが思い切って話の本題を切り出す。

 

「…………うちのかみさんとサーヴァントのもう一人が連れて行けって…………」

 

『はぁ~?…………』

 

 とんでもない伊丹からの電話に暫し考え込む嘉納太郎。すると突然話を切り換える。

 

『そう云やぁ観たぜ、公安が録っていた二重橋での映像。お前さんの奥さん大活躍だったな。それともう一人も頑張っていたよな。そいつかい?』

 

「はい、ギルガメッシュといいます」

 

『う~ん…………』

 

 またまた電話口で悩む嘉納太郎。

 

『…………解った。二人の件は防衛大臣の俺が直々に体裁を整えてやる。これで以前の約束はチャラだぜ』

 

「有り難う御座います、閣下!」

 

『但しだ、身の安全までは保証できんぞ』

 

「その点はご心配なく。俺より頑丈ですから」

 

 こうしてメデイアとギルガメッシュは防衛大臣直轄の特別任務をもつ肩書きが与えられ伊丹と共に特地へと赴く事になった。

 

 

 

 

 

 銀座の門の前に整然と並ぶ特地派遣隊隊員。その中にはメデイアとギルガメッシュも紛れている。

 

 本位慎三総理による出陣式の後、派遣隊は74式戦車を先頭に派遣隊員を乗せた装輪装甲車が門の中を通り特地へと向かう。

 

 門を潜り抜けた派遣隊が見たものは夜ではあるが辺り一面に草が茂る丘陵であり、門は丘の頂きに存在している。銀座とは全く異なる風景。予め調査をして地形を把握してはいたが改めて見てみると異世界に来た事を実感する伊丹。

 

( とうとう来ちまったんだなぁ )

 

 すると先頭の74式戦車から敵襲の報せがあり、装輪装甲車から隊員達が即座に後部ランプから下車し部隊を展開させる。

 

「敵さん待っていたんだ、ご苦労なこった」

 

 愚痴る伊丹もメデイアとギルガメッシュを連れて下車するとメデイアは人目の着かない所から浮遊を始め辺り一面を見回す。

 

「この丘は霊脈集まりし地って所かしら。合格点だわ」

 

( メデイアもギルも手を出すなよ。或意味敵の強さを計る為での戦闘でもるからな )

 

 伊丹からの注文にメデイアは悔しがる。

 

( あら残念。またヘカティック・グライアーを打ち込んで差し上げようと思っていましたのに )

 

( 今はあの荷電粒子砲みたいな奴は勘弁だな )

 

 丘の麓には帝国軍が焚いた松明が無数に見え隊伍を組んで向かって来るのが見て取れる。

 

 展開を終えた74式戦車と普通科の隊員達は今か今かと攻撃命令を待っている。74式戦車の主砲有効射程に帝国軍が差し掛かった時にその主砲が火を吹く。

 

 それでもかい潜って来る帝国兵士もいる為、普通科の隊員達の小銃が火を吹き迫り来る帝国兵士をなぎ倒して行く。まさに一方的な蹂躙である。

 

 こうしてアルヌスの丘は血に染まって行く。

 

 この一戦を観ていたギルガメッシュは現代戦の用兵や戦術に興味を持ち出す。

 

 

 

 

 

 帝国兵士の六割を失う事となった今回の出征で帝国の元老院では皇帝に対し責任の追求と今後の兵力の回復の議題を持ち出す。武断政治を行ってきた帝国にとり、この壊滅的な戦力の減衰は周辺諸国に対する帝国の立場を危うくさせる。

 しかも自衛隊の逆侵攻により帝国内の門周辺の聖地アルヌスの丘を占領され未だ奪還の目処が立っていない。

 

「失態でございましたな、陛下」

 

 カーゼル侯爵はモルト皇帝に詰め寄る。

 

 それに対しモルト皇帝は

「百戦して百勝ともいかぬまい」

 と言い、将官の責任のみならず己が責任の所在を曖昧にした。

 

 しかしアルヌスの丘を奪還しようとし撃退され生還した元老院将官の中には今まで見たこともない武器を魔導によるものと捉え、その破壊力に警戒を抱く。

 

 帝国の威信を掛け門周辺のアルヌスの丘を取り戻さねばならないが兵員が揃えられない今、モルト皇帝はある決定を下す。

 

 帝国や属州、そして緒王国があるファルマート大陸から侵攻勢力の一掃の為、周辺国や属国に援軍要請をして『連合緒王国軍』の召集を決めた。

 

 門から侵攻して二日で撤退を開始し七日後にはアルヌス周辺から駆逐された状況にも関わらず兵馬を進めるモルト皇帝にカーゼル侯爵は言上する。

 

「陛下、アルヌスの麓は人馬の躯〈むくろ〉で埋まりましょうぞ?」

 

 

 

 

 

 召集を掛けられた連合緒王国軍はファルマート大陸を守ると云う大義名分で集められた帝国の属国や周辺国二十一ヶ国からなる十万を動員した軍隊である。それが今、アルヌスの丘が一望出来る所に集まり宿営地を作る。

 

 この宿営場所は彼等が今まで戦って来た経験から弾き出された敵との距離を置いてのものである。それは弓弩や魔導攻撃の射程距離、騎馬隊の脚の速さなどである。

 

 本陣には顔見知った各国の王達が集まり雑談に華が咲く。

 

「おお、デュラン殿」

 

「これはリィグゥ殿」

 

 エルベ藩王国のデュラン王とリィグゥ公国のリィグゥ公王は隣国の仲であり、そのリィグゥ公王が気軽に話し掛ける。

 

「この度の戦い、連合緒王国軍は三十万を号しており鎧袖一触ですな」

 

 本陣には各王国の王が一堂に介しているが連合緒王国軍を招集した帝国の司令官が現れない。暫くすると帝国の伝令が到着し、帝国軍は丘の敵と対峙している為、司令官が離れられないと各王に伝え去っていく。

 

 この帝国の司令官不在に善からぬ怪しさを感じるエルベ藩王国のデュラン王。しかし他の王達は三十万を号する兵力を揃え皆が楽観的である。

 

 アルヌスの丘に陣取る敵兵は多く見ても一万足らず。しかも丘の斜面に豪を掘っただけの簡易な防御陣地。その様な敵に対しデュラン王は何故皇帝が連合緒王国軍を集めたのかを考え始めた。

( おかしい。皇帝は何を考えている………… )

 

 

 日の出と共に隊伍を組む連合緒王国軍。そこで目にしたのは敵の簡易な陣しか見えない丘。丘に居る筈の帝国軍の姿が全く見えない。

 そして丘の麓で隊伍を組んで前進をしようとしているのは連合緒王国軍の前衛を名乗り出た三王国、アルグナ王国軍、ムドゥワン王国軍、リィグゥ公国軍である。

 帝国側の言っている状況と違う事にリィグゥ公王は怒鳴る。

「帝国軍は何処に居るのだ!?」

 

 アルヌスの丘の麓に各王国の軍勢が隊伍を組んで丘の頂きに向かい前進を始めた途端、爆音と共に兵達が吹き飛ばされて行く。

 

 彼等の感覚では未だ敵の射程外なのであるが、自衛隊側からすると既に敵はキルゾーンに入って居るのである。

 

 亀甲陣を組むが全く意味を持たない。亀甲陣を組もうが組むまいが榴弾砲が大地もろとも吹き飛ばし将兵の身体は四散していく。

 目の前の光景に驚愕するデュラン王。

 

「なっ、なんとっ! アルヌスの丘が噴火しとるのか!?」

 

 竜騎兵をもってしても丘の頂きには近付けない。次々と対空機関砲で撃ち落とされていく。

 この日の戦いは特科隊の一度の一斉射の砲撃を受けた連合緒王国軍の前衛が全滅し終了した。

 

 二日目の攻撃でも帝国軍不在のまま連合緒王国軍の攻撃が始まるが、自衛隊には肉薄出来ず悪戯に兵を失うばかりであった。

 

 もはや連合緒王国軍とは云え無くなる程に数少なくなった兵力に残った王達が撤兵すべきとの発言をするが、冥府へと散って行った諸国の王達と兵達の無念を晴らすまでは退く事はしないとデュラン王は言い放つ。

 

 後詰めとして最後まで残っていたデュラン王麾下のエルベ藩王国は未だ健在である。

 

「夜襲じゃ、これなら敵に気付かれずに肉薄できるぞ!」

 

 残ったデュラン王と他の王達は兵を纏め隊伍を組み物音を立てず静かに軍を進める。

 

 暗視装置で連合緒王国軍の動きを把握している自衛隊は敵を十分に引き付け幾つもの照明弾を放つ。

 

 すると突然辺りが昼間の様に明るくなり危機を察したデュラン王は全軍に突撃命令を下し、自身も馬での突撃をするが、防衛ラインに張られている鉄条網にデュランや他の兵が絡み先には進めない。

 彼は自らの軍勢がただただ銃弾に倒れ、砲弾により吹き飛ばされるのを目の当たりにしているしかなかった。

 進退極まったデュランの付近にとうとう砲弾が炸裂し、彼は吹き飛び宙を舞い意識を失ってしまう。

 

 

 

 

 

 翌朝日が昇り、昨晩戦場となった屍が累々とする丘陵を敵国の負傷兵探しがてら彷徨く伊丹とメデイア、そしてギルガメッシュ。

 

「よくもまあこんなに…………銀座の時と合わせて十二万人の戦死者だろ…………」

 

 伊丹の話に異を唱えるメデイアとギルガメッシュ。

 

「私やギルにはこの現状、何故ここまで戦うか解る様な気がします」

 

「そうです。自衛隊側は現代戦ですがこの蛮地の将兵には古いですがこの戦い方なのです。損耗率とかの数字ではなく情で動きますよ。昨晩も散って逝った仲間の為に退くよりは敵に一矢報いたいと考えた敵将が恐らく居たのでしょう」

 

 伊丹はそんな上官の下では戦いたく無いし、部下にもそれを押し付けたくは無いと呟く。

 

「そんなもんなのかねぇ…………嫌だ嫌だ」

 

 

 

 

 

 上官の檜垣三佐から呼び出しを受けた伊丹は自衛隊が特地内の更なる調査をする事を聞かされる。

 

「はぁ、調査ですか。良いですね」

 

 他人事の様に答える伊丹は何故自分がここに呼ばれたかなど考えてはいない。

 

「君が行くんだ!」

 

「俺一人でですか?」

 

「違うっ! 深部情報偵察隊を六個編成して、その内の一つを君が指揮をするんだっ!」

 

 伊丹はやっと呼ばれた訳を理解する。檜垣三佐は今後の活動に協力して貰える様に現地民と友好関係を持てる様にせよとも伊丹に釘を刺し話を繋ぐ。

 

「伊丹耀司二等陸尉、第三偵察隊の指揮を命ずる!」

 

 




 最後まで読んで頂き有り難う御座います。

 解ってはいましたが特地内の軍に対して自衛隊がチートなんですよね。そんな状況でサーヴァントが大活躍できるのか?

 作中の二重橋の攻防で駆け付けた攻撃ヘリにアパッチ・ロングボウを登場させましたが、失敗でした。
 現在の陸上自衛隊に納入されているアパッチ・ロングボウは13機で、整備、メンテナンスを考えると使えるのは6機となります。しかも今後アパッチ・ロングボウの国内ライセンス生産は無い様ですので些か現実味に欠けてしまいました。

 この調達打ち切りの背景には地対空ミサイルの命中精度の著しい向上により武装ヘリの生存性が低下した事が原因にある様です。
 因みに調達予定機数の1/5しか生産させて貰えなかった重工側は、生産ラインなどの投資の回収が出来ず裁判を起こしましたね。

 山や森林の多い日本ですが、それでも武装ヘリの必要性を薄れさせて仕舞う対処兵器の進歩に驚異を感じざるを得ません。
 このままでは武装ヘリが時代遅れの代物になってしまいますね。


ではでは…………


虚空屍
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