コダ村の避難民が炎龍に襲われてしまいます。
これでもサーヴァントを精一杯活躍させています…………
炎龍出現の報せを聞いたコダ村の住人達は各々が荷馬車に財道具を積み始める。中には家財を積み過ぎて車軸が折れてしまう馬車もある。そんな馬車が村の道を塞ぎ村人達の避難を遅らす。
コダ村に住む魔導師カトーとその弟子である少女、
レレイ・ラ・レレーナは荷馬車に大量の書物や魔導に関わる道具を積み込む。しかし過積載により馬車はピクリとも動かない。
仕方無くレレイは馬車に浮遊の魔法を懸けて僅かに浮かせ動き出す。しかし村の道は車軸が折れた馬車が塞ぎ渋滞を起こしていた。
そんな渋滞の中を斑服を着た異国の言葉を話す者が何やら指示を出しているのが目に留まったレレイ。中には女性と思われる斑服を着た者も居る事に気が付く。
「お師匠、ちょっと見て来る」
レレイは渋滞の先頭の状況を確めるべく馬車を降り荷馬車が列なる先頭へ向かう。
そこには脚が折れ暴れる馬と横倒しとなり道を塞ぎ荷が散乱した馬車がある。
馬車から投げ出された親子は道端で倒れ込んでいるが、既に伊丹達が怪我人の状態を確認しメデイアがひっそりと治癒の魔術を懸け回復させている。
倒れて意識の無い少女にメデイアが治癒の魔術を懸けているとレレイが傍に寄って来る。レレイはメデイアが魔術を行使しているのが判り、メデイアもレレイから魔力を感じた。
「もしかして貴女は魔術師なのから」
「私はレレイ。魔導師カトーに師事する賢者」
「あらっ! これは失礼したわ。可愛い賢者さん」
怪我の治癒をしていると突然馬が立ち暴れだす。身の危険を察したレレイだが逃げ場が無かった。
それを見たギルガメッシュは暴れ馬に飛び乗り首をへし折り馬をどこか遠くに放り投げレレイは命の危機を救われた。
( この人達は私を助けた…………?)
この状況を目の当たりにした伊丹以外の三偵の皆は口をアングリと開けギルガメッシュの持つ力を思い知った。
「伊丹さん、勝手に行動して済みません」
頭を下げるギルガメッシュに伊丹は握り拳に親指を立てる。
「ギル! グッジョブ!」
そんなギルガメッシュの人為らざる怪力振りを見せ付けられた隊員達は伊丹に詰め寄り詰問する。
「たぁ~いちょ~、あのギルガメッシュって人、何者~?」
「ああ、ギルの事ね。後で話すから」
伊丹は適当に誤魔化しつつ今は目の前で起きている村人達の誘導を第一に行う様指示を下す。
隊員達は伊丹の指示通りに動いているがメデイアとギルガメッシュが第三偵察隊と行動を共にしている事をいぶかしがる。
( メデイアさんは二尉の奥さんとか言うしギルガメッシュさんは暈されるしどんな人達何だろう………… )
どうにか村の道は通れる様になり村人達の荷馬車が村を抜けて主要街道に進み出す。
照り付ける太陽の下、街道をノロノロと進む荷馬車や人の列は先頭に居る伊丹達からもその最後部が見えない。
前日の雨で道が
中には道脇に横転したり車軸が折れた荷馬車もある。全ての者が公平には生を与えられている訳では無い。列から落伍する者、せめて子供だけはと他人に託す家族。皆が自分達だけで精一杯なのである。
伊丹の乗る高機動車にも妊婦と怪我人、それと身寄りを無くした子供達が乗っていた。七三式トラックにも定員オーバーの子供や老人を乗せている。
避難民達と歩みを共にしているメデイアが伊丹に念話で話し掛ける。
( 耀司様、私の魔術でこの状況を──── )
( メデイア駄目だ。冷たい様だけど俺達は彼等の生活や習慣に介入してはいけないんだ。俺達に出来る事はほんの少し手を貸すこと位なんだよ )
( でしたら私の竜牙兵を泥濘に嵌まった荷車の引き上げ等の使役に使わせて下さい )
( 竜牙兵に肉体労働か…………良い提案だね、有り難うメデイア。避難民の隊列の最後尾に竜牙兵を派遣してくれ。流石にうちらもそこまで目が届かないから )
メデイアは隊列の最後尾に竜牙兵を地中から沸き上がらせ脱落しそうな避難民の手助けを任せる。最初こそは怖がっていた避難民も手助けをし出す骸骨に慣れ出し、泥濘に嵌まった荷馬車が出ると骸骨が無言で荷車を押し出すと云った奇妙な光景があちこちで見られる様になる。
竜牙兵の行動が徐々に隊列の前方に噂として流れてくる。それを耳にした栗林二曹。
「二尉、骸骨の集団が避難民を助けているとの噂が流れていますので、確認してきます」
「いや、その必要はないよ。彼等は無害だから安心していいからさ」
「えっ? 二尉はご存知でしたので?」
「ん? メデイアが絡んでいるから気にしないで」
隊の士気の事もあり伊丹はメデイアを奥さんだのかみさんだのと言う事を避ける。
「二尉の奥様は何をなさっ────」
「帰ったら話すよ…………それとメデイアの事を奥様とか呼ぶのは止めてくれ。一応ここだけの話なんだから他の隊の隊員達に知れたら大変じゃない?」
黙々と歩き続ける事に飽きたメデイアは村で見掛けたレレイの乗る僅かに浮遊している荷馬車を探し出し彼女に近付き声を掛ける。
「あらっ、村で会った可愛い賢者さん」
「あっ、貴女は────」
レレイが返答しようとした途端、同乗している魔導師カトーが口を挟む。
「これはお美しい方じゃな。この荷馬車は狭い故、儂の膝の上で宜しければお座りなさい。さあ────」
そんな師匠の恥ずかしい言動にレレイは風の魔法を以て彼の顔面に圧縮した空気をぶつける。
「これ、止めんかレレイ。魔法をその様な事で軽々しく使って為らん」
二人のやり取りを見てクスり笑い出すメデイア。
「貴方がそちらの可愛い魔法使いさんの師匠さんって事なのね。貴方の膝の上に座らせて頂くのは遠慮しとくわ」
メデイアのローブ姿に同業者の匂いを感じたカトー。
「あんたも魔法使いか?」
魔導師カトーの言葉を首を横に振り訂正するメデイア。
「私は魔法使いではなく魔術師よ」
レレイは村で見た事を師匠のカトーに話す。
「お師匠、この人は村で怪我をした人に斑服の人達と治癒の魔法を懸けていた」
メデイアは日本と特地の文明の進化レベルの違いを思う。
( 耀司様の世界では魔術の区分に入る物でも、此方の世界では魔法になってしまいますわね。しかしこの世界の魔法とはどの様な物なのか情報を集めないといけませんわね )
メデイアは暇潰しに荷馬車に乗っているレレイやカトーらと話ながら歩き出す。
伊丹に隊員から直ぐ傍で荷馬車の車軸が折れたと報せが入る。
伊丹は村長を連れ壊れた荷馬車の持ち主に会い村長説得の下、必要最低限の物を持たせ壊れた荷馬車に火を着ける。
高機動車に戻った伊丹は黒川二曹に疑問を呈される。
「二尉、何も火をかけなくても良いのでは…………」
「ああでもしないとずっと彼処に立って動こうとしないからさぁ…………」
「なら本部に車両増援は要請出来ないんですか!?」
「此処は敵地だよ。増援頼んで敵さん刺激して戦闘始まって挙げ句戦力を逐次投入なんて泥沼には入れない、ってさ」
伊丹の答えに黒川は伊丹も同じ事を考え本部に伺っていたのだと判る。
「それにそうなったら避難民を巻き込む事にもなるし…………」
第三偵察隊の車両は荷馬車の列の速度に合わせての運転である。ローのままのリープでの亀の様な走行。運転をしている倉田は教習所以来だとボヤく。
高機動車の助手席に居る伊丹の視界に常にチラチラと入るギルガメッシュ。これも高機動車に随伴して歩いている彼なりの伊丹に自分の所在を把握させる手段である。
「伊丹さん、こんな村の連中放って置いてさっさと帰りましょうよ。生き残る者は死の淵にあっても生き残りますし、死ぬ者は何もせずに己の不幸のみを嘆き死んでいきます」
この様な逃避行に手を貸す意味が解らないギルガメッシュに伊丹が眉間に皺を寄せ、ため息を吐き答える。
「ギルゥ~、物騒な事を言うなよ~。第一、人道的では無いでしょ! そんな事をしないのが自衛隊な訳よ。それに万が一、放置をしたとか嫌疑が懸かっただけで政府が野党から吊し上げ喰らうしさ」
「現代日本は温い、温すぎる! 恐らくこの地でもそうだと思いますが、私が治めていた時代は強者が、そして生きる術を持った者が生き残ってこその世界でしたが!」
伊丹の横で運転をしている倉田には丸聞こえである。
( 隊長の知り合いって何者? たしかポタポタ王とか言っていたっけ…………)
「ギルの頃とは時代が違うんだよ。早く現代世界に馴染めよ」
「それはそうですが…………」
車外のギルガメッシュと話をしていると前方に不自然なまでのカラスの群を目にした伊丹は双眼鏡を覗き、ハルバートを携え座り込んで居る黒服のゴスロリ少女を確認し部下二人と万が一に備えてギルガメッシュを遣わす。
ハルバートを持つ少女に警戒感を露にしたギルガメッシュが言い放つ。
「其処に居ては通れぬであろう。とくと失せよ、雑種」
いきなりの高圧的な態度に同行した隊員達も冷や汗をかきながら件の少女に話し掛けるが話が通じない。
「我の言葉が解せんのか雑種? ならば直接身体に────」
『ギル~、その先を言ったらアウトだからな~』
無線から伊丹の声が入る。
「はいっ!」と直立不動になるギルガメッシュを脇に見ながら伊丹達の乗る高機動車に歩み寄る黒ゴス少女。
「貴方達は何処からいらしてぇ、どちらへ向かうのかしらぁ?」
特地語が解らず慌てる伊丹を余所に同乗している子供が答える。
「コダ村からだよ、お姉ちゃん」
「嫌々連れて行かれているとかじゃ無いのぉ?」
「違うよ、村の近くに炎龍が出たから避難しているんだよ」
黒ゴス少女は子供に『
レレイやカトーの話し込んでいたメデイアは列の先頭に人為らざる雰囲気を感じた。
「導師さんと賢者さん。ちょっとお暇を頂きますわね」
するとメデイアがローブを拡げ蝶の様に舞い上がり伊丹の元へと飛び去ると、レレイとカトーはひたすらぽかんと口を開け空を眺めている。
「お師匠! あれは凄すぎます!」
「あのご婦人はどこで魔導を極めたんじゃ? レレイよ、世の中は広い。我らの知らん魔法も未々有ると考えよ」
伊丹の乗る高機動車の真上に着いたメデイアはゆっくりと降りる。
「そこのゴスロリさん。貴女は何をしようとしているのかしら?」
メデイアのその只ならぬ魔力を感じた黒ゴス少女は、驚きこそしたものの悪びれもせず高機動車の助手席に乗り込み伊丹の膝の上に座り出す。
「小娘がぁーーーー! 耀司様の膝の上に座るなど────」
メデイア周辺の魔力が高まりだし周囲に円環を纏うが、それに気が付いたギルガメッシュが慌ててメデイアと高機動車の間に身体を割り入れる。
「キャスター! 伊丹諸とも吹き飛ばすつもりか!?」
必死に止めるギルガメッシュに諭され魔力を収めるメデイアだが、伊丹の膝の上に座る小娘がどうにも気に入らない。
そんなメデイアの気持ちを察した伊丹はゴスロリ少女にシートを半分譲る。
「はぁ~ぁ、シートに半ケツかぁ。尻が痛くなるし落ち着かないねぇ」
「よ、耀司様~…………」
倉田は空を飛んで来たメデイアの事を隊員を代表して伊丹に訊き出す。
「隊長~、メデイアさんってどんな方なんですか? さっきも空を飛んでいたし…………」
「メデイアか? ん~~……………………魔術師」
「ええーーーーっ!」
車中に居る倉田と黒川が驚きの声を上げ、それが外に居る隊員達にも聞こえる。
「隊長、ちょっと待って下さいよ! メデイアさんとは日本で知り合ったんですよね? 特地の人じゃ無いですよね?」
「ああ、メデイアとは俺が文科省に出向していた先の冬木市で知り合った。彼女は日本国籍もあるぞ」
「魔術師なんて日本に居たのかよ…………」
呟く倉田に、政府も情報を隠す聖杯戦争を大衆に公言出来ない伊丹。
「この事は極秘事項でもあるから他には話すなよ」
後部に居る黒川が話に入ってくる。
「二尉、メデイアさんってもしかしてギリシャ神話に出て来るあのメーデイアですか?」
「おっ、クロちゃん知ってるね~。お父さんが海自なだけの事はあるね」
「船乗りに星の位置情報は基本らしいですから自ずとギリシャ神話の話を聞かされました。まさかギルガメッシュさんはあの叙事詩の方ですか?」
「鋭いね! そう云う事。帰ったら皆に詳しく話すよ」
倉田や黒川のお陰(?)で隊員皆にメデイアとギルガメッシュの正体が人為らざるものを持っている者である事が知れ渡る。
昼過ぎになり太陽は午前中とは比べられ無い程高く昇り辺りはその熱射に晒される。
そんな高く昇った太陽を背に巨大な龍が避難民の列に襲い掛かる。
ある者は上半身を喰い千切られ、またある者は踏み潰される。そして口から吐かれた炎により辺り一面が焼け、避難民も焼かれていく。
「二尉! 隊列後方に炎龍です!!」
軽装甲機動車の銃座に居る笹川陸士長が伊丹に報せる。
伊丹は隊員達に戦闘準備をさせ避難民から炎龍を引き離す為、炎龍に向けて各車荒れ地を走り出す。
一方伊丹から炎龍を避難民から引き離す様に念話で指示されたメデイアとギルガメッシュ。
メデイアは空高く舞い上がり、炎龍の気を引く様に自身の周囲に纏った円環からビームを放つ。
「貴方の相手はこの私ですわ!」
レレイは空を浮遊するメデイアを見付け空を指差し師匠のカトー導師に言う。
「師匠、あそこにさっきの魔術師の人が!」
カトーがレレイが指差す方に目をやるとメデイアがヒラヒラと空を舞い、炎龍に魔術攻撃を展開している。
「おおっ! これは凄いぞレレイよ! よく見ておきなさい」
ギルガメッシュも炎龍の背後に回り込み何も無い空間から数多の槍剣を出し射出する。
「ふっ、トカゲ擬きが。まさに雑種か」
メデイアのビームは炎龍の厚い鱗に弾かれ、ギルガメッシュの槍剣も突き刺さりはするが炎龍には蚊に刺された程度の感覚でしかない。
「よく踊るではないか、雑種」
( 本気では無いとは云え、我の剣の投射では手傷を負わせられぬとは! あの様な雑種にはこの王の剣を使いたくはないのだが、ここは乘離剣エアでも──── )
ギルガメッシュ乘離剣エアの使用を考えた途端、伊丹からギルガメッシュに念話が届く。
( 駄目だギル! エアは使うな! この世界へ及ぼす影響が解らない!)
メデイアとギルガメッシュが気を引いている間に伊丹達が到着し各車が避難民から炎龍を引き離す様に荒れ地を全速で走りながら一斉に銃の引き金を引く。
伊丹は軽装甲機動車からは
「駄目です! 弾かれます!」
叫ぶ笹川に伊丹は言い返す。
「兎に角当て続けろ! 撃て! 撃て!」
弾かれる事が解りつつも各自が小銃を撃ち続けていると炎龍の口元が赤く光り出す。
「ブレス来るぞ!」
全車の回避行動と炎龍が考える以上の機動力で火炎の直撃は免れる。
伊丹達が炎龍のブレス攻撃に晒されるのを見たキャスターは肝を冷やすが、無事に回避したのを見届け胸を撫で下ろす。
「よくもよくも私の耀司様をーーーーっ!」
メデイアは怒りに震え、効果の無いビーム攻撃を止め、直径数メートルはあるであろう巨大な光線、ヘカティック・グライアーを放つが炎龍が姿勢を変えた為、狙いが逸れ尾の先端を焼くに留まる。宝具級とは云えヘカティック・グライアーでは炎龍と相性が悪い様である。
荒れ地を全速で走る為、高機動車の中に居る避難民の子供や怪我人も車内にしがみついて居るが右や左に身体を振り回されている。そんな中に意識を取り戻したエルフの娘が現状を把握し伊丹な炎龍の目を狙う様に自分の目を指を差しながら何度も「ono! ono!」と言う。
彼女の意図する事が解った伊丹は全車に炎龍の目に射撃を集中させるよう指示を出す。この目を狙った攻撃に炎龍は顔を庇い動きが止まる。
伊丹は軽装甲機動車の勝元に個人携行の対戦車弾を使うように叫ぶ。
「勝本! パンツァーファウストだ!」
笹川と入れ替わる様に車上に出てきた勝本は
「よっと、後方の安全確認」
皆が早く撃ってくれと願う中、荒れ地での行進間射撃となり走行の揺れでスコープにターゲットを捉えられずタイミングが合わない。
照準内に炎龍を捉えた勝本は引き金に指を掛けるが、悪路の凹凸で軽装甲機動が揺さぶられ必要以上の力で引き金を握り締めた為、弾頭の軌道が炎龍から逸れだす。
「あいつガク引きしやがった! ありゃ当たらねえなぁ」
翼を広げ飛来する弾頭を避けようとする炎龍に、高機動車の幌を破り、上体を出した黒ゴス少女が投げたハルバートが当り脚をもつれさせ倒れ込む。しかし伊丹の予想した様に弾頭は外れるが、黄金の鎧を纏ったギルカメッシュが炎龍の背後から跳躍し斬りかかる。
「雑種が我に余計な力を使わせるとはな」
一振りで炎龍の左肩から先を切り落とすギルカメッシュ。
恐らくは食物連鎖の絶対的な頂点に位置する炎龍自身ですら信じられない事が起きたのであろう。自分自身の身体の一部をもぎ取る存在。そして初めての痛み。
片腕を無くした炎龍は、大地を揺るがすかの様な咆哮を上げると翼を拡げ羽ばたき、最後の一撃とばかりに浮遊するメデイアを叩き落とし空へと飛び去って行く。
「きゃぁ!」
盛大に地面に叩き付けられたメデイアは飛び去る炎龍に悪態を着く。
「痛たたたっ! 何なのよ、あの大トカゲ野郎は!」
伊丹は奮戦した後に墜落したメデイアの元に駆け寄る。
「メデイア! 大丈夫か!?」
「ええ、大丈夫ですわ。隊員の方々は皆さん無事ですの?」
「ああ、君やギルの活躍のおかげで助かったよ。それにしても流石だったな、ギル」
「まあ、あんな雑種ごときにこの我に手を下させるとは、伊丹の慢心も大概にいたせよ」
素に戻っているギルカメッシュに嬉しさと頼もしさを感じ伊丹は礼を述べる。
「ああ、有り難う。ウルクの王よ」
「くっ、何を今更……伊丹さん」
伊丹は隊員達やメデイア、そしてギルガメッシュが無事であった事にほっと胸を撫で下ろすが、村人の損害が著しいものである事に胸を痛める。
何やらどこかの宗派の神官なのだと言う黒ゴス少女。隊員達は村人と共に犠牲となった人達を埋葬し黒ゴス少女が神に祈りを捧げる。
三日三晩の逃避行の後、避難民がそれぞれの新天地に向かうに当り伊丹は身寄りの無い子供や怪我人についての処遇を村長に話すが神の思し召すままだとの答え。
「薄情に聞こえるかも知れんが、避難民皆が自分の事で手一杯で誰も引き取れないんじゃ」
余りの薄情さに驚くが、それでも避難民がそれぞれの地へと別れ去って行く姿をいつまでも手を振り見送る第三偵察隊の隊員達。
こうして散り散りになった避難民達が何の見返りを求めない炎龍を撃退した緑の人の伝説を拡めるのである。
残された怪我をした大人や身寄りの無い子供達合わせて二十三名は村長からも見捨てられたと理解をし、伊丹の判断に身を委ねるしか道がなかった。
皆の視線が伊丹に集まる。そんな幾つかの視線と目を合わせてしまった伊丹。
「まっ、いいか…………大丈夫! まかしておきな」
見捨てられた村人と隊員達はほっと安堵し微笑みを浮かべ基地へと帰投するのである。
最後まで読んで頂き有り難う御座います。
パンツァーファウスト!
知っている人は勿論の事、名前くらいは聞いた事があると云う方もいらっしゃると思います。
この兵器は弾頭の物理的な力(慣性の法則)による衝撃で装甲に孔をあける物ではなく、装甲に着弾したと同時に高温のメタルジェットを噴出させて装甲を溶かして孔をあける物です。これで貫通すると戦車内に数千度の溶けた金属が飛び散り乗員は浴びる事になります。
ではでは…………
虚空屍