顔巣学園の平凡な超常   作:アカシックレコード

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「勝利は最も根気のある者にもたらされる。」・・・ナポレオン

「俺自身くらい自分のこと信じてなきゃ何事も成すことはできないだろ?」・・・加藤勝


第11話:悪い事は連続して起こるから気をつけろ(中編)

露西亜寿司・店先・・・・

 

 

「・・・やれやれ、やっと外に出れるな」

 

氷川は露西亜寿司の入口の前で大きな伸びをする。

あの後、外の騒ぎが収まるまでしばらく露西亜寿司に留まっていたのだ。

他の客も様子を察していたのか、食事を終えても外に出て行こうとはせず、つい先ほど外で客寄せをしていたサイモンの安全確認報告を受けてやっと店を出て行く者が増え始めた。

 

「全く、人の注意は最後まで聞けっての・・・おかげで寿命が3年縮んだわ・・・」

 

玄野が財布の中身を確認しながら言う。

 

「うわぁ・・・駅前がめちゃくちゃだよ・・・」

 

と、唯は駅前のロータリーの方を見ながら言う。

そこには自販機やポスト、道路標識などの普通ではあり得ない物が道に散乱し、先の騒動の凄まじさを物語っている。

 

「・・・つか、その平和島静雄ってさ・・・そもそも人間なのか?」

 

と、氷川はすぐそばに転がっていたポストを見ながら呟く。

 

「・・・まぁ、多分人間だろ?一応人間っぽい見た目だったし・・・」

 

玄野は氷川の呟きに応える。

しかし、このような言い方をしている辺り、平和島静雄はおおよそ人間としては見られていないようだ。

 

「まぁ、あれだ。こう言う面倒な事にはあまり関わらない方が良いって事か?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「じゃあ、改めてロフトに行こう!」

 

「おし、行くか!」

 

氷川達は適当にその場の空気をまとめると、ロフトへ向って歩き出した。

しかし、この時彼らは気付いていなかった。

自分達の後ろから、怪しげな黒尽くめに尾行されているという事に・・・

 

 

同刻・ダラーズチャットルーム・・・・

 

ジンギ

見っけたぜ・・・

 

ジンギ

http://img965.xxxx/img965/1234/xxxxx.jpg

 

マッツィ

おー、近え近え

 

テラ

俺もここのすぐ近くだ

 

ガンノスケ

殺ッちゃって良いのかー?

 

餓鬼

いや、

 

餓鬼

サイトーさんが来るまで尾行しておけ

 

マッツィ

マジかよ・・・ま、良いや

 

ジンギ

ほんじゃ、追跡続けますかね

 

 

ジンギさんが退室されました

 

マッツィさんが退室されました

 

ガンノスケさんが退室されました

 

餓鬼さんが退室されました

 

テラさんが退室されました

 

現在、チャットルームには誰もいません

 

現在、チャットルームには誰もいません

 

現在、チャットルームには誰もいません

 

 

顔巣学園・職員室・・・・

 

「・・・ヤバい事になりそうだなこりゃ」

 

エアコンの効いた職員室の中、学園に務める教師陣のデスクで埋め尽くされた一角に自身のノートパソコンを見つめながら呟く少女がいた。

キャスター付きの椅子の上に体育座りで座り、白衣を羽織っている。

口にはポッキーを吸いかけの煙草のように咥え、パソコンの画面を食い入るように見ている。

 

「つるぎ先生〜、また職員室でエロゲですか?」

 

と、パソコンを見ている少女の横から紙コップに入ったコーヒーを差し出す男がいた。

背広を着て、何故か顔を通勤カバンで隠している。

 

「いや、今日はちーとSNSをな」

 

と、つるぎと呼ばれた少女はコーヒーを受け取って一口啜る。

彼女の名は邪神つるぎ。

見た目は子供だがこの顔巣学園に勤務する、れっきとした教師だ。

無論、少女なのは見た目だけで、実年齢はおば・・・

 

「おい、作者ァ・・・それ以上言ったらどうなるか、分かるよな?」

 

ごめんなさい、分かりましたから名状しがたいバールのような物を投げるのだけはやめて下さい・・・。

 

「ったく・・・私はまだピッチピチの現役だっつの!」

 

・・・ともあれ、彼女は所謂ちびっこ先生なのである。

 

「あのぉ・・・作者さん、そろそろ僕の紹介も・・・」

 

え?あんたの紹介必要か?

 

「そんな!?一応僕だってこの物語の登場人物の一人なんですから、ちょっとだけでも紹介して下さいよぉ!!」

 

あー、はいはい・・・彼は月読神臣。

顔巣学園に勤務する、妹大好きのど変態です、以上。

 

「ちょ、ちょっと!それはいくら何でも酷すぎません!?しかも半分も紹介されてないですよ!?」

 

・・・まぁ、彼については読者の皆様個人でWikipedia等を活用して調べていただきたい。

 

「おい、神臣」

 

と、ここでつるぎがパソコンから目を離さずに神臣に言う。

 

「な、何ですか?」

 

「これ、何だと思う?」

 

神臣はつるぎのパソコンの画面に通勤カバンで隠された顔を近づけた。

ちなみに本当にこれで見えているのかは読者各人の想像にお任せする。

さて、そのパソコンに表示されていたのは・・・・

 

「・・・これって、確か何とかって言うカラーギャングのチャットですよね?」

 

「ダラーズ、だぞ」

 

「でも、何でつるぎ先生がこんなサイトを?」

 

「単にSNSサイトとしては結構便利だからな、つか、それは良いんだよ」

 

つるぎは最近更新された書き込みを指差す。

そこには都内のどこかで撮られたと思しき画像が添付されていた。

そこに写り込んでいたのは・・・

 

「これって・・・ウチの生徒、ですよね?」

 

「あぁ、そうだ。でも問題はそこじゃねえ」

 

と、つるぎは画像の上の過去ログを神臣に見せた。

そこにはこんな書き込みがされていた。

 

 

ザキ

カモ発見w街頭凸撃取材と行きましょー

 

 

所戻って、池袋某所・・・・

 

「・・・で、結局ロフトってどこなんだ?」

 

氷川が額の汗を拭いながら問う。

 

「いや、地図だとこの辺なんだけどな・・・」

 

と、玄野は地図アプリを起動させたスマホを見ながら応える。

あの後、露西亜寿司を出た氷川達はロフトへ行くつもりだったのだが・・・彼らは現在、絶賛迷い中だった。

 

「ねぇねぇ京多くん、この辺ってホテルが多いね!」

 

ただ一人能天気に唯は言う。

 

「確かに、何か雰囲気悪いな・・・」

 

「あ、あのホテルの看板きれいだね!」

 

「唯、変な勘違いされるからここではしゃぐのはやめろ」

 

と、氷川が唯を窘める。

 

「・・・なぁ、氷川」

 

すると玄野が突然、神妙な面持ちで氷川に話しかける。

 

「ん、どした?」

 

「俺ら、さっきからつけられてるぞ・・・」

 

「は?何で?」

 

「後ろ、こっそり見ろよ」

 

氷川は玄野に言われた通り、首の運動をするフリをしながら後ろに目をやる。

そこには、この真夏日だと言うのにも関わらず、黒い服を来た集団がぞろぞろと氷川達の後をつけていた。

 

「何だ?あいつら・・・」

 

「私達の後からついて来てるけど・・・」

 

唯も事態を察したのか、声を顰める。

 

「どうする?交番行くか?」

 

「いや・・・この辺交番無いぞ」

 

「じゃ、このまま大通りまで出るか?」

 

そんな事を言っていると・・・

 

「いたいた、今囲んだー」

 

なんと、前の方からも黒服が来ていた。

 

「他の奴ぅ?あぁ、何か一緒に歩いてるのが二人、一人は女・・・」

 

前の方から来た黒服の集団の先頭に立った短髪の男が携帯で何やら状況を報告している。

 

「殺して喰っちゃって良いだろ?・・・あぁ、了解」

 

殺す、という余りにも物騒な単語を言いながら男は携帯をポケットにしまい、こちらに近付いて来る。

 

「な、何だよ、これ・・・」

 

「い、今殺すって・・・」

 

唯は氷川の後ろで完全に震え上がっている。

 

「こいつは・・・とりあえずヤバいぞ」

 

言いながら玄野はバッグの中に手をやる。

恐らくXガンかガンツソードを取り出そうとしているのだろう。

 

「・・・あれ?」

 

しかし、突然玄野の表情は一変した。

 

「・・・ない」

 

「どうした?」

 

「・・・Xガンが・・・ない」

 

その言葉に氷川と唯の顔に冷や汗が滲む。

そんな彼らの前に先ほど携帯で喋っていた黒服が立つ。

 

「よぉ、久しぶりだな、タコ坊主君よぉ・・・」

 

と、黒服がガラの悪い口調で言う。

しかし、その言葉は何故か玄野にだけ向けられていた。

 

「お前ら・・・」

 

玄野は苦々しげに黒服を睨みつける。

 

「オフの日の楽しい散策中悪いなァ」

 

男はヘラヘラと下卑た笑みを浮かべる。

 

「わ、私達に、何の用ですか・・・?」

 

唯が震える声で尋ねる。

 

「んー、まぁ、嬢ちゃんとそこの銀髪には大した用事ねぇんだけどよ」

 

言いながら、男はポケットに突っ込んでいた手をピストルの形にして氷川達に突きつける。

するとその指先から銃口が現れ、たちまち男の手中に45口径のハンドガンが出現した。

 

「俺らはお前らのツレの命が欲しいンだわ」

 

男はゆっくりとピストルの引き金に指を掛けた。

そして、口からまるで牙のように尖った歯を見せながら、ニヤリと笑んだ。

 

「でもまぁ、お前らも中々美味そうだしな。ついでに美味しく頂いてやるぜ・・・」

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