顔巣学園の平凡な超常   作:アカシックレコード

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「声をかけなければ恋は始まらない」・・・Gackt

「お姉さまはいつになったら私の想いに気づいてくれるのやら・・・」・・・白井黒子

「・・・多分一生理解されないだろ」・・・氷川京多

P.S.
作者:受験戦争勃発中により、小説投稿遅れてすいません!!
今後年明けまでは一ヶ月に一〜二話程度の亀投稿になるかもしれませんが、氷川達の起こす騒動にどうぞ付き合ってやってください!m(_ _)m


第13.5話:近づく程に離れるもんだなぁ、人の心って

2-R組教室・・・・

 

「ふぃ〜、やっと終わった・・・」

 

机の上に並べられた数学のノートを片付けつつ、玄野はやっとひと心地ついたように大きく伸びをした。

今は一限目が終わり、クラスメイト達はトイレへ向かったり、他愛の無い雑談に勤しんでいる。

 

 

---・・・しっかし、宿題の量少なくて良かったなぁ・・・---

 

 

と、玄野はそんな事を思う。

幸いにも忘れていた宿題は問題が数問載っているプリントが一枚だけだったので、氷川に答案を見せてもらいながらルーズリーフに写す事で提出にはギリギリで間に合う事ができたのだ。

鉄人もプリントを持ってこなかった事に対しては小言を漏らしていたが、一応はやって来た、という事で幸いそれ以上のお咎めは無かった。

玄野は鞄からペットボトル入りの烏龍茶を取り出し、キャップを外して一気にあおる。

どこかからアメリカのアーティストの曲が流れてくる。

 

 

---Flo Ridaか・・・最近聴いてる奴多いよな---

 

 

喉を潤しつつ、玄野はそう思った。

 

「あ、あの、け、計ちゃん!」

 

するとその時、玄野はすぐ真後ろからそこそこ大きい声で呼ばれた。

突然の事に、玄野は口に含んでいた烏龍茶を「んブフッ!?」と吹き出してしまう。

そのまま喉を押さえて咳き込む。

 

「・・・げほっ・・・ごほっごほっ・・・!?」

 

「わ、わわわわ!?だ、大丈夫計ちゃん?!」

 

と、後ろから声をかけて来た人物が慌てて玄野の背中をさする。

 

 

---・・・クソっ、いきなり何なんだよ!!---

 

 

ゴホゴホと咳をしながら、玄野は後ろを睨みつける。

 

「ゴホッ・・・あ、あれ?秋山か?」

 

そこにはクラスメイトである秋山澪がいた。

声をかけた相手がいきなり吹き出したせいか、澪はアタフタと当惑している。

 

「い、いきなりごめんね!?大丈夫!?」

 

「うぅ・・・だ、大丈夫」

 

と、玄野は本当は気管支に入っていて、この上なく苦しいのを我慢しながら呻いた。

 

「・・・つか、いきなり何だよ?次の授業の宿題でも忘れたか?」

 

「いや、そうじゃなくてね・・・あ、あの、な、な、何て言うか・・・」

 

しかし、その先の言葉は続かず、澪はそのまま俯いてしまう。

 

「何なんだ・・・?」

 

玄野は訝しげに澪の顔を覗き込む。

・・・うむ、何故か顔が真っ赤っかだ。

 

「どうしたんだよ、風邪でも引いたか?」

 

「・・・ち、違うの!!そうじゃなくて・・・」

 

一言一言を口に出す度、澪はどんどん真っ赤になっていく。

しかもよく見ると頭からは湯気が立ち昇っている。

・・・どういう原理で湯気が出ているのかは読者様の想像にお任せしたい。

 

 

---・・・え?俺、何かしたっけ?---

 

 

それを見ながら、玄野は自分に非があるのかとあれこれ勘繰り始める。

しかし、思い出せば思い出すほどに自分が彼女に悪い事をした記憶が無い。

むしろ、この数週間で彼女と関わったのはせいぜい2,3回ほどだ。

 

「・・・な、なぁ、俺、何かマズい事したか?」

 

しかし、澪は何も答えない。

玄野もどうして良いのかが分からずに呆然とする。

すると突然、この微妙な雰囲気に耐えられなくなったのか澪は、

 

「・・・うきゅっ!!!」

 

・・・と、よく分からない声を上げ、小走りで教室を出て行ってしまった。

 

「・・・え、えぇーーー?」

 

一人残された玄野も、自分の置かれた状況を全く理解できずに、そのまま固まってしまった。

 

 

R組・最後尾の座席・・・・

 

ちょうどその頃、澪と玄野の一連のやり取りを見ながら、一喜一憂している三人組があった。

 

「ありま〜、澪の奴、やっちゃったか・・・」

 

と、カチューシャが特徴的な少女---田井中律---が手の平で自らの額をペチン、と叩く。

 

「玄野ってホントに鈍感ね・・・」

 

と、律に続いてブロンドの髪の少女---カリーナ・ライル---が煩わしそうに毛先を弄くった。

 

「澪ちゃんも澪ちゃんだけどね・・・」

 

ヘアピンの少女---平沢唯---もそれに続く。

 

「澪だけなら良いけどさ、何で玄野も気づかねぇかな?」

 

律は安楽椅子のように椅子をゆらゆらとさせながらごちる。

 

「っていうか、澪も変な好みしてるよねー。他に良い人なんてたくさんいるのに何で玄野なんか好きなんだろ・・・」

 

と、カリーナ。

彼女は玄野をあまり良い目で見ていないようだ。

 

「んー・・・まぁ、発端はめちゃくちゃくだらない事なんだけどな・・・」

 

「え?律っちゃん、玄野君と澪ちゃんの馴れ初め知ってるの?」

 

と、事情を知っていそうな態度を取る律に唯が噛み付く。

 

「知ってるっつーか・・・私も噂で聞いただけなんだけどな」

 

「詳しく教えて律っちゃん!」

 

「あ、私もちょっと気になるかも」

 

「うん、あれは確か・・・私らが小学3,4年ぐらいの時だったか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、2-R組付近・女子トイレ・・・・

 

「・・・うぅ・・・またダメだった・・・」

 

と、一人手洗い場の鏡に映る自分を見ながら、泣きそうな声で呟く澪。

 

 

---何でかな・・・私は計ちゃんを明日のライブに誘いたいだけなのに・・・---

 

 

言うだけなら簡単なのは分かってるのに・・・

しかし、それをいざ伝えようとすると駄目なのだ。

ただでさえ恥ずかしがり屋で人見知りな彼女は彼を目の前にすると、胸の内に何か熱いものが立ち塞がり、心臓はドキドキして、すぐさま頭に血が昇り、結局は何も言えずにウヤムヤなムードになってしまう。

告白をするわけでもないのに、だ。

・・・そう、澪は玄野が好きなのである。

玄野とは小学校からの付き合いである彼女は、常に勇猛果敢でヒーローのような存在だった彼を、当初は乱暴な人と勝手に決めつけていた。

しかし、ある時分の学校帰り、変質者に危うく誘拐されかけた所を玄野に助けられて以来、澪はいつしか玄野に淡い恋心を抱くようになっていたのだ。

 

「・・・計ちゃん・・・」

 

澪はスカートのポケットから携帯を取り出し、待ち受け画面を開いた。

そこには以前にこっそり撮った玄野の写真が待ち受けとして使われていた。

 

「・・・噂のおまじない、本当に効くのかなぁ・・・」

 

憂いを帯びた目つきで、待ち受けの中にいる想い人の顔を人差し指でそっとなぞってみる。

澪はこの学園に伝わる「好きな相手を携帯電話の待ち受け画面にして、3週間隠し通したら想いが叶う」というおまじないを実行しているのだ。

噂とは言え、効果はてきめんらしく、高等部1年ではこのおまじないで成立したカップルもいるようだ。

 

「・・・私だって、いつかは計ちゃんと・・・」

 

澪は少し悔しげに呟きながら携帯の画面を閉じた。

それと同時に休憩時間終了を告げるチャイムが聞こえてくる。

 

「あ、教室戻らなきゃ」

 

いつまでもこんな事では駄目だ。

澪は数回頭を振って気持ちを入れ替えると、トイレを出て行った。

 

 

場所は戻って、2-R組教室・・・・

 

「・・・ってな事があったんだとさ」

 

と、律は玄野と澪との間に何があったのかを一通り説明し終える。

 

「ほぇ〜、玄野君にそんな過去が!!」

 

唯は目を丸くしながら驚嘆の声を上げる。

 

「ふーん、あの玄野がねぇ・・・まぁ、澪の気持ちは分からないでもないけどね」

 

と、カリーナもやや否定的ながら唯に同意した。

 

「まぁ、実際昔の玄野は喧嘩させたら負け知らず、危険な遊びにかけては崇拝されてたくらいだからなぁ・・・」

 

言いながら律は、安楽椅子状態の椅子の上で溜息をついた。

すると、休憩時間終了を告げるチャイムが教室内に響く。

同時に周りのクラスメイト達は鞄の中からノートや教科書を出したり、各々の準備を始めた。

 

律「あ、やば、準備しないと」

 

唯「次の授業って確か生物だったよね」

 

カリーナ「ハンジ先生でしょ?今日も巨人がいかに凄いかベラベラ喋るだけで終わるわね・・・」

 

と、カリーナがそんな事を言っていると・・・・

 

 

ガラリ・・・・

 

 

「さて、授業を始めましょうか。皆席に着きなさい」

 

教室の前のドアが開き、眼鏡を掛け、軍事科の軍服の上から白衣を着た科学の教師---ハンジ・ゾエ---が入室した。

元々ハンジは軍事科内部の調査兵団を担当する教師なのだが、ハンジ自身が生物の範囲に秀でている事と本人の希望もあって、このように普通科の授業も担当しているのだ。

 

「起立!」

 

生徒達は日直の号令に合わせて椅子から立ち上がり、礼をする。

 

「さて、諸君!」

 

と、ハンジは生徒全員が着席したのを確認すると眼鏡を人差し指で直しながら、

 

「諸君は奇行種が何故あのような通常の巨人では考え難い異常な行動に出るのか、気にならないかな!!!」

 

生徒全員

『・・・・・・』

 

 

・・・いつものお決まりパターンなのであった。

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