「もし俺が神なら、あれだ、えーっと・・・・・・・・・・・・セリフなんだっけ?」・・・佐藤田中
「最初からセリフ考えといて下さいよ」・・・氷川京多
第1話:1+1が必ずしも2になるワケではないッ
ここは私立顔巣学園。
この学校名を聞いて変な名前だと思う奴が多いだろうが、事実こういう名前だから仕方がない。
「じゃ、何でカオスなんだ?」という奴もいるだろうが、そこらへんは今から説明していく事にする。
実はこの学園、あらゆる世界のキャラクター達が在籍している色々とカオスな学園なのだ。
そんなもんだから、どのクラスもかなり個性的で多種多様な生徒がわんさといるわけで。
「じゃ、この学園の教師陣は大丈夫なのか?」とかいう奴もいると思う。
大丈夫だ、問題ない。
何故かって?
生徒が生徒なら先生も先生でしっちゃかめっちゃかだからだ。
んで、ここは顔巣学園高等部2-R組の教室。
これは特に風変わりなところはない。
教室の前と後ろに引き戸があり、教卓があって、生徒の机や椅子があって・・・という、ごくごく一般的なもの。
よく学園ドラマとかで出てくる教室を想像していただければ、おおむねは合っている。
で、窓側の席から若干右寄りの席に、その少年は座っていた。
蒼い目に女性のようなショートボブの、一見したら・・・というか、360°どっから見ても完全に女子なその少年の名は氷川京多(ひかわきょうた)。
彼は自前のiPhoneから流れてくる『A Fact Of Life』という曲を聴きながら、心の中で呟く。
(朝から毎度毎度騒がしいな、この教室は・・・)
ちょうどその時、京多の背後で怒鳴り声がした。
「貴様ァ!!!!よくもゆりっぺにノートを借りやがって!!!」
「はぁッ!?別にオメーに関係ねェだろうが!!!!」
野田と玄野があいもかわらず喧嘩している。
どうやら今日は玄野がゆりからノートを借りた事で野田がキレているらしい。
と、今度は教室の入り口付近から派手な爆発音と共にガラスの鋭い破砕音が聞こえてきた。
「くたばれぇ!土方ァァァァッッッッッ!!」
「なにしやがんだてめェェェェ!!」
風紀委員の沖田が天敵の土方にバズーカ砲をぶっ放したのだ。
土方は絶叫と共に教室の壁に思い切りめり込む。
普通の学校ならバズーカをぶっ放そうとする、というかバズーカを持ってきている時点で大問題になるところだが、その辺は「もう何でもアリなんだな」といった具合で笑って見逃してあげてやってほしい。
と、その直後、二人の女子生徒のシャウトが教室内に響き渡る。
「私の・・・・私のメロンパンに、何すんのよぉォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッ」
「テメェ、ワタシのタコ様ウィンナーに何さらしとんじゃあぁあああああああああああああああッッッッッッッッッッッッッッッッ」
京多の席の二つ後ろで早弁を極めていた神楽とシャナが沖田のバズーカ砲によって消炭と化したタコウィンナーとメロンパン(の残骸)を手に怒鳴っている。
特にシャナは何処から出したのか、日本刀を片手に臨戦状態に入っている。
何度も言うが、普通なら学校にバズーカや日本刀を持ってきている時点で大問題になるところだが、その辺は笑って見逃してあげてやってほしい、マジで。
そしてその後ろでは・・・
「ソーニャちゃーーーーーん!」
一人の女子生徒の黄色い声(?)が聞こえた直後、ボグ、という関節がずれたような音が響く。
「いいいいいい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!」
「・・・何だ、誰かと思えばやすなか・・・」
ソーニャと呼ばれた少女は今しがたアームロックをかけた少女をゆっくりと放す。
「んもう!!ソーニャちゃん!!!!」
一方、やすなと呼ばれた少女は腕をさすりながらヨロヨロと立ち上がる。
「親友に対して朝からいきなりアームロックはひどいよ!!!!」
「・・・いきなり私の背後に立つのが悪いんだろうが・・・しかも親友じゃないし・・・」
ソーニャは半ば呆れたように言う。
んで、教室の後ろのドアが開いて風紀委員長である近藤勲が入って来た。
ちなみに彼、ここR組の生徒ではない。
「じゃ、何でR組に超遜色なく入ってくんの?」と言う奴がいると思う。
・・・まあ、単純に言えば、彼はこのクラスのマドンナに用があってきた、とでも言うのだろうか。
んで、彼はそのままそのマドンナの席に行く。
「お妙さ」
「朝からるッせーんだよクソゴリラァァァァァァ!!」
お妙の右腕から放たれた渾身のストレートを放ちゴリラ・・・もとい近藤は黒板にぶっ飛んだ。
一方その頃・・・
「憂、何か上が騒がしいけど」
「またお姉ちゃんのクラスかな・・・」
所変わって、ここは顔巣学園高等部1-L組の教室。
窓際の席で京多のクラスメイトである唯の妹の憂と友人の梓が話していた。
と、そこに来客が。
「あーずーにゃーん!」
憂の姉の唯が入って来たのだ。
「遊びに来たよー!」
「ちょ、先輩!?来ていいんですか?あと少しで予鈴が鳴っちゃいますよ!」
「ちょっとだけだよー。今土方君と沖田君が暴れてるから邪魔になるかなーって」
「そうですか・・・」
所戻って、2-R組教室・・・・
「しゃらくせぇっ!!!ここでテメェをブッ殺す!!!覚悟しろ玄野ォォォォォッッッッ!!」
「やれるもんならやってみろよ、この愚民が!!!!返り討ちにしてやらぁ!」
「おいおい、計ちゃんも野田も落ち着けよ・・・」
「野田君も玄野君もいい加減にしなさいっ!」
「止めんじゃねえ!生徒会長の分際で!調子に乗るな!」
「・・・・とりあえず、野田君はハルバード、玄野君はXガンを下ろしなさい!」
「断る!コイツは一度シメておく必要がある!!」
「ハァ?シメられんのはテメェだろうがよぉぉぉっ!」
「死ねぇ!土方ァァァァァ!!」
「私のメロンパンを返せェェェッッッ!!!!!!」
「タコ様ウィンナーの恨みィィィィィッッッッ!!!!」
・・・・バカ騒ぎは沈静化するどころか、逆にヒートアップする一方である。
一応、クラス委員長である桂ヒナギクや玄野の友人である加藤勝も止めに入るが、むしろ逆効果だったようだ。
野田はハルバード槍、玄野は本来なら対星人用の武器であるXガンを手に膠着状態に突入してしまっている。
まさに一触即発の中、彼らの担任である佐藤田中が教室に入って来た。
「あ~い、だまれー、席に着け~、ホームルーム始めっぞ~」
佐藤田中の妙に間延びしたやる気のない声で教室は一気に静まり返った。
「そんじゃ、礼するぞ~、坂本~」
佐藤田中は日直である坂本雄二に号令をかけさせる。
「へ~い、起立!れ・・・」
「おーい、ちょっと待て、お前ら今日は何の日か知ってるか?」
生徒全員
『???』
「分からないのか?ならば教えてやろう、今日は・・・・・・」
生徒全員
『(ゴクリ・・・)』
「中学星universalすこやかの発売日だぞ~」
生徒全員
『・・・・ドドッ!!』
―――散々溜めておいて、結局それか!!!!―――
佐藤田中のまさかのメタ発言・・・というか本当にどーでもいい報告に盛大にずっこける生徒たち。
ちなみに『中学星universalすこやか』というのは、ネットアニメで『中学星』という作品があるのだが、そのDVDボックスのタイトルだ。
当然ながら今も絶賛発売中なので、興味がある人はチェックすることをおすすめしておく。
「よし、礼するぞ~」
「・・・起立、礼!」
生徒全員
『おはようございます』
号令を終え、生徒たちは着席していく。
佐藤田中は教卓の上にあったボードを手に取り、こう言った。
「今日は特に連絡事項はねえが・・・最近授業中にモンハンやってる奴が多いらしいじゃねえか」
と、佐藤田中は少し神妙な口調で言う。
それに合わせ、生徒たちも少し表情を曇らせる。
京多も少し顔をこわばらせる。
「何で皆俺を誘ってくれねーワケ!?」
―――・・・・・・・・・・・・・・・いや、そっちかい!!!!!!!!!!―――
生徒全員が心の中でツッコむ。
「・・・まあ、そーゆーわけだ、今度から授業中にモンハンやる時は俺にツイッターか何かで連絡寄越すように!!」
それだけ言うと、佐藤田中は教室を出て行った。
その後、生徒たちは雑談タイムへ入る。
「そーいや、今日って体育の授業マラソンだっけ?」
「えー、マジかよ・・・」
「ダリぃな・・・」
「マラソンはヤだなぁ・・・」
なんて事を駄弁っていると教室の扉が開いた。
それと共に独特の異臭が。
んで、例のごとくべろんべろんに酔った雪路が入って来た。
「あーい、じゃあーじゅぎょーはじめっぜぇぇぇぇい!!ヒック・・・」
「ちょ!お姉ちゃん!?また授業前にお酒飲んだの!?」
雪路の妹であるヒナギクが大声でツッコむ。
「飲んで悪ィかーーー!!!!!飲まなきゃやってらんねェわァァァーーーー!!ヒック・・・」
「まったくもう!!」
なおも醜態を晒す姉にヒナギクは怒っていた。
「じゃートッシー!伊達政宗の真似やってェェェ!!」
「誰がやるかァァァァ!!!テメーがやれやァァァァァ!!」
雪路の無茶ぶりに対し、土方は叫んだ。
「じゃー私やるー!!!!ヒック・・・」
頼みもしないのに雪路は教卓の上に仁王立ちになる。
「いッくぜー!れっつぷぅあらオヴェえええッッッ!!」
すると腰から刀を引き抜くポーズのまま、雪路は盛大に吐いた。
幸いにも教卓近くの生徒はこうなる事を予測していたのか、雪路が教卓に登った時から自分の机を避けていたので雪路のゲ○が直撃する事はなかったが・・・・・
『キャァァァァァァァッッッッ』
一部の女子生徒には衝撃的過ぎる光景だったのか、教室のあちらこちらから悲鳴が上がる。
・・・・ガタタッ・・・・・
「おっ、おいっ!?澪!?大丈夫か!!」
「うぅ・・・・」
特に秋山澪はグロいものが苦手なタチであったためか、気絶して椅子から転げ落ちてしまった。
京多はそんな光景を見てハァ、と大きな溜息を漏らした。
「いつになったらまともな授業を受けられるんだ・・・・・・」
まあ、到底無理でしょうね。