「俺もそー思う」・・・坂田銀八
「いや、たまには自分でも考えて下さいよ・・・」・・・志村新八
翌日、2-R組教室・・・・
「見たんだよ、本当に!男子寮のベランダにいたんだよ!」
クラスでの話題は専ら件の幽霊騒動で持ち切りだった。
だが、昨日の七不思議解明ツアーに参加していた面子はそんなことは上の空、であった。
「・・・バカみてぇだよなぁ・・・」
「幽霊なんかいなかったのに・・・」
「みんな、平和なもんだな・・・」
玄野、澪、京多は冷めた目つきで教室中を見回し、
『ハァ・・・』
同時に大きなため息をついた。
一方、2-Z組教室・・・・
「おい、新八、あの話は聞いたか?」
Z組の生徒である桂小太郎が新八の席にやって来て言う。
「・・・・七不思議の真相のこと?」
「そんなものではない。男子寮に出てくる幽霊の事だ」
「あ、そ」
いつもと違って、まるで元気のない新八を見て、桂は言う。
「お前がこんなに元気が無いとは珍しい。変なものでも食ったのか?」
「はぁ・・・・」
「・・・・邪魔したな。そろそろ朝のホームルームだから戻るぞ」
言いながら桂は自分の座席に戻って行った。
今の新八には男子寮の幽霊なんてどうでもよかった。
あの事件が発生するまでは。
数日後、銀八、京多、玄野、土方、沖田、近藤、御坂の7名が校長室に集められた。
校長席には、いつもの余裕たっぷりの表情とはかけ離れた、深刻な表情のルシフェル校長が座っていた。
「皆揃ったか・・・」
「はい」
京多が返事をすると、ルシフェルは校長席から立ち上がり、手を腰の後ろに組みながらこう言った。
「多分、諸君らは知っていると思うが・・・例の幽霊騒動の事だ」
「高等部所属の女子生徒が数名行方不明になった、アレの事っすか・・・」
紫煙を吐きながら銀八はこう言った。
「ああ、そうだ。しかもこれが起きたのは今回だけではない、この3日間で同一の事件が2回ほど起きている」
「はあ・・・」
「そしてこの一連の事件には、ある不可解な点がある・・・」
と、ルシフェルはここで一拍子置いてから言った。
「全ての事件は、一連して女子寮で発生しているという点だ・・・」
「う・・・嘘でしょ・・・?」
召集されたメンバーの中では紅一点の御坂は絶句する。
「・・・これは私の予測だが・・・仮に今夜も事件が起こるとしたら、発生する確率が高い場所は女子寮だ」
こうルシフェルは予測した。
もし、幽霊が再び来るとしたら、再び女子寮に来ると思っているのだろう。
「というわけで、寮暮らしであり、かつ緊急時には戦力になりそうな君たちを召集したわけだが・・・今夜、諸君らには女子寮に潜入してもらう」
「な・・・・何ですとぉぉぉ!?」
近藤が鼻血をたらして言う。
「・・・近藤、俺らはいやらしい事をしに行くんじゃねーぞ。あくまでも幽霊退治だ」
「どうやるんですかぃ?」
沖田がこう聞いて来た。
ルシフェルはにやりと笑って答えた。
「そこはちゃんと手を打ってある。おい、入って来いー」
ルシフェルが誰かを呼んだ。
ほどなくして校長室に2-D組の鷺ノ宮伊澄が入室した。
「伊澄さん」
伊澄の事は京多も知っている。
伊澄はナギの幼馴染であり、優秀な陰陽師であると。
「この幽霊騒動がここまで大きくなってしまうとは私も予想外です。被害者が増える前に退治しましょう」
「うん・・・でもどうやって女子寮に乗り込むのよ?」
そう、御坂や伊澄はいいのだが、京多たちは男である。
京多は見た目が女子とほぼ大差ないのである程度は誤魔化せるが、銀八達の場合、女子寮に入ったその瞬間から変態という汚らわしい称号を与えられてしまうのだ。
「大丈夫だ、それについてはプロを呼んである」
と、ここで銀八が不敵な笑みを浮かべて言った。
プロって誰だ?と誰もがそう思った。
その時だった。
突然、天井から長髪の女子生徒が降りてきた。
「どうも~、何かお困りのようですねぇ~」
「あ、あぎりさん!?」
彼女は3-Q組の呉織あぎり。
女子高生ながらに暗殺業や潜入任務もこなす、凄腕のくのいちだ。
「皆さん今夜は女子寮に潜入するんだそうで~?」
何とも微笑ましい、ゆったりとした口調であぎりは言う。
「え、ええ、まあ・・・」
「それでしたら、とっておきの潜入方法があるんですよぉ~」
んで、その夜。
この日に限って、女子寮には不審な段ボールがあった。
聡明なる諸君は既にお気づきだろうが、この中には銀八、京多、玄野、近藤、沖田、土方が入っている。
(・・・ホントに大丈夫なんですか?こんな潜入方法で)
段ボールの中にいる京多がヒソヒソ声で銀八に問う。
(・・・まあ、あぎりがそう言うんだから、大丈夫なんじゃねえのか?)
あぎり曰く、これはとあるゲームの主人公がよく使っていた、最も理想的な潜入手段らしいのだが・・・
(・・・本当かよ)
京多は冷や汗を垂らしながらぼやいた。
その直後、近くで焦げ臭い匂いがした。
何と、京多の後ろにいる土方の段ボールが燃えていたのだ。
「おわァァァ!!!!な、何だァァァァァ!?」
突然の発火に驚き、土方は段ボールから外に出て、火を消そうとする。
「ちっ、気付かれたか」
100円ライターを改造した即席火炎放射器を手にした沖田が舌打ち混じりに言った。
どうやら土方がかぶっているダンボールを沖田が燃やそうとしたらしいが、土方が間一髪それに気付いたらしい。
「何すんじゃ、てめェェェェ!?」
土方が沖田に襲いかかったのだが、そのせいで彼らは女生徒達にばれてしまった。
『・・・・あ』
―――あ、俺らの青春これで終わったな・・・・―――
彼らはそう思っていた。
だが、
「先生、何やってんですか?伊澄さんが入室許可しましたよ。幽霊退治のためにって」
目の前にいる女生徒がこう言ったのだ。
「今のくだり意味ねェェェェェ!!!!!」
銀八がシャウトしたその時だった。
屋上の方から悲鳴が聞こえたのだ。
「な、何だ!?」
悲鳴を聞いた銀八達は急いで階段を駆け上った。
屋上につき、銀八は目を動かした。
そこには、全身黒のマントを頭から被った男がいた。
「ゆ、幽霊なのか!?」
玄野がXガンを男に向けながら言う。
「いや違う、ヤツには足がある!!」
「何もんだテメェ!?」
木刀を構え、銀八が叫んだ。
「ふふふ、教えてやろう。私は・・・・・」
身にまとっていたマントをとり、男は正体を現した。
「変態紳士、ク○吉!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
―――・・・・おいおい、マジかよ・・・―――
まさかの変態紳士の登場に銀八達は言葉を失った。
「・・・おーい、誰かう○みちゃん呼んでこーい。それか警察」
「あ、ちょっとやめて!呼ばないで!お願いだから」
「うるせー性犯罪者。発情期ですかー、コノヤロー」
汚物を見るような目で、銀八は男を一瞥した。
「・・・・おいトシ、携帯あるか?」
「ああ」
携帯を取り出し、土方は警察に電話した。
「・・・・・だ・・・・・だがこのスーパーク○吉は捕まらない!なぜなら私は変態という名のしn・・・」
・・・ギョーン・・・・
男が言い終えるか言い終えないかの内に、間抜けな銃声が響く。
「あ、ごめん、何か指が滑ッた。」
玄野がXガンの引き金を引いていたのだ。
一瞬の間をおいて、変態紳士は声にならない絶叫と共に爆死した。
「・・・・終わったな」
木刀をしまい、いつの間にか咥えていた新しいタバコに点火しながら銀八が言った。
その後、彼が捕えていた少女たちは無事解放され、かくして幽霊騒動は幕を閉じたのであった。