顔巣学園の平凡な超常   作:アカシックレコード

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「一寸の光陰軽んずべからず」・・・漢詩・偶成より抜粋

「更新遅れてごめんなさいm(_ _)m」・・・作者

「しっかりしてくれよ、作者・・・」・・・氷川京多


第6話:かき氷のいちごシロップは血の池地獄

夏である。

気温が一気に上がり、冷たい物が恋しくなったり、外へ出ればセミの鳴き声が聞こえてくる、あの季節。

そして夏といえば、一大イベントがある。

そう、夏休みだ。

これは学生達にとってはもう、えげつないほどの大イベントであり、夏休み、という単語を聞くだけでテンションが上がってしまう人もいたりする。

まあ、一部の人々からは「別にどーでもよい」とか「むしろ来るな」とか思われている(かもしれない)のだが・・・

まあ、とにかく、顔巣学園でも一週間後と迫った夏休みに思いを馳せる生徒が続出していた。

 

 

 

「氷川ー、今日どっか行こうぜ~」

 

高等部・2-R組の教室・・・・

机の上に脚を組んで座りながら、半袖シャツ姿の玄野が呑気な声を出す。

 

「今日も暑いし、プールとかどうよ?」

 

「夏祭の準備とかどーすんだよ?」

 

と、同じく半袖シャツ姿の京多が机に突っ伏した状態でモゴモゴとうめく。

 

「確か、ガンツ部は射的だったろ?準備、終わってんの?」

 

「あー、もうとっくの昔に終わってるぜー」

 

「マジかよ・・・」

 

氷川は大きなあくびをした。

 

「氷川は?どうせ帰宅部だし暇だろ~?」

 

「・・・まあ、暇っちゃ暇だけど・・・」

 

「じゃ、どっか遊びに行こうぜ~」

 

「・・・・・・」

 

「・・・あれ、氷川?氷川?」

 

突然黙り込んだ京多の顔を覗く玄野。

 

「・・・Zzz」

 

「氷川さーん・・・・いや、寝てんのかよ!?」

 

と、玄野はいつの間にやら寝ていた京多の身体を揺さぶった。

 

「お~い、氷川、起きろッて!」

 

「う~ん・・・」

 

「だから早く行こうぜって」

 

「え~、暑いからパス・・・」

 

氷川はまたも大きなあくびをしながら言う。

 

「付き合い悪いぜ、氷川ー」

 

玄野が呆れて溜息を吐いていると・・・・

 

「おい、玄野いるか!?」

 

と、ここで同じくR組の生徒である日向秀樹が教室に入ってくる。

何か急いでいるのだろうか、息が荒く額にはうっすらと汗をにじませている。

 

「おぉ、日向か、どした?」

 

「今ちと緊急事態でさ・・・助っ人頼めるか?」

 

「緊急事態・・・あぁ、トルネードか?」

 

玄野はトルネード、という単語を口にした。

ちなみにトルネードとは、オペレーション・トルネードの略であり、京多らと同じくR組の生徒である仲村ゆりの率いる『死んだ世界戦線』がたまに行う活動の事なのだが・・・まあ、要するに他の生徒から食券を巻き上げる事だ。

当然の事ながら生徒会も規制を行うのだが・・・死んだ世界戦線にしろ、生徒会にしろ、両方とも銃や刀等の武装が許可されているので、ほぼ戦争状態になるのが恒例となっており、今やこのオペレーション・トルネードは顔巣学園名物になりつつある。

ちなみに、死んだ世界戦線は戦力の補充としてたまにガンツ部や戦車道部に助っ人を頼んでいたりする。

 

「すぐに来てほしいんだが、行けるか?」

 

「おっけー・・・久々に暴れるか・・・」

 

と、玄野は首をコキリと鳴らし、鞄からXガンを取り出した。

 

 

―――そんなもんいつも持ち歩いてんのかよ・・・―――

 

 

それを見ながら氷川は舌を巻いた。

 

「よっしゃ!行くぜ!!」

 

「おう!」

 

と、日向は肩にかけていたRPK軽機関銃という旧ソ連製のマシンガンを構え直し、玄野と共に教室を飛び出して行った。

 

「・・・がんばれー」

 

一人残された京多はそんな二人の後姿を見送っていた。

 

「最後に残んのは結局俺一人か・・・・」

 

そうぼやきながら、自らの腕時計を確認すると既に午後1時を15分過ぎていた。

 

「飯食いに行こ・・・」

 

京多はやる気無さげにヨロヨロと立ち上がり、教室を出た。

 

 

その頃、学生食堂2F・・・

 

 

『撃てぇ!!』

 

『ロケット砲はまだか!?』

 

『くたばれェェェェェェ生徒会ィィィィィィィィ!!!!!!』

 

『うおおおおおおおおおおおっっっっっっ』

 

学生食堂は生徒会と死んだ世界戦線との抗争でもはや戦場と化していた。

フロアには誰が流した物だろうか、血痕が点々と赤い斑点を作り、その上には空薬莢が転がっている。

そしてこれまた誰かの発したであろう怒号、絶叫、悲鳴、そして銃声が響きあい、まさしく阿鼻叫喚地獄のよう。

・・・・と、ここまで来ると、「ここは紛争地帯か!?」なんて思う方がいるかもしれない。

念の為に言っておくが、ここはれっきとした学園です。

ここはれっきとした学園です。

大事なことなので二回言いましたよ。

 

「うわ、結構派手にやってんな・・・」

 

と、いつの間に着たガンツスーツ姿で玄野が言う。

 

「まあな、今回は生徒会も戦力を増強したみたいでよ・・・」

 

言いながらも日向は吹き抜けになった2FメインフロアからRPKを連射しながら1Fにいる生徒会をけん制する。

すると、日向が腰に下げていたトランシーバーに通信が入る。

 

『日向さん!!』

 

「あ?どうした?」

 

日向は銃の連射を止め、代わりにヘッドセットを片耳に装着する。

 

『1Fの戦力が今も減少中で、助っ人さんお願いしますっ!!』

 

ヘッドセットから聞こえてきたのは女の子の声だった。

その声の背後では銃声が絶え間なく響いている。

 

「負傷者は?」

 

『今のところ4人がケガで動けなくなってます!!』

 

と、ここで少女の声を遮るようにがはっ、という声と共に何かが倒れる音が聞こえる。

 

「今ので一人増えたか・・・」

 

『今からすぐに増援お願いできますか!?』

 

「今どこだ!?」

 

『学食1Fの出入り口付近のバリケードです!』

 

「わかった!今から一人寄越すから、そこから絶対動くなよ!!」

 

日向はトランシーバーの通信モードを切ると、玄野に向き直った。

 

「仕事の時間だぜ、玄野!」

 

「しゃッ、行きますか・・・・ッと!!!!」

 

玄野は一呼吸置いた後、戦場と化した学生食堂の1F中心部へと飛び降りた。

バンッという着地音と共に玄野のスーツ脚部から勢いよくスチームが噴射され、その後ろに居た生徒会メンバーの視界を奪う。

 

『なっ!?煙幕か!?』

 

『敵の妨害が入ったぞ!!!』

 

『いや、違う!戦線側の増援だ!!!』

 

『ガンツ部の部長だ!!一旦退くぞ!!』

 

生徒会の腕章をつけた生徒達がたじろいでいる隙に、玄野は近くの机と椅子で急造されたバリケードの中に飛び込む。

バリケードの中にはセーラー服を着た少女と死んだ世界戦線のブレザーを着た少年、そして負傷者だろうか、包帯や絆創膏などで応急手当をされた少年少女数人が隠れていた。

 

「玄野!!」

 

そこにいた死んだ世界戦線のブレザーを着た少年―音無結弦―が声をあげる。

 

「おお、お前ら結構暴れてたみたいだな」

 

「ああ、生徒会も色々と増員したらしくてな・・・」

 

「お陰で戦力はだいぶ削がれちゃいましたよ・・・」

 

と、音無の横に居たセーラー服の少女―FNC(ふんこ)―が言う。

 

「つか、よく二人だけ生き残れたな」

 

「一応はさっきまで銃撃戦だったんですよ?」

 

「ああ、それは上の階からも見えてたけど・・・」

 

玄野が言いかけた瞬間、

 

『んじゃ、ウジ蟲はとっとと駆除しますかィ・・・』

 

バリケードの向こうからよく通る声ながらも残酷な宣言が聞こえてくる。

 

「こ、この声、ま、ま、まさか・・・」

 

途端に顔を青くして震え上がるふんこ。

 

「沖田のヤローか・・・」

 

玄野は舌打ち混じりに呟いた。

 

『一応警告しておくッすー、今すぐに武装解除してそのバリケードから出てきやがれィ』

 

と、何とも呑気な声で最後通牒を告げる沖田総悟。

その手には巨大なバズーカ砲が握られ、玄野達の隠れているバリケードに狙いが定められている。

 

「どうする・・・」

 

「ここには怪我人もいますし、下手には動けないですよ・・・」

 

負傷した者達も沖田にだけは手を下されたくないのか顔を真っ青にして震えていた。

 

「・・・しゃーねーな・・・」

 

と、玄野がガンツスーツの脚部ホルスターからグリップを外し、それを天に掲げてから思い切り振り下ろした。

次の瞬間、グリップの先から黒い刀身が伸び、一瞬の内に日本刀のような形状の武器―ガンツソード―に変貌する。

 

「玄野先輩?」

 

「何する気だ・・・?」

 

一連の玄野の行動に首を傾げる音無とふんこ。

 

「俺が沖田をやる、お前らは逃げろ」

 

玄野は不敵にニッと笑んだ。

その笑みの真意を理解したのか、音無とふんこも、

 

「ああ、分かった!」

 

「気をつけてくださいね!」

 

と、持っていたライフルをスリングで背中に回し、負傷者と共に中腰の姿勢で背後の非常ドアへと後退し始めた。

 

「さて、と・・・」

 

一人残された玄野はゆっくりと深呼吸し、次の瞬間、

 

「・・・・!!!」

 

バリケードから躍り出た。

 

『んなッ!?』

 

『特攻か!?』

 

『撃て!撃て!!撃てぇ!!!』

 

と、バリケードの外に居た生徒会役員が叫ぶ。

それと同時に役員達のライフルが火を噴いた。

 

「んなモンが・・・ガンツ部部長に効くとでも・・・思ッてンのか!!!!!!!」

 

玄野は手にしたガンツソードを振り回して、己に向かってくる弾丸を弾き飛ばす。

弾道の逸れた弾丸はてんでんばらばらな方向へ飛散する。

 

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

玄野はガンツソードの刀身を反転させ、手近に居た役員の腹に棟打ち―――峰打ち―――を叩き込む。

刃の側ではないとは言え、硬質な金属で殴られているのに等しい衝撃は凄まじく、峰打ちが当たった役員は泡を吹いて卒倒した。

 

「行くぞ行くぞ行くぞぉぉぉ!!!!!!!!」

 

それに続いて玄野は返す刀でさらに近くに居た役員のライフルを両断した。

 

『させっかぁぁぁぁ!!!!!』

 

するとライフルを失った役員は懐から素早く拳銃を抜き、玄野の眉間に照準する。

しかし、

 

 

ガツンッ・・・・

 

 

金属のぶつかり合う音と共に拳銃を持つ役員の手に押し返されるような感覚が走る。

見ると玄野のガンツソードが拳銃の銃口奥深くに食い込み、薬室に装填されていた弾丸ごと真っ二つにしていたのだ。

 

『クソッ!!』

 

慌てた役員はポケットから二つ目の拳銃を取り出そうとするが、

 

「らぁっ!!!」

 

玄野の繰り出したアッパーカットで昏倒した。

そのまま玄野はガンツソードを捨て、代わりにXガンの銃口を沖田に向ける。

 

「やぁ、さすがはガンツ部部長、恐れ入るッす~」

 

沖田はヘラヘラと言う。

バズーカ砲の砲口は相変わらず玄野に向けられたままだ。

 

「お前こそ、投降したらどうだよ?」

 

玄野もニヤつきながら言う。

Xガンの銃口もまた、沖田を捉えている。

 

「・・・気に入らねェ」

 

と、突然沖田はバズーカ砲の引き金を引いた。

ライオンの咆哮のような砲声が響き渡り、巨大なロケット弾が砲口から飛び出す。

 

「ッ!?」

 

玄野は咄嗟に横に飛びのいた。

そのお陰で被弾は避けられたが・・・

 

「詰めが甘いぜぃ」

 

言いながら、沖田は懐から小さなリモコンを取り出し、何やら操作した。

すると一度標的を逸れたはずのロケット弾は弾道を曲げた。

そして玄野めがけて再び突進してくる。

 

「クソッ!!リモコン式か!!??」

 

玄野は苦虫を噛み潰したような顔でうめく。

バズーカ砲には標的を指定して追撃できるものと一旦発射した弾をリモコンを用いて弾道を操作できるものが存在するのだが・・・

どうやら沖田のそれはリモコン方式であるらしい。

 

「なんてヤローだ!!!」

 

「こんなヤローだぜぃ」

 

玄野は弾丸を避けまくる。

しかし、そんな事をしていても時間の無駄だという事は玄野もよく理解していた。

 

 

―――ここは、イチかバチか捨て身で・・・―――

 

 

と、玄野は横っ飛びに転がり、先ほど捨てたガンツブレードを拾う。

 

「バカが・・・これで、終わりにしてやるぜぃ」

 

沖田はニヤリと笑い、リモコンを操作した。

標的は玄野だ。

雷鳴にもよく似た音を響かせながら、玄野めがけて突進してくる弾丸。

玄野と弾丸の先が触れるか触れないかの一瞬の間、

 

「・・・・!!!!!!!!」

 

玄野は横に身をかわし、ガンツブレードの刀身を右斜め上に向かって薙いだ。

弾丸は真っ二つに割れ、その衝撃で弾丸の端くれが沖田の方へ向かっていく。

 

「んなっ!?」

 

沖田は避けようとするが間に合わなかった。

弾丸は沖田の腹部に直撃し、そのまま爆発した。

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!???????????」

 

哀れにも沖田は調理場の中に吹っ飛ばされていった。

 

 

所変わって学生食堂2F・・・

 

 

「こちら遊佐です・・・」

 

玄野が沖田を撃退したちょうどその頃、学生食堂の二階、吹き抜けになったフロアから最下層の様子を見る少女がいた。

その少女は腰に装着したインカムから右耳へと伸びるヘッドセットで最下層の様子を通信相手に伝える。

 

「玄野さんが1Fの制圧を完了・・・」

 

『そう、分かったわ・・・2Fの制圧は?』

 

ヘッドセット越しに死んだ世界戦線のリーダーの少女―仲村ゆり―の声が聞こえてくる。

 

「たった今完了しました」

 

と、通信手の少女―遊佐―は現在の状況を手短かつ、淡々と、何の感情も込めずに告げた。

 

 

顔巣学園・A校舎屋上・・・

 

 

「宴もたけなわ、ってトコかしらね・・・」

 

トランシーバー越しに死んだ世界戦線のリーダーである少女―――仲村ゆり―――は呟く。

 

「そろそろ頃合ね・・・良いわ、実働部隊の回収をお願い」

 

『了解』

 

ゆりは遊佐にこう告げると、一旦トランシーバーの通信モードを切り、周波数を別働隊リーダー所有のトランシーバーに合わせる。

 

「藤巻君、聞こえるかしら?」

 

『おぅ、ゆりっぺか?』

 

ヘッドセット越しに戦線メンバーである藤巻の声が聞こえる。

 

「状況終了、回して」

 

『おし、任せとけ!』

 

 

学生食堂付近・第三グラウンド・・・

 

 

『キャー岩沢さーーーーん!!!!』

 

『ガルデモ最高ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』

 

『入江たん結婚してええええええええええええええ!!!!!!!!!!』

 

『みゆきちーーーーーーーーーー!!!!!!!』

 

『ひさ子ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』

 

その頃、第三グラウンドでは軽音楽部所属の死んだ世界戦線直属のガールズバンド、Girls Dead Monsterの野外ゲリラライブが終わりを迎えようとしていた。

死んだ世界戦線はオペレーショントルネードを行う際には一般生徒を非戦闘区域に誘導するのだが・・・その陽動を行うのに一役買っているのが軽音楽部だったりする。

特にGirls Dead Monsterは同じ軽音楽部の放課後ティータイムと共に校内外問わず、かなり人気であり、彼女たちにお近づきになろうと顔巣学園に入学する者も居るくらいだ。

 

「っしゃあ!!お前ら回せ!!!!」

 

と、現在演奏している曲―――Crow Song―――が最後のサビに入った瞬間、背中にPPSh-41短機関銃を担いだ藤巻が近くに居た戦線メンバーに指示を飛ばす。

 

「了解!!」

 

と、指示を受け取った戦線メンバーの少年は背後に設置された巨大な送風機の電源を入れる。

ゴゥン、というモーター音と共に送風機の羽が回り始め、辺り一面に風が吹き始める。

そしてそれと同時に食券が舞い上がり、しかるのちに大量の白い雨を降らせた。

 

 

顔巣学園・渡り廊下・・・

 

 

一方その頃・・・第三グラウンドや学生食堂がとんでもない騒ぎになっているとは露知らない氷川は、呑気にビューティフルサンデーを口ずさみながら学食へと続く廊下を歩いていた。

 

 

―――今日はカレーにすっかな・・・あとデザートは・・・―――

 

 

なんてことを考えていると・・・

 

「・・・およ?」

 

刹那、足元に学食の食券を見つけた氷川は足を止め、それを拾う。

食券には『かき氷(イチゴ味)』とプリントされている。

 

「・・・よし、今日は暑いしデザートはかき氷にしよう」

 

氷川は食券を拾えた幸運と期待に顔を綻ばせながら学食へと向かった。

 

 

数分後、学食3F・外テラス・・・

 

 

『今日のオペレーションも大成功だったな!』

 

『しっかし、今回は天使が居なかったのは幸いだったぜ』

 

『生徒会の連中、めちゃ悔しがってたぜ』

 

『白飯うめぇ』

 

生徒会との激しい戦闘を終えた死んだ世界戦線のメンバー達は学園一帯を臨むことができる学食最上階(3F)の外部テラスにて、絶賛ランチタイム中であった。

その中には玄野やふんこの姿もある。

 

「今回も急な呼び出しだったけど、いつもすまないわね、玄野君」

 

と、ゆりはカツ丼を頬張っている玄野にねぎらいの言葉をかける。

 

「いや、俺にとってはいいストレス発散になるよ」

 

「つか、玄野でもストレス溜まることあんのかよ」

 

「当たり前だろ?これでもガンツ部部長なんだぜ」

 

などと和やかに会話していると・・・

 

「あ、玄野」

 

玄野の後ろにカレーライスとかき氷の載った盆を持った氷川がいた。

 

「おぉ、氷川か、隣座るか?」

 

玄野は氷川に偶然空いていた隣の席を勧める。

 

「サンキュ」

 

と、氷川は椅子に座りカレーライスを頬張り始める。

 

「んで、どうだった?今回のオペレーションは?」

 

「まあまあ、かな・・・今回は割りと早く鎮圧できたよ」

 

「残念だったな氷川、もうちょい早く来てれば面白いモンが見れたのに」

 

向かいの席で日向が肉うどんを啜りながら言った。

 

「悪い、俺にはそういう趣味は無い」

 

氷川は苦笑いしながらそれに応じ、かき氷に手をつけた。

 

「カレーと一緒に食うのかよ」

 

と、玄野がそれを見て驚いたように言う。

 

「早くしないと溶けるからさ、一緒に食うしかないだろ」

 

そう言いながら、かき氷を口に入れる氷川。

 

「・・・ん?」

 

すると、氷川は少し訝しげな顔をした。

 

「どした?氷川―」

 

「い、いや、何でもない・・・」

 

 

―――何か、このかき氷、血の味がする・・・?―――

 

 

なんて事を胸に呟く氷川。

実はこのかき氷のシロップには先ほど調理室に突っ込んでいった沖田が流した血が数滴混入していたりしたのだが・・・・果たして氷川がそれに気づくのか否かは、また別の話。

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