力操りし者   作:地蜘蛛

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まずは主人公の過去です。


プロローグ

燃える町並みの中で、2人の男女が走っていた。男の方はまだ少年で、左腕と左目が失われていた。女の方は20代半ば、短髪の美女で、こちらは右目と右腕が失われていた。

 

「ナジェンダさん、これ以上は無理だ!すぐに追いつかれて2人とも殺られるのがオチだ!」

「だがレックス、もう少しで馬を留めてある場所に着くんだぞ!」

「...僕が時間を稼ぐ。その間にナジェンダさんは馬で遠くへ行ってくれ。」

「な⁉︎何を言ってるんだ!相手はエスデスだぞ!いくらお前でも片腕と片目を失った状態では返り討ちにされるぞ!」

 

少年ーーーレックスが囮を申し出ると、ナジェンダと呼ばれた女性はレックスを必死で止めようとする。しかし、2人には時間が無かった。2人の後ろに1人の女性が歩み寄ってきた。

 

「ようやく追いついたぞ、ナジェンダ、レックス。」

「エスデス...!」

 

レックスが憎々しげに呟く。対して、エスデスは余裕がある、強者特有の笑みを浮かべていた。

 

「随分手間取らせてくれたな。だがここまでだ。大人しく私に殺されるがいい。」

「はっ!何ほざいてやがる。あんたに殺されるほど、僕らの命は安くないんだ。」

 

そう言ってレックスはエスデスと向き合い対峙する。

 

「っ!やめろレックス!」

 

ナジェンダはレックスを止めようとするが、レックスのそんなことでは止まらない。

 

「ナジェンダさんは早く逃げろ!」

「だっ、だが!」

「ナジェンダ将軍‼︎」

 

急にレックスの呼び方が変わる。ナジェンダには、それだけレックスが本気だと伝わった。

 

「ナジェンダ将軍、貴女にはやらなければいけない事があるでしょう!革命軍に入ってこの国を変えたいんでしょう!なら早く行ってください!」

「くっ...!必ず戻って来るんだぞ!」

「分かってますって。俺は技神、帝国最強の1人ですよ?...必ず生きて戻ります。」

「約束だぞ!」

 

レックスとナジェンダはそこで別れる。ナジェンダは遠くへ逃げる為走り出し、レックスはエスデスを足止めする為愛用の剣へ手を伸ばした。

 

「思えば貴様と本気で戦うのは初めてだな。帝具使い同士が殺す気で戦えばどうなるか、分かっているだろう。」

「当たり前さ。だけど僕の目的はあんたを足止めすることだからな、殺せなくてもいいさ。」

「ふん、ほざけ。すぐにお前を殺してナジェンダも殺す。」

「やれるもんならーーー」

 

レックスは愛剣、帝具『以斥天伐マスターピース』でエスデスに斬りかかる。

 

「ーーーやってみやがれ‼︎」

 

レックスの、ただの人間が出せるスピードを超えた斬りかかりをエスデスは受け止める。しかし、受け止めたエスデスは後ろの方へ吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐっ!相変わらず厄介な帝具だな!」

「はっ、そりゃどーも!」

 

軽口を叩きながらもレックスは追撃を止めない。エスデスはレックスの攻撃を避けながら、自身の能力で足元に氷を作り、レックスの動きを封じようとする。

 

「んなもん効くか!」

 

それをレックスはジャンプして避ける。

ここまでの戦闘でレックスが優勢に思えるが、レックスはギリギリであった。もともとレックスは左利きである。だが左腕は逃げる時に仲間を庇い斬り落とされてしまった。加えて左目もやられているので視界が狭く、エスデスの攻撃を上手く避ける事が出来ない。そして何より、血を流しすぎた。レックスは戦闘の途中でフラついてしまった。

 

「ヤバっ!」

「スキありだ!」

 

その隙を逃すエスデスではなく、すぐに斬り込んできた。レックスは紙一重で避け、同時にエスデスの持っていた剣を破壊するが、死角から脚を凍らされてしまう。レックスはとっさの判断で凍らされた部分を切り落とすが、両脚とも膝より下を失った。さらに、地面に倒れた時に衝撃でマスターピースを離してしまった。

 

「ガハッ⁉︎」

すぐに立ち上がろうとするが、もう右腕しか残っていない為、立ちあがる事が出来ない。

 

「全く、手間をかけさせられる。だがなかなか楽しい殺し合いだったぞ。」

「くっ...!」

「喜べ。あいにく私の剣は壊れてしまったのでな、お前の帝具でトドメをさしてやる。」

「...好きにしろ。」

「ほう?随分潔いな。」

「俺のやる事はあんたを足止めすることだって言ったでしょ。こんだけ時間を稼いだんだ。もう充分さ。」

「そうか。では死んでもらうぞ。」

「そう言ってエスデスはマスターピースを拾いレックスの頭上で振り上げ。

 

ドスッ

 

心臓へ刺した。

痛みに顔を歪ませながら、薄れゆく意識の中でこんな声を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まだ、死んでは困る。この世界を変えて見せてくれ、我が相棒よ。』

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