運命は流転する。別々の世界、別々の時代、別々の生き方、されどその生き様は英雄たる者たちの物語。
 これぞ我らが英雄譚、胸に秘めたるは使命か、欲望か、あるいは矜持か。死せる者たちの戦い、再びこの地に顕現する。
 嗚呼、その身を焦がすは罪。大罪たるに相応しき罪を持つ咎人よ、求めよ、さらば与えられん。それが聖杯戦争、かつて死に、そして新たなる生を与えられた者たちが戦い、殺し合う。
 故に始めよう、ともに歩むは七体の英霊。闘争の果てに自らの願いを勝ち取れ、転生せし英雄よ―――!
※この短編は作者の次回作構成の時に没になったいわゆる没ネタです。基本的に続きはありません。
※俗に言うオリ転生者×聖杯戦争モノです。全参加者が転生者で前世の記憶持ちです! 苦手な方はブラウザバック
※この小説には独自設定、独自解釈があります。
※サーヴァントも全員オリジナルですが、ステータス等は公開しません、真名はあとがきにて掲載します。

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 作者が書いているFate/destructionの次回作として考えていた作品の内、没になったもの。マスターが全員転生者であり、一癖もふた癖もある奴ばかり。伏線というかいろいろと小ネタも挟み込んどいた(七つの大罪対応=ろくでもない聖杯など)
 なお条件が整えばマスターの癖にサーヴァントとタイマン張れるやつがそこそこいる模様(白目)


メインはサーヴァントではなくマスター

「ひとつだけ、言っておきたいことがある」

 

 そういって、今生の主は私に告げる。

 

「荒唐無稽なことであるとは重々理解しているし、到底信じられないことだとは思う。しかし、さすがに自分の相棒に隠し事はしたくない。おそらく、この後の戦局にも左右されることだ。であれば、隠すのは不義理だろう」

 

「・・・・・・分かりました。元尹(もとただ)がそういうのならば、そうしましょう。それで何なのでありますか」

 

 召喚されてまだ半日程度の付き合いであるが、彼の愚直なまでの真面目さは理解している。自身としては非常に好ましい相手であると彼女は自身の幸運に感謝したいくらいであった。

 

「ありがとうセイバー」

 

「礼を言われるまでもありません。して元尹。話とは一体?」

 

 彼はにっこりと微笑むと、顔を近づけてそっと耳打ちをする。

 

「―――有体に言うとね、僕は転生者なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――Fate/Hero transmigration―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「万歳! 万歳! 日本万歳―――!」

 

 駅のプラットホームに響き渡る万歳三唱。それを横目に、青年は基地に急ぐ。

 戦時中、このような光景は日常茶飯事だ。誉れ高いことであるのに、男は固く拳を握り締める。

 

 自分は軍人であるのに、どうして守るべき臣民を戦地に送っているのだろう。

 

 国を、陛下を守るためにはそうするしかないと分かりながら、どうしても自分の未熟さを痛感する。

 

 数年前から始まった大東亜戦争、我が国の敵は余りにも多い。男は政治が分からん、いや、知るべきではないのだろう。自分は生涯軍人だ、そういったことは帝大のインテリに任せれば良い。

 

 軍人の仕事は戦場に立って、死ぬこと。そして勝つことだ。

 

 それ以外は考えていない。男の生涯は、国に殉ずることなのだから。

 

 基地に戻り、上官と対面する。

 

 上官は男に書類を渡す、紙面にはあの大西瀧次郎中将の名が載っていた。

 一尉官である男からして、まさしく青天の霹靂だった。その時の衝撃は今でも鮮明だ。

 

『神風特攻隊』

 

 とても名誉なことであった。

 

 おめでとう。上官は男を誉め称える。男は歓喜の渦にいた。良かったと、これでようやく国のために死ねると。

 出立はすぐのことであった。陸軍軍人として、男はフィリピンへと向かう。

 

 恐れるものは何も無かった。 

 

 

 死生有命不足論、鞠躬唯應酬至尊。

 奮躍赴難不辭死、慷慨就義日本魂。

 一世義烈赤穗里、三代忠勇楠氏門。

 憂憤投身薩摩海、從容就死小塚原。

 或爲芳野廟前壁、遺烈千載見鏃痕。

 或爲菅家筑紫月、詞存忠愛不知冤。

 可見正氣滿乾坤、一氣磅礴萬古存。

 嗚呼正氣畢竟在誠字、呶呶何必要多言。

 誠哉誠哉斃不已、七生人閒報國恩。

                                ―――正気の歌

 

 

 国に殉ずること、それに疑問を持つことも無く、彼は大空に旅立つ。死して英霊となり、護国の鬼将とならんとついぞ男は大空へと旅立つ。

 それが男の生涯だった。

 

 

 

 

 

「ヴィルヘルム・ヴィルヘルム。おかしな名前かもしれないが、それが僕の名前だよ」

 

 眼鏡のレンズを拭きながら、ヴィルヘルムはそう告げた。右手にある聖痕は彼がマスターであることだけを如実に物語る。元の名前はカナリスである彼は平たく言うと婿養子であった。

 

「才能なんてない。特殊な技能なんて持ち合わせてない。僕が持つのは遠い過去の記憶と、生涯をかけて鍛え上げた平凡な魔術の腕だけだ」

 

 そう、彼は凡人。

 明確な力をもたない二流魔術師、彼という人間はこと才覚というものからはかけ離れている。それでも、それでもだ。何かを示したいと思うのは間違いなのだろうか?

 

「くだらないなマスター。非才? 凡人? その程度のことで剣を捨てる理由にはならないだろう」

 

「アサシン・・・・・・」

 

「剣術なんざ、ただの棒振りなんて言えるほど俺は腕が立つわけじゃない。それでも、ほかの並み居る騎士の中で、俺ほど剣を振るった奴はいない」

 

 鉄の鎧を身にまとう尖った鉤鼻、堀の深い相貌、後退した頭髪は短く切りそろえた男は淡々と告げる。

 

 

 

 北欧最強と名高いドイツ騎士団、あらゆる戦場へと向かい、戦う騎士にして戦士であり傭兵。それがヴィルヘルムの持つ記憶だ。

 

 だが、彼の存在は史書には描かれることはない。終生、一団員として戦線へと赴き戦い続ける一兵卒。馬をかけ、盾と剣を持ち、戦線を守る一人の兵士。騎士というのもおこがましいといえる彼は、きっと認められることを願い、幾たびの戦場を超えて来た。

 

 しかし彼もまた報われることなく、戦場に屍をさらす。

 しかし、それは間違いだったのか、報われることない人生に何の意味があるだろう。

 

「人生に意味なんざ問うものじゃないさ、どんな人生だろうと、突き進めばそれが答えだ。悲劇も喜劇も、全部がお前のもんだ。それを汚す権利なんざあっていいはずがない。現に俺は、俺にとっての正しい道を選び続けた―――」

 

 ともに非才、ともに凡人。されど、それに何の意味があろうか。しょせんは人間、汚い手を使ってなんぼだ。

 座り込むヴィルヘルムに手を差し伸べるアサシン。

 その手は、誰よりも堅かった―――。

 

 

 

 

 

「聖戦はここにあり! さぁ者共進むのだ! 聖地奪還の暁には、報奨は思うが儘だ!」

 

 そう、これは聖戦。ならばこそ、あらゆる所業、あらゆる行為は神が赦してくださる。なればこそ奪おう、なればこそ壊そう、あらゆる欲望を肯定してくださると、彼は信仰している。

 

 

 

 

「あぁ、本当に。あの頃は愉しかった」

 

「嘆くなアドルフ、愉しみはこれからであろう」

 

 教会の奥深くの一室のソファーに深く腰掛ける男とサーヴァント。周囲には酒瓶が転がり、退廃的な日常を送っているというのは想像に難くない。

 

「と、見給えアーチャー」

 

 テーブルの中央に鎮座する霊基盤、それは全サーヴァントが揃ったことを告げる明確な証である。

 

「あぁ、素晴らしい。実に愉しくなってきた。勝利した暁には、すべてが私のもの。これ程心躍ることはない!」

 

「抜かせアドルフ、この世のすべては我がモノだ。貴様が総てを欲するならば、我を倒してから言うといい」

 

 傲岸不遜なその態度、それこそが王の証であると彼の王は高らかにすべてを見下す。そして、彼のマスターもまた己のサーヴァントを嘲笑する。

 アドルフ・イエーガーとアーチャーのコンビは最低だろう、双方ともに我こそが一番と譲らない、寝首をかくことが当たり前というのがこの陣営の特徴他ならない。

 

「勿論だとも王様」

 

 笑みを浮かべるアドルフ、その裏の表情は誰もわからない。

 この世のすべてが俺のモノ、そう公言して憚らないがために彼らは強い。

 

 斯くして饗宴の舞台は幕をあげる。己が望むがまま、想うがままに彼らは自らの欲望を肯定し、戦場に立つのだ。

 

「十字軍の騎士の誇りを、見せてやろうではないか・・・・・・!」

 

「抜かせ似非牧師」

 

 彼方へ木霊する笑い声、来るべき闘争への備え、彼らは饗宴は死せるその日まで続くのだろう。

 

 

 

 

 

「さぁ、一夜限りの胡蝶の夢に、一緒に蕩けて溺れましょう」

 

 きらびやかな装飾を纏い、隠すべき秘部をさらけ出した服飾の意味を為さない淫靡な衣装を纏う美女。

 

 うっとりと、そして淫らに微笑むその貌は幾多の男を虜にし、妖しくそして美しかった。

 世が世であれば傾国の美女と呼ばれたであろうその女はこの色町において頂点に君臨する娼婦だった。

 

 一体どれ程の男が彼女に入れ込み、貢ぎ、破産しただろう。この黄金の美女を前にして正気でいられる男などいるだろうか?

 

「大した淫売だな、カリス」

 

「ふふ、不満そうねランサー」

 

 小さな矮躯でありながら6メートルはあろうかという長槍を持つ槍の英霊は冷めた瞳で己がマスターを見つめた。

 行為の後ということもあって、性臭のする部屋に対し眉を顰めつつ、淡々と口にする。

 

「聖杯戦争だぞ、俺は願いを叶えるためにここにいるんだ、そんなお前が淡々と通常業務に励んでいるのを見れば一言言いたくなるだろう。そもそもそういった仕事にも俺は感心しない、もう自分で自分を買い戻せるだろうに、なぜそれをしない」

 

 子供らしい堅い言葉、それもそのはず、ランサーは現在子供の姿で召喚されている。

 カリスは淫靡に笑うと、ランサーを抱きしめようとするが、ランサーはそれをするりの逃げてしまう。

 

「あら、少しぐらい抱きしめてもいいでしょう? いけず」

 

「ふん、こう見えてもそういうのを絶っている身だ。貴様以上に歳を食ってるわ」

 

「ふふふ、それもそうね神様」

 

「今は神ではない、ただの妖仙よ」

 

 ランサーは怒りをにじませているのか、鼻から勢いよく煙を巻き上げながらカリスに対し怒りの目線を送る。

 カリスもまた笑みを浮かべながらそれを流すように指先を唇に押し当てると、考え込むように答えた。

 

「娼婦はね、夢を売るの、一夜限りの淫らな夢を・・・・・・」

 

 淫靡に微笑む彼女は片目を閉じてランサーに優しく教える。

 

「辛いこと、嫌なこと、苦しいこと、醜いこと、そんなつもりつもった嫌な不浄を吐き出して、それ私たちは一切合切受け止めてあげるの。綺麗じゃなくていいって、悪くてもいいんだって、そう言った辛さを全部受け止めて共有してあげるの」

 

 彼女は悪を否定しない、不浄を否定しない淫靡な娼婦。そして積もり積もった不浄を流し、穢れを一身に受ける聖女でもある。

 

「それが、私のしたいこと。それが私の使命だから」

 

 だからこそ、ランサーはこの女を憎む。多くの男を救ってきただろう、しかしそれと同時に多くの男を破滅させると。もとは同じ悪に通ずもの故にわかるのだ。

 この女は悪魔他ならないと知っているから。

 

「だから、この胡蝶の夢に溺れましょう。貴方の穢れを受け止めて、二人でしっぽり濡れましょう?」

 

 

 

 

 

 渇いてゆく、乾いていって、枯れてゆく。

 朦朧とした意識、人骨をしゃぶり、土壁を食らい、それでも彼は乾いてゆく。

 ありふれた光景、どこにでもあるような悲劇。

 

「そうだ、僕はただ」

 

 在りし日を思い出す、乾いて死んでいく彼は何を思ったか、それは呆れかえるような単純なこと。

 

「―――お腹が空いていたんだ」

 

 今でもなお多くの人を殺す飢餓という悪意、飢えて乾いて朦朧とした意識の中、満たされることなく死んでいく恐怖。

 隣人を殺し、肉を食らい、土壁を削って喰らい、石と雑草を食らって喰らって、そして食べるものが無くなって彼は死んだ。どうしようもなくお腹が減っていたから、生きたいとか、死にたいとかじゃない。

 

 ただ、一つでもいいから、満たされたかったから。

 

「―――空虚だ、とても、とても寂しい」

 

 生まれながらにして満たされたことのない男、李伯。あらゆる武技の研鑽を積みながらただの一度も満たされたことのない男は求む。満たされたいと。

 

「君を食らえば、少しはこの飢えを満たすことが出来るだろうか」

 

 ぼんやりと彼は見つめる、瞬きと共に舌に宿った刺青と共に現れた黒き馬の乗り手へ。

 しかし、かの騎手は何を言うわけでもなく、いつも通りの言葉を言い放ち続ける。

 

「小麦は1コイニクスで1デナリオン。大麦は3コイニクスで1デナリオン。オリーブ油とぶどう酒とを損なうな」

 

 黒馬に跨る天秤を携えた騎士と共に彼は向かう。満たされるための一歩を踏み出すために。

 

 

 

 

 

 

 

『なぜだ、なぜ我を殺す、勇ましきものよ』

 

 凍てつく凍土の上に多大な流血を流す竜は静かに問いかけた。

 

『我が一体何をしたという、実りを与え、豊穣を約束し、父母の土地を守る我が何をした。それほどに、それほどまでに竜が憎いか、英雄よ・・・・・・』

 

 英雄は何も答えない、ただ一振りの剣を背にこちらを見つめ今か今かと自身の命を絶とうと迫る。

 

 竜は強かった、並の兵士では歯が立たず、高潔であった。しかし、この英雄には及ばなかった。

 

 ズメイ竜、それが彼だった。しかし、彼は悪龍ではなく、人と土地に根付く守護竜であった。

 人を殺したこともあるが、それは彼が悪と断じたが故に行為だった、日々村から贈られる果物を食し、村の営みを見ていた彼をどうして彼の英雄は殺そうとしたのか。

 

 わからない、一向に、竜には理解できなかった。

 

 なんだこの理不尽は、なんだこの胸の奥底から煮えたぎる感情は。

 

 振り落とされる断頭の一振りは無情にも来る。

 

『(―――嗚呼、そうか・・・・・・)』

 

 さんざんたる流血は白き凍土を犯し赤く染まる。断ち切れた頭は思考を無理やりにも終わらせ、そして竜は答えにたどり着いた。

 

『(これが、怒りか―――)』

 

 

 

 

 胸に残ったのはどうしようもない理不尽と怒りだった。

 

「故にこそ、わしは貴様が気に入らん。キャスター」

 

「あら、それは残念」

 

 訝しげな視線を送る白髪の巨漢、ミハエル・ヴィッテは己がサーヴァントにそう宣言した。

 ミハエルは理不尽が許せない。手前勝手な理由で命の尊厳を弄ぶ輩に対しては彼は義憤という名の怒りをにじませる。その点に至ってはキャスターとミハエルは火と油の関係だった。

 否、ミハエルがキャスターを嫌っているといった方がいいだろう。

 

「まあ、私も令呪を使われている以上余計な真似はしないことは約束しましょう」

 

「ふん、恋だの愛だのに他人を巻き込む輩の約束などちり紙にも等しいわ」

 

「あらあら、随分と嫌われたモノねぇ・・・・・・マスター」

 

 猫撫で声を出しながらミハエルに近寄るキャスターに対し、ミハエルは舌打ちで返す。

 

 ミハエルはかつて竜であった、されど今生は人として生まれ、それなりの暮らしをしてきたが、とある魔術師に見つかったことがミハエルにとっての人生の契機だった。

 

 竜の因子、それがミハエルが持ちうる現代において稀有となった異能。その存在を見つけた魔術師とのすったもんだの一幕の後、他人の人生を理不尽に捻じ曲げる魔術師に対しての敵となることを誓い、今では魔術師狩りと呼ばれるまでの人間となった。

 

「しかし、このようなろくでもない儀式を行うとは、人とは実に業が深い」

 

「貴方もその人間でしょう」

 

「ふん・・・・・・貴様に言われずともわかっておるわい」

 

 背中に感じる鈍い痛みと共に現れた令呪、たまたま殺した魔術師の持つ触媒と共鳴するかのように表れたそれによって不本意ながらミハエルは参加者となった。

 

「まあいい、このような魔術儀式、一体どれほどの人間が犠牲になると思っている。わしはわしのやるべきことをやる。協力してもいいが、邪魔はするなよ」

 

「あら、私がそんな薄情な女と思って? 大丈夫、きちんと協力するわ。だって愛しのあの人の為だもの・・・・・・って、マスター? どこ行くの? もう、私の話ぐらい聞いてくれたっていいじゃない!」

 

 キャスターの存在を無視しつつミハエルは町を行く。たとえ裏切られようと彼は町を―――人々を守ると誓ったのだから。

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 焼け落ちる聖堂、その中で高らかに笑う少女がいた。

 

「そうよ、燃えなさい! 一切合切、全部灰になって燃え尽きればいい! 神も悪魔も魔女も全部燃えるのよ! アハハハハハハハハハハハハ、アーッハハハハハハハハハハハ!!」

 

 狂乱の中、笑う少女。

 

「復讐よ、全部全部燃えればいい! 全部全部焼け落ちろ! 神なんていない! そんな魔女なんて偶像! そんな空想に踊らされた豚どもは全部全部焼け死ねばいい!」

 

 彼女にはかつて家族がいた、父に母に、可愛い妹が。

 父は戦地に赴き死んでしまった、母は流行り病で亡くなり、最期に残った妹は魔女と称され炎の中、お腹の子供と一緒に死んでしまった。

 どうしてこのようなことになったのだろう、妹が宿した子供が悪魔の子だったからいけなかったの? 私が働き尽くしで妹の面倒を見なかったからいけなかったの? もう何もわからない、辛くて、辛くてしかたなくて。心の支えが無くなって、一切合切を壊したくて、世界のすべてが許せなくて。

 

 どうしようもないから、全てが憎くて仕方ないから、彼女は魔女となった。

 ミサに来ていた多くの村人を焼き殺し、村から村を渡って殺し続けて、最期には得体のしれない神父に追い詰められて今こうして焼け死のうとしている。

 

 前に進む足はあった、過去を振り払って忘れて、また頑張ればよかった。

 だが彼女はそこで立ち止まった、何もかもが嫌になって、思考停止して、その果ての怠惰がこの始末。

 

 

 

 

 

「だから私は一人でいい」

 

 そして今、彼女―――アレクシア・ルフェーブルは孤独を享受する。

 幸運なことに今生の彼女には家族がいなかった、いわゆる天涯孤独というやつだった。

 

 彼女を見て人は言う、可哀想だと、或いは辛いだろうと。しかし彼女にとってはどうでもいいことだ。

 

 幸せが怖い、いつか無くなるから。愛情が怖い、いつか失うから。家族を持つことが怖い、いつかいなくなってしまうから。

 

 それが彼女の幸せ、それが彼女が望んだこと。

 

「孤独だな、アレクシア」

 

 背後に佇む偉丈夫。一流の戦士を思わせながら、その実、気品を兼ね備えた王と言うべき男。それが彼女のサーヴァントだった。

 

「私に話しかけないでくれるかしら、バーサーカー」

 

「・・・・・・」

 

「私は一人でいい、一人で孤独に生きて、そして枯れながら死ぬ。それがいい。苦しいことは嫌い、辛いことも嫌い。幸福なんて大嫌い。この無情の世界は、ひどく私に厳しいから」

 

 だから、全てを捨てる。何かを抱えることなく、彼女は一人で世界を行く。寄り添うことなく、ひたすら不干渉を貫く。

 

「私は、何もいらないから、何も望まない。ただ、一人でありたいから」

 

 復讐の果てに見たのは何だったのか、首筋に浮かぶ令呪に触れながら、彼女は今日も生きてゆく、なんの感動もなく。生きることに意味なんて無い様に・・・・・・。

 




令呪の発現位置+対応する罪、備考
加賀元尹 左手甲 傲慢
 元軍人であり、反射神経などに優れる、林崎新夢想流の使い手。有能な味方ポジ
ヴィルヘルム・ヴィルヘルム 右手甲 嫉妬
 ドイツ人で魔術師の名家に生まれた男、転生しても凡才なので努力の虫。主人公候補
アドルフ・イェーガー 胸 強欲
 聖堂教会所属、髪形はトンスラ。自分の欲望に正直な男。中ボス候補
カリス 下腹部 色欲
 淫乱ビッチさん、こう見えて教養もある模様。ラスボス候補
李伯 舌 暴食
 生まれてこの方満たされたことのない人、形意拳の達人。ラスボス候補
ミハエル・ヴィッテ 背中 憤怒
 ドラゴンの生まれ変わり、キャスターと組めばドラゴラムが出来る模様。主人公候補
アレクシア・ルフェーブル 首筋 怠惰
 無神論者、前世ではっちゃけた結果、なんかすごい性格になった。ラスボス筆頭格

サーヴァント真名 備考
セイバー 上杉謙信
 TS枠、僕の地元の英雄です。私と貴方(元尹)でダブルセイバーだッ!
ランサー 紅孩児
 ショタ枠、神霊ではなく妖仙として召喚されている
アーチャー ニムロド
 旧約聖書における最初の王にして狩人、バベルの塔作った人
ライダー ブラックライダー
 黙示録におけるヨハネの四騎士の一角「飢餓」を司る
アサシン アグラヴェイン
 モドレの側近、努力し続けて剣を振りまくったらマメが潰れて「堅き手」になった
キャスター キルケー
 オデュッセウスラブ勢、なお性格は最悪
バーサーカー ホグニ
 神々のとばっちりを受けて親友と殺し合うことになった人

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