Fallout3 Another person of him 作:L1mp
2258年、アメリカのワシントンD.C付近、もっとも、そう呼ばれていたのは200年もの前の事だ。
200年前に起こった悲劇の戦争、『Great War』そう呼ばれている核戦争が世界を襲った。
どの国が核ミサイルのスイッチを押したのが分からないこの戦争は、二時間の間絶え間なく続いた。
アメリカのワシントンD.Cは首都であるため多大な攻撃に晒されたのだ。地は裂け、文明は崩壊し、放射能で汚染され、あらゆる生物が全滅したかと思えた。
しかし、人間はしぶとい。Vaultと呼ばれる核シェルターに逃げん込んだ者、メトロへと、各個人の核シェルターに逃げた者、など少なからず生き残った。
Vaultという核シェルターは複数あり、Vault101という核シェルターがある。
そのシェルターの中に一つの命が産まれ、一人の赤ん坊が原子炉階層で見つかった。
一人は母が相当の難産で、元気な女の子の赤ん坊として産まれたが、母親が死産した。
もう一人は、地下の原子炉階層で一人の技術者の手によって見つかり、医者の手によって育てられる事になる。
その医者とは、死産した母親の夫だった。
かくして、母親を失った女の子、と、現れた男の子、の物語が始まる……
「ジェームズ。もうすぐ産まれるわ!」
看護師であるリーの掛け声によって出てくる赤ん坊を受け取る準備をする。
"オギャー!オギァャー!"
元気な泣き声が手術室に響いた。
やっと産まれたのだ。妻のキャサリンとの子が。
妻に伝えるべく、性別を確認する。
(性別は……女の子か!)
「キャサリン!女の子だ!元気な可愛い女の子の赤ん坊だよ」
腕に抱えた我が娘を妻のキャサリンに見せる。
「あらまぁ、可愛い。私達に似た可愛い女の子……」
キャサリンに笑いかけながら、娘の遺伝子解析をする。将来どんな子になるのが楽しみだ。
「ジ ジェームズ。苦しいわ……」
遺伝子解析を進めている間、キャサリンが呻いた。
「マズイ!心停止している!その子を退かしてくれ!心臓マッサージだ!」
なんてことだ!キャサリン!
「キャサリン!しっかりしてくれ!1……2……3……4……!」
(頼む!動いてくれ!)
強く、血液が送れる様にマッサージする。
(心電図のピープ音なんて気にするな!生き返る!生き返えらせてみせる!)
必死にマッサージをする。何度も、何度も。
「ジェームズ!もう無理よ!彼女は死んだわ!」
「うるさい!まだだ!」
「諦めましょう……分かっていたでしょう?彼女の意思だったのよ……」
「クソッ……キャサリン……すまない……。ドクター・リー。死亡確認を頼む」