Fallout3 Another person of him 作:L1mp
「今日の仕事は、地下階層での作業と入ってきた男との仕事か……」
自分の頭を掻きながら、呟き、自分のすべき仕事を整理する。
地下の原子炉階層の原子炉の管理と点検。
精錬水製造のフィルター交換、最近外から入ってきた子供を抱えた医者との整備作業。今日もとてやるべき事が多くある。
腰に付けたベルトからスパナを引き抜き、手の中で弄ぶ。
「工具を弄ぶとはあまり良い顔はできないな?」
背後からの声。この声は……マズイ。
スパナをベルトにしまい、後ろを振り返る。
「申し訳ございません。監督官殿」
青いジャンプスーツに少し目立ち始めた白髪、薄く顔に浮かぶ皺。
ここVault101の最高権力者、監督官様だ。
「まぁ、いい。スタンリー。幸い誰も、君も怪我をしていないのだからな」
どうやらオフィサー達とのポーカーにバカ勝ちしたらしい。浮き足立っている。
「ありがとうございます。監督官」
そう言い、地下の原子炉階層へと向かった。
原子炉の点検としては異常はなかった。
しかし、困った。なぜ赤ん坊がいるんだ?
原子炉の前にスヤスヤと布に包まれ眠っている赤ん坊を抱く。
「今年出産した女性はいないはずだぞ?」
どうするか?とりあえず、ドクターに見せてみるしかないか。
一旦、作業を取り止め、ドクター・ジェームズのオフィスに赤ん坊を抱いて連れて行こう。
「スタンリー。それは君の子かい?」
オフィスに座ってコンピュータに文字を打ち込んでいた作業を止めたジェームズが言った。
「ドクター。違うよ、地下の原子炉階層にいたんだよ」
「おかしいな?今年に入っては一回も出産の執刀はしていない。監督官に一応、この事を言っとかなくては」
デスクの引き出しからクリップボードを取り出して、診察書を挟む。
「スタンリー。その子を貸してくれ。状態を診てみるよ」
ドクターが布を解き、聴診器で心臓の音を聞く。
「心拍は問題なし。少し衰弱はしているが問題ないな」
診察書にその事をエンピツで書いていき、サインを最後にする。
「スタンリー、一ついいかな?このクリップボードを監督官に渡してくれ。それとこの事情も話してくれ。頼む」
「わかったよ。ドクター。それでこの子はどうするんだ?」
少しドクターが悩み、一つの結論を出した。
「もし、この子の親が現れたかったら私が引き取る事にするよ」
「ドクター。良いのか?なんなら俺が引き取ろうかと思うんだが……」
ドクターは少し微笑み、眠っている赤ん坊を見る。
「いや、大丈夫だ。この赤ん坊は今は亡き妻の雰囲気と似ているんだ……」
ドクターの妻は出産の時に亡くなったと聞いている。
「そうか……。辛いことがあったら言ってくれよ?」
「あぁ、ありがとう。スタンリー」
赤ん坊をジェームズに託して、この持っているクリップボードを上機嫌な監督官に渡す為にジェームズのオフィスを出た。