Fallout3 Another person of him 作:L1mp
「健康的な16歳の男子だな。この意味が分かるな?G.O.A.Tテストを受けなきゃいけないんだ」
父はVault101の中で二人しか居ない医者だ。
つまり、その結果に差異は無い。本当の事なのだ。
「G.O.A.Tテスト。受ける意味ある?」
「大丈夫、ちょっとした筆記試験さ。いってらっしゃい」
「息子よ、ちょっとテストが終わった後に話があるんだ。テストが終わったらオフィスに戻ってきてくれないか?」
「どんな話?」
「大事な話なんだ。ショックな話かもしれない」
「んー、わかった。戻ってくるよ」
「良し。いってらっしゃい」
父のオフィスを抜けて、診察室を通る。ジョナスが丁度来た様だ。
「おはよう!フランシス!お父さんに会いに来てたのかな?」
「悪名高いG.O.A.Tテストの身体検査の為にね」
声のトーンが下がりながら言った。
「はっはっは!そうだよな!だけど、受けなきゃいけないテストだ。がんばれよ!」
診察室を抜けて、テスト会場の部屋に向かう。
テスト会場の前で、ブッチ、ポール、フレディの三人組がたむろっている。
「また、面倒な所に。さっさと会場に入っておけよ……」
そこに、姉さんとアマタの二人組が通りかかった。姉さん達もテストを受けるのだ。
「よぉ〜、お二人さん」
ブッチが姉さん達に声掛けた。
それに伴い、ポール、フレディも。
「ちょっと付き合ってくれないかな〜?」
ブッチが姉さんの腕を強引に引っ張った。
「ブッチ!やめて!」
アマタの高い声。
姉さんはVault101の中の男子の中で一番の人気だ。
典型的な不良で横暴なブッチはそれはそれは物にしたいだろう。だが、俺というのを忘れているな?
短い廊下だが、助走をつけるのには充分。
右手で握り拳を作り、走って、勢いをつける。
「その手を離せ!」
声と共に出された拳は、ブッチの頬をクリティカルにヒットする。
「ギャァ!」
顔に大きな衝撃と痛みを味わったブッチは、手を離し、吹っ飛ぶ。
「こいつ!」
フレディが俺に目掛けて、パンチを繰り出す。
それをガードして、足払いをして転ばす。
フレディはポールの革ジャンを引っ張り、ポールはフレディと共に転んだ。
「姉さん達、早く離れて!」
ブッチは殴られた衝撃で気絶してるが、フレディとポールは転ばせただけ。
姉さんとアマタは急いでテスト会場に入った。
「この野郎!」
立ち上がったポールの頭目掛けての蹴りが飛んでくる。
それを両方の手で防いで、無防備の股間に強烈なキックをお見舞いさせる。
「ピャッ!」
余りの痛さにそんな声しか出ないのだろう。顔を蒼白にして倒れた。
「殺す!」
フレディが取り出したのは、飛び出し式のスイッチブレード。
フレディお気に入りの武器だ。
実際は使う機会が無く、持っているだけだが、激昂して、取り出したのだろう。
ブレードが柄から飛び出し、横に斬り払う様に降ってきた。
後ろに半歩、ステップで躱して、スイッチブレードを持っている右手の手首をなんとか掴む。
そして、肘の部分を思いっきり蹴り上げる。バギッと骨が折れる音がして、フレディの腕が変な方向に曲がった。
「ギャァぁ!腕が!腕が!」
たまらず、フレディはスイッチブレードを落として、左手で右肘を抑えた。
落としたスイッチブレードを拾って、ポケットに入れる。
「さっさと医者に診てもらったら?そこの二人を連れてさ?」
痛みで涙を溢しているフレディに言った。
「ちくしょう!覚えてろ!」
フレディは、急いで、右肘を支えながら医務室へと走って行った。
「さて、会場に行こう」
ブッチ、ポールにフレディが医務室に言ったことを書いたメモを残して、テスト会場へと入った。
そこには、心配そうな姉さん達と呆れた顔をしたMr.ブロッチが頭を抱えながら立っていた。
「おはようごさいます。Mr.ブロッチ」
「おはよう、フランシス君。君はまたやってくれたね……」
更に、頭を抱えながら、俺の後ろを見た。
「君はやり過ぎなんじゃないかな?」
「いえ?別に。姉さんがブッチに強引に引っ張られたので手を出しただけです。後は、正当防衛です」
「あの様子は、過剰防衛と言うんだよ?フレディ君は兎も角、ポール君のは酷いね。見てたコッチが痛くなった」
「取り敢えず、この後、監督官の所に行きなさい。必ず」
「分かりました。Mr.ブロッチ」
Mr.ブロッチが会話を止め、機材の準備に入った。
そして、俺の元に姉さん達が来た。
心配なのは怪我してないか。
「大丈夫?姉さん達?怪我は?」
するとアマタが涙目で話した。
「それはコッチの台詞よ!本当に怪我してない!?」
アマタが身体を隅々まで見る。
「大丈夫だって!無傷!ほら!」
腕を広げ、一回転する。
痛っ!脇の下から血が出ていた。避けた時に掠ったのか。
「怪我してるじゃない!手当しなきゃ!」
姉さんがpip-boyのストレージから消毒液とガーゼにスティムパックを取り出す。
「ほら、傷を見せて」
ジャンプスーツを上だけ脱ぐと、下着ごと斬られていた。
「掠っただけだから浅い。スティムパックを打てば直ぐ治る」
姉さんが慣れた手つきでガーゼに消毒液を含ませ、傷口を拭いていく。
「痛たっ!優しくできない?」
「直ぐ終わるから、我慢して」
次にスティムパックの針のカバーを外して、傷口の近くに打つ。
すると、スティムパックの成分の効能でジワジワと傷口が塞がれていった。
「これで大丈夫。ジャンプスーツ切れちゃったから新しいのにしなきゃね」
またストレージから取り出したのは、薄いジャケット。
「取り敢えず、これを羽織っておいて。家に帰ったら新しいの受け取るから、それまでの繋ぎ」
「うん、わかった。ありがとう。」
姉さんからジャケットを受け取り、それを切れたジャンプスーツの上に羽織る。
「ピッタシだ。流石姉さん」
姉さんとアマタは、席に座る。
そろそろテストが始まる。俺も席に座らなくては。
右列の一番前に座った。
スチールの輝きを放つプロジェクターからスクリーンへと映像の光を放つ。スクリーンには金髪少年が羊に跨る画像が映し出されている。
そして、Mr.ブロッチがテストを受ける全員に回答用紙を配り、スクリーンの右側に問題を持って立つ。
「さて!それじゃ回答用紙は全員に回ったかな?欠席もいるようだが時間は待ってくれない。はじめよう」
「それじゃ問題1……」
Mr.ブロッチが問題を読み上げ、その回答を用紙に書いて行く。科学知識を問う問題、倫理的な問い、果ては、洗脳じみた問題などを書いていき、遂に、悪名高きG.O.T.O.テストは終わりを迎えた。
回答用紙をMr.ブロッチに提出すると、Mr.ブロッチが書類に書き込んでいき、その書類が渡される。
「何々……、精神科医育成コース?まぁいいんじゃないかな?」
書類を折りたたみ、姉さんの結果を見に行って見る。
「姉さん。テストの結果はどうだった?」
目には涙が浮かぶ。まさか、メンテナンス科か?
「フラン……これみて……」
出された書類には、外科医育成コース。父と同じ結果の様だった。姉さんは父を医者として尊敬している。
「良かったね、姉さん!」
余りの嬉しさに、泣き出してしまった。
宥める為に頭を撫でる。
「子供じゃないんだから、ワンワン泣かない。笑顔で喜ぶでしょ?!今日はパーティーだね!」
「ありがとう……フラン……」
声を震わせながら姉さんは言った。
誤字指摘ありがとうございます。