Fallout3 Another person of him 作:L1mp
___三年後
「起きて!フランシス、早く起きて!」
アマタの声と共に、肩を揺すられて眠りから起こされる。
「どうしたの、アマタ。もう少し寝ていたいだけど?」
乾燥している目を潤す為に、数回、瞼を瞬き、目をこする。
「ダメよ!早く目を覚まして!私達のお父さん達が来るわ!先に、カレンの方を起こしてきたけど、多分、先に貴方の方にくると思うわ!」
どうして監督官がわざわざ、医者の卵である俺たちに会いに来るんだ?
「分かった。けど、どうゆう事情なんだ?なんでわざわざ監督官達が?」
「良い?よく聞いて。貴方のお父さんが逃げ出したのよ」
「監督官の説教中に?三年前から色々動いてたからな、父さんは。入っちゃいけないエリアに入ったのか?」
またか、という思いだ。三年前の真実の告白から父は少し規則を破る様になっていったのだ。
「違うの!Vaultから脱走したのよ!オフィサー達を倒して!」
父さんがオフィサー達を倒した?しかもVault101から脱走した?
「アマタどうゆう事なんだ?ここから脱走なんて不可能だろ?スクールでも習ったはずだ」
「そうよ。だけど外へと通じる扉を開けてしまったのよ!その事に父はカンカンに怒って……」
「ジョナスを拷問して、殺したのよ!そして、ラッドローチも溢れてる!」
嘘だ、ジョナスが死んだ?
「とにかく急いで!ここから逃げなきゃ!カレンはもうとっくに自分の部屋を出たわよ!」
「分かった……。アマタ、知らせてくれてありがとう」
「別に礼を言われる様な事じゃないわ。監督官のオフィスで会いましょう。カレンともそこで待ち合わせてるから」
そうアマタは言うと、ヘアピンをデスクに置いて、部屋から出て行った。
「支度しなきゃ。武器はこのBBガンとバットぐらいしかないな。薬もメンタスやバファウト、スティムパックぐらいか……」
バット以外をpip-boyのストレージにしまってから、バットを持つ。
部屋から出て、廊下に出るとスピーカーからビープ音が鳴り響き、カセットテープに録音された現監督官の声がスピーカーから響いていた。
〈現在、反逆者が逃亡中である。危険であるため、絶対に居住区の住居からの外出を禁じる。繰り返す、住居からの外出を禁じる〉
赤いサイレンランプの光が廊下の壁に反射する。
「フランシス!監督官からの命令だ止まれ!」
オフィサーの一人が、ケプラーベストにフルフェイスヘルメットの重装備で警棒を構えながら警告を放つ。
しかし、脇から現れた複数のラッドローチがオフィサーの姿を消してしまった。
「ラッドローチだ!クソ!いてぇ!助けてくれ!」
しかし、ラッドローチの強い嚙みつきによりケプラーベストは破れ、肉を啄ばんでゆく。助けられる事などない。助けたとしても感染症で死ぬだろう。
「すまない。オフィサー」
バットを持ったまま、急いで走り出す。オフィサーの断末魔が後方で聞こえた。
手洗場が傍にある廊下を進むと、革ジャンを着て、顔に涙を浮かべている、ブッチにあった。三年前のあの日から奥歯が銀歯になっている。
「フランシス!お袋を助けてくれ!ラッドローチの群れに襲われているんだ!」
「すまない、ブッチ。俺は急いでるんだ、このBBガンでなんとかしてくれ」
ストレージからBBガンを取り出して、弾を装填してから渡す。
「お前、こんな物をどこで……?いや別に良いありがとう!」
ブッチはBBガンを受け取ると、急いで母親が立て籠もっている住居へと走って向かった。
それから階段を登り、バットでラッドローチを潰し、監督官のオフィスへと急ぐ。
一階のエントランスに降りると、一人嘆き悲しんでる女性がいた。
「なんてこと……この人が何をしたの……悪いのはあの医者じゃない……」
腕に抱えているのは、確か、この女性の婿だった気がする。医者というのは父の事だ。関わらないほうが良いな……。
再び階段を登り、監督官のオフィスがある通路に辿り着いた。しかし、左の部屋からアマタと姉さんの声が。
「何も知らないわ!カレンもそうよ!」
「ふざけるなアマタ!彼女の父親がこの混乱を招いた事は、事実だ!何も罰を与える訳じゃない!」
「それは嘘よ!じゃあ、オフィサー・マックが、なんでカレンを殴ったのよ!」
「それは彼女が抵抗したからだ……!」
姉さんを殴ったのか。それ相応の覚悟があったらしいな……。
「もう良い……。オフィサー・マック!彼女らを連行しろ!」
頭髪を剃ったオフィサーが手錠を掛けようとするのを見て、俺は、扉のスイッチを押していた。
「やっと現れっ……」
監督官が台詞を言い終わる前にバットを振り下ろして気絶させる。メキッと音がした。
「野郎!監督官に何する!」
オフィサー・マックは警棒を腰のベルトから引き抜き、伸ばす。
「お前も連行してやる!」
オフィサー・マックが警棒を振り上げる。
しかし、そんな見えている攻撃など回避できる。
左側に身体を倒し、その反動でバットを肋骨に向けて振り払う。
厚いベストに衝撃を緩和されたのかオフィサー・マックは顔を顰めるだけで、怯みなどしなかった。
オフィサー・マックが遠心力を加えた攻撃をガードして、V.A.T.Sを起動する。
至近距離。外す確率は5%だけだ。頭部に狙いを決める。そして何回も慣れ親しんだアシストの感覚が腕を包む。
バットと頭がぶつかり合い反発する音、オフィサー・マックの悲鳴、この二つの出来事を無慈悲に無視し、打撃を続けるV.A.T.Sのアシストはオフィサー・マックの死によって終わった。
そして、血の付いたバットを放り投げて、姉さんの怪我とアマタの無事を確認する。
「姉さん。顔を見して」
俯いた顔を、前に向かせて殴られたという跡を見る。オフィサー・マックが相当な力で殴ったのか青アザが出来ていて腫れていた。
「酷い……。とりあえずスティムパックを打っておくよ……」
そう言ってストレージから赤い液体の入った注射器を取り出す。針の安全カバーを外して、腫れている部分の周辺に打っておく。
「ありがとう。フラン。大分、痛みは無くなったよ……」
見た限り、姉さんは恐慌状態だ。
当然だ。父がいなくなり、その事に関しての怒りを突如、受けたのだから。
「もう大丈夫。安心して」
そう言って、姉さんを抱きしめる。
すると姉さんは泣き出してしまった。
「ほら、ここじゃアレだし。移動しよう」
そう言って、アマタに目配せで合図して姉さんをアマタの部屋に連れて行った。
プラスチックとアルミ製品の椅子に姉さんを座らせて、アマタの部屋に来る道中に、冷たくなっていたジョナスを見つけた。
相当痛めつけられたのだろう。顔中が腫れ、白い白衣と青いジャンプスーツが、自分の血で赤く染まっていた。
ジョナスの遺体を姉さんに見せない様にしながら、アマタの部屋に連れて行った後、俺はジョナスの遺体を綺麗にした。
顔から出ている血を拭いてやり、白衣を脱がす。
ジョナスから白衣を脱がしている時に、白衣のポケットから一つのカセットテープが見つかった。そのラベルには父の字で、子供達へ、と書いてあった。
カセットテープをpip-boyにセットしてから姉さんの所に戻る。
「姉さん。父さんからのカセットテープが見つかった。聞いてみない?」
姉さんが泣き腫れがある目を擦りながら、頷く。
pip-boyのサウンドをスピーカーにしてからカセットテープを再生する。その声は確実に父のものだった。
『子供達よ。まず思う事は本当にすまない。勝手にいなくなる事になって。理由は聞かないでくれ。俺にはキャサリンとのやり残した事があるんだ。俺はそれを達成する為に外に行く。絶対に後を追わないでくれ』
『カレン。フランシス。三年前のあの約束、守れなくてすまない。恨んでもいい。だが、絶対にVaultから出ないでくれ。これが父からの願いだ……。』
『本当にすまない』
そこでカセットテープの音声は終了した。
やはり、あの人は守らなかった。三年前から怪しげな動きをしていたが、こんな騒ぎを起こしてまでする事なんてあるのか?
我を子を危険に晒してまでするべき事が?
俺は、そのするべき事を、知りたい。
「カレン姉さん。どうするんだ?俺は父さんの後を追う」
カレン姉さんの顔には驚愕の表情。そして、不安も混じっている。
「なんで……?フランまで行っちゃうの?ここにずっといればいいじゃない?父さんが言ってた様に、安全だって!」
確かにVaultは安全だ。しかし、それは何時も日常なVaultの事。今、この現状、ここに残る事は非常にマズい。
「姉さん。今のVaultの中に、俺たちを殺したい、という人間はどれ程いると思う?ほぼ全員が思っているのかもしない」
「……それに、俺は知りたいんだ。父さんが言っている安全なVaultを捨ててまで、するべき事を」
そう言うと、姉さんは覚悟を決めた様な顔付きになる。
「分かった。なら、私も付いていく。危険だ、とか言っても無駄、それはフランにも言える事だから……。そして、私の前から二人が消える事も嫌だから」
姉さんはそう言うと、腫れた目をまた擦って、立ち上がる。
「フラン、行こう。父さんを追いに、外へ!」
アマタの部屋を抜けて、監督官の部屋に入る。アマタが先に鍵を開けておいてくれた様だ。
更に、監督官のコンソールのパスワードも解いておいてくれたようで、簡単にログイン出来た。
コンソールを弄って、トンネルの開放を選択、すると、後方で、監督官のデスクが油圧式ジャッキで上に開いた。
「この先が外に通じる扉へと繋がる道」
姉さんがそう言って、階段を降りてゆく。
ロッカーから10mmピストルと弾を回収してから姉さんの後を追った。
扉を開けると、そこはVaultのゲートルームだった。ゲートは鋼鉄製の三メートルはある円のゲート。
そしてそのゲートを操作するパネルを操作してゲートを開ける。アラート音とサイレンネオンが鳴り光り、重苦しい、鋼鉄が擦れる音がルームに響く。
「開いた……ついに開いたのね……」
いつ間にかいたアマタが呟いた。
多分、これで今生の別れだろう。
「その、アマタごめん。父親の事……」
思いっきりバットで監督官の事を殴った事を謝罪する。
「大丈夫よ。父さんは死んでないわ。それよりも、これでお別れね」
「そうね、アマタ。また会えるかは分からないけどバイバイ」
姉さんが言う。
「その、あなた達のお父さんに会ったら、謝っておいて。こんな事になって申し訳ない、って」
恐らく、俺たちが外に出る事だろう。
アマタが謝る事などではない。二人で決めた事だ。
「別にアマタが謝る事じゃない……。さよなら、アマタ」
「さよなら、フランシス。もうすぐ、父の部下が来るわ、急いで!」
姉さんの手をとって、Vaultのゲートを走り抜ける。そして、またアラート音とサイレンネオンが鳴り光り、ゲートもまた、擦れ合う音を出し、ハマる音を出して、閉まった。
それを確認した、俺たちは、木製の扉に手をかける。
「姉さん……準備はいい?」
「うん……大丈夫」
その言葉と共に、扉を押し開けた。
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