東方怪物録 〜4匹のモンスターが討伐されて転生した先は幻想郷〜【完結】 作:ブラキDIOス(超絶スランプ)
前回のあらすじ・・・ダラ「かゆうま」シャガ「それ違うウイルスです」
時はほんの少し遡る。
レギオスが敗北し、永遠亭に運びこまれる頃。
〜湖のほとり〜
バサッ…バサッ…スタッ
レウス「…どうやらこの場所のようだな……」
ここに来たのは、天空の王者である。そして、呟きながら地面に降り立つ。
その時!!
ゴォッ!!!
レウス「!?」
何処からか、火球が彼に向かって一直線に飛んできた!
レウス「くっ…」サッ
間一髪で避ける。当たれば良くて重傷、悪くて即死だっただろう。
???「あたしの火球を避けるなんて………只者ではないわね…」ザッザッザッ…
レウス「誰だ!?」
???「あなたと同じ存在よ」ザッ…
出てきたのは、金髪の美しい女性であった。引き締まったグンバツの脚…じゃなかった、高貴な雰囲気が漂っている。そして、背中には金色の翼が生えている。
レウス「……『雌火竜』………ではないな……何者だ」
火竜リオレウスの対となる雌火竜リオレイア。彼女からは、確かにリオレイアの覇気を感じるのだが……
???「あたしは『金火竜』。人間はそう呼んでたわ」
レウス「『金火竜』………希少種か……」
彼女の正体は『金火竜 リオレイア希少種』。
『黄金の月輪』とも称される美しい金色の甲殻を持つ。何故、金色となっているのかは良く分かっていない。
ルナ「この世界に来たと思ったら変な動物に襲われるし、人間の姿になってるし…………あ〜……イライラするわ…」
レウス「…それは大変だったな」
ルナ「それで今度は火竜ですって?冗談じゃ無いわ。また殺されるのはゴメンよ」
レウス「そうか」
ルナ「でも、あなたはあたしを退治しに来たんでしょう?」
レウス「……お見通しというわけか」
中々鋭い奴である。伊達に希少種と呼ばれているわけでは無いようだ。
ルナ「あたしに勝てるかしら?」サッ
レウス(相手が女性とは………やりにくいな……)サッ
以前、咲夜と戦った時はルールに従って最低限の攻撃しかしなかった。
だが、今回の相手は竜である。さらに言えば、『陸の女王』の異名を持つリオレイアの希少種が相手である。ルールなど無用。相手は一切の手加減も無しに襲いかかってくるだろう。
レウス(やれやれ…………幻想郷の為とは言え…気は進まないな…)
女性と本気で殺し合うなど考えた事が無かった。ましてや、相手は同種の雌である。戦う事などあり得なかった。だが、それよりも大きな問題があった。
レウス(通常種である私が希少種に勝てるだろうか…)
本来は、希少種は一部の認められたハンターしか狩猟する事が出来ない。だが、その制度こそが通常種と希少種の実力の差を物語っている。相手は女性だが希少種である。他の生物を圧倒するほどの実力を持っている事は確かだろう。
ルナ「さぁ……本気で行くわよ…」グッ…
こちらに向かって、右足を主軸にしたファイティングポーズを取る。どうやら考える時間を与えてはくれなさそうだ。
レウス(…まずは様子見と行くか………彼女の実力が分からない以上は迂闊に動かない方が良さそうだな…)グッ…
静かに構えを取る。
ルナ「ハァァァァァ……」ググ…
レウス「…………」
ルナ「ハッ!!」ダッ!!
レウス(来るッ!!)グッ…
どんな攻撃が来ても良い様に防御の構えを取る。
だが、次の瞬間彼は自分の目を疑った。
ルナ「せいやぁぁッ!!!」ダンッ!!グルッ!!!
ドガァッ!!!
レウス「うおっ!?」ザザザ……
彼女が繰り出したのは、華麗なサマーソルトキックであった。防御はしっかりとしていたが、それでもかなりの衝撃が彼を襲った。
ルナ「女だからって、舐めないでよね」
レウス(なんという衝撃だ…!!まともに当たれば……想像したくは無いな…)
強靭な脚力を持つ彼女だからこそ出来る技であろう。
だが、恐ろしいのはそれだけでは無い。
レウス「うぐっ!?」ガクッ
突然、体に激痛が走った。
ルナ「フフフ………どうやら回り始めたようね」
レウス「何をした…!!」
ルナ「出血性の毒よ。人間の姿になってから、脚に毒が備えられるようになったの。忠告しておくべきだったかしら?」ニヤ
馬鹿にしているような笑み。だが、王者はそれ位の事では怯まない。
レウス「相手を良く観察しなかったのは私のミスだ………これはそんな私自身の罰として受け取っておこう……」グググ……
ルナ「…!!!」
レウス「だが……相手を観察しなかったのは君も同じだな」
ルナ「……何ですって…?」
レウス「気がつかなかったのか?周りを良く見てみろ!」
ルナ「ハッ!こ、これは…!!」
彼女の周りには、炎で出来たいつの間にか無数の槍が!!!
レウス「進化した私のスペカ……竜符《クリムゾン・ファランクス・セカンド》……これは避けられまい!!食らうがいい!!!」パチンッ!
指を鳴らすと、槍は彼女に向かって一斉に襲いかかるッ!!
ルナ「キャアアアアアアアアアア……」ドサッ
レウス「…………」
確かに槍は彼女に当たった。だが、妙な違和感があった。
ルナ「……なーんてね♪そいやぁぁぁぁ!!!」ダッ!!グルッ!!
なんと彼女は起き上がり、そのまま彼に向かってサマーソルトキックを繰り出した!!
レウス「何ッ!?『ドガァァッ!!』ぐあああああああ!?」
レウス(馬鹿な…!!何故………)ドサッ…
能力でも持っていない限り避ける事など不可能。完璧だと思っていた弾幕。それが破られた。
ルナ「ウフフフフフ…」
良く見ると、彼女の翼からは炎が出ていた。
レウス「うぐ……君も…炎が操れるのか…………」ムク…
ルナ「短い時間だけどね。どう?驚いた?」
レウス(何て事だ………完全な誤算だった…!!あの炎で自分の身を守ったというわけか……)
完璧だと思っていたスペカが破られた事で、彼の王者としてのプライドに亀裂が入った。
レウス「ぐ………」(不味い……毒が………)ガクッ…
かなり強力な毒である事は間違いない。すぐにでも解毒をしなければ、命に関わるほどだろう。だが、
レウス「ぐぐぐ……」(ここで死ぬわけにはいかない…!!私が諦めてどうするのだ…!!)グググ…
王者は立ち上がった。
レウス「ハァ………ハァ…………」フラフラ…
自分でも立っているのが不思議なくらいであった。目は霞み始めており、毒が体を蝕んでいる。
それでも彼は立ち上がった。王者の誇りをかけて。
レウス「ハァ……ハァ………私は………負けるわけには…………いかない…!!!」
ルナ「無駄っていう言葉を知っているかしら?」
レウス「何…?」
ルナ「あたしにその体で立ち向かう事ッ!!それが無駄だって言っているのよッ!!」
レウス「フン………そんな言葉は知らんな……」
ルナ「っ……」ギリ…
ルナ「良いわ……だったら、美しくッ!!そして残酷に散れッ!!!!」ボッ!!
脚に炎を纏い、そして……
ルナ「どりゃああああああ!!!!」ダンッ!!!グルッ!!!!
今までのサマーソルトキックとは段違いの出の早さ。さらに、纏った炎がそれを後押ししている。
ドゴァァァァッ!!!!
レウス「ぐおあああああああああああああああああ!!!!!」
蹴られた衝撃で彼の体は宙に浮かんだ。
あの蹴りをモロに食らってしまった。その体を炎が、焼きつくそうと言わんばかりに包み込む。
レウス「グハ………」
レウス(空が青い…………………美しい空だ……………………咲夜………………すまない………………)
ヒューー………ドガァ……
レウス「……………ガ……………グ…………」
ルナ「……呆気なかったわね………所詮は通常種ね…」
レウス(………意識が…………遠のいていく…………)
薄れゆく意識。彼はもうすぐ死ぬ。彼女はそう確信した。
レウス(咲夜……………何故か君の事が頭に浮かんでくる………………これが走馬灯という物か…………)
彼が見ていたのは愛する者の笑顔。
レウス(君の笑顔は美しかった………………レミリア達の元へ帰ると行ったが…………………不可能になってしまったようだ…………)
博麗神社で交わした約束。それを裏切る事になるとは自分でも思っていなかった。
レウス(諦めるしかないのか……………この死に方は悔いが残るな…………)
諦めて意識を手放そうとしたその時。
キラッ…
彼の懐で何かが光った。
レウス(これは…………スペルカード…か……………)
光ったのは、何も描かれていない真っ白なスペルカード。当然、このままでは使う事が出来ない。
レウス(幻を見たのか…?いや………今、確実に光った………!!)ググ…
最後の力を振り絞り、そのスペルカードに望みを託す。
レウス(頼む…私のスペカよ………私に……力を……!!約束を…果たすための……)
レウス(力をッ!!!)ギュ…
そう強く願った瞬間!!
ピカッ!!サラサラ……
光ったと思ったら、絵が記されていく。
幸いにも、この現象に彼女は気付いていなかった。
彼は生と死の境から抜け出す事が出来るだろうか。
〜次回へ続く〜