東方怪物録 〜4匹のモンスターが討伐されて転生した先は幻想郷〜【完結】 作:ブラキDIOス(超絶スランプ)
ある日の夜……
「ガラガラガラ……」ザッ…ザッ…ザッ…
暗がりに響く不気味な笑い声。
ガロア「ガラガラガラ……」ザッ…ザッ…ザッ…
彼の名は、『骸龍 オストガロア』。鬼に匹敵するほどの酒好きである。だが、アルコールは体内で龍属性エネルギーに変換される為、酔う事は決して無い。つまり、飲み比べで負けるわけが無い。
それでも好きな理由は…
ガロア『美味いからな……何も、酔う為に飲むのが酒の醍醐味ってわけでもねぇだろ……』
とのこと。
そんな彼の歩む道の先には、月明かりと赤提灯の灯りに照らされた小さな屋台。今日は、客がまだいないようだ。
ガロア「ガラガラガラ…」バサッ…
触腕を器用に動かし、暖簾をめくる。
ミスティア「いらっしゃーい。いつもの?」
ガロア「いや……熱燗で頼む…」ドカッ
豪快に椅子に腰掛ける。どこにでもいそうな呑んだくれといった印象ではあるが、その眼光は人外である事を対峙する者にハッキリと認識させる。
ミスティア「ヤツメウナギは?」
ガロア「…じゃあ、それも頂こう……」
ミスティア「はいはーい」
ガロア「………今日は冷えるな…」
ミスティア「そう?でも、もうすぐでこの寒さともお別れだよ」
ガロア「ほう……そりゃなんでだ…?」
ミスティア「勘」キッパリ
ガロア「……そうか……ガラガラガラ………そうだ…一曲歌ってくれないか…?」
ミスティア「いいわよ」
彼女の歌は、支離滅裂な歌詞と適当な旋律だが、彼は物凄く気に入っていた。
ガロア(…不思議なものだ………この歌声を聞いていると…今まで食らって来た奴らを思い出す……『骸龍』…か…………つくづく俺にピッタリだと思うよ……)
過去を振り返りしんみりとした気持ちになった、その時。
「歌声が聞こえると思ったら……ガロアか?」ザッ…
ミスティア「いらっしゃーい。あら、知り合い?」
ガロア「ん…?………ほう………お前がここに来るとはな……まぁ、座れよ…ルコラ……ガラガラガラ…」
ルコラ「…お邪魔する…」
彼の表情は、若干強張っていた。
ミスティア「ご注文は?」
ルコラ「…何があるんだ?」
ミスティア「ヤツメウナギはどう?」
ルコラ「ヤツメ…ウナギ…?」
古龍には馴染みの無い食材。それにしても、先ほどから香ばしい匂いが漂って来ている。
ガロア「一回くらい食ってみろよ……口に合うかは知らんがな…」
ルコラ「そうだな……じゃあ、ヤツメウナギを」
ミスティア「はーい」
それだけ言うと、彼女は再び八目鰻を焼く作業へと戻った。
ガロア「……熱燗は…?」
ミスティア「ああ!ごめんごめん…忘れちゃってたよ。はい」
ガロア「どうも…」
触腕で徳利とお猪口を器用に掴み、自分の側へと運ぶ。
グビッ…
ガロア「……あー……美味い………どうだ?お前も一杯…」
ルコラ「…………」
彼は何かを考えているようだった。
それに違和感はそれだけではなかった。本来、左腕がある場所には、服の袖が力無く垂れ下がっていた。
ガロア「どうしたんだ…?」
ルコラ「義手が中々直らなくてな……機械は苦手なものでね…」
ガロア「俺が聞いてるのは
ルコラ「…………」
ガロア「何で口角がつり上がった…?良い事でもあったか…?」
ルコラ「…フッ…………まぁ、隠す必要も無いな……」
ガロア「…………」
ルコラ「……実はな…私に子どもが出来たんだ…」
ガロア「!?」
ミスティア「子ども!?」
ルコラ「……ああ/////」
しばらく沈黙が続いた。そして…
ガロア「……ガラガラガラガラガラガラ!!!古龍の子どもか!!ガラガラガラガラガラ!!!!そりゃめでたいこった!」
骸龍の笑い声が、夜の幻想郷に響いた。
ミスティア「へぇー……じゃあ、これサービスね♪」
なんと、酒が振舞われた。彼は、それほどめでたい事なのかと驚愕していた。
ルコラ「酒か……ならば、遠慮無く……」
だが、断るのも野暮なので素直に貰う事にした。
ガロア「ガラガラガラ!!めでたいめでたい!ガラガラガラ…!!!」
ルコラ「ふむ…屋台で飲む酒も悪くないな……」
ミスティア「でしょ?」
ガロア「ガラガラガラガラ………フゥ…………落ち着いた……」
ミスティア「じゃ、落ち着いた所で……はい、注文のヤツメウナギ」
ガロア「おっ…やっとか……」
ようやく出された八目鰻は、良い感じに焦げ目が付いており食欲をそそる香りがした。
ルコラ「これがヤツメウナギか……美味そうだな。だが…どうやって食うんだ?」
ガロア「それはお好みだな……一口で食うのも良し…少しずつ食うのも良しだ…」
ルコラ「そういうものなのか…」
ガロア「俺は酒の追加を頼む…」
ミスティア「はーい」
ルコラ「では…頂きます」パクッ
ガロア「…どうだ…?」
ルコラ「…美味いな………さっぱりとしているが、淡白すぎない。……すまんが、追加してくれないか?」
ミスティア「はい、喜んで!」
ガロア「ガラガラ…ハマったようだな…」
ルコラ「…否定はせん」
ガロア「ガラガラガラ…」
二人だけの小さな宴は、まだまだ続く。
〜次回へ続く〜