あれから数日、ルーミアの様子が変な気がする。
始めは、ここに慣れてないからだと思い、いろいろと話しかけたが、明らかにおかしい。まるで、心ここに在らずといった感じだ。
今はその理由を考えながら相談するために村まで歩いている。思い起こせば、ルーミアが変になったのはこの後からだな。
「つまり、私たちと一緒にすむか、森に帰るかってこと、別に帰りたいって言うなら構わないから」
「……私は…」
「まあ、無理に答えを出せとは言わないわ。あなたをここに連れてくると言ったのは、霊奇だから」
「俺も無理にとは言わない。本当に帰りたいなら、帰った方が良い。」
(あれ?これって帰ってほしい感じの言い方じゃない?)
「と思ったんだけど慧音はどう思う?」
ゴーン
「っつーー!」
「今すぐ謝ってこい!」
そして、ルーミアを探すがどこにもいない
「霊夢、ルーミアを知らないか?」
「知らないわ」不機嫌そうに答える
(もしかしたら、本当に帰ってしまったのか?)
「そ、そうか、少し出かけてくる」
「ダメよ、嫌な予感がするわ」
「けど、行かないと」
「どうして?だって、あなたが能力を使って助けたとしても、他人でしょ?」
「でも、行かないと…」
「どうして?あいつはあなたを殺そうとしたじゃない」
「そんなこと関係ない!ルーミアは俺たちの所為で森に帰ったんだから」
「だからなに?帰らないことも出来たのに帰った。あいつはあなたのことなんて何も気にしてないのよ。」
「そんなことない!」
「なんで?妖怪は妖怪分かり合うことなんてできないわ」
「そんなひどいこと…」
「いえ、ひどいことではないわ、妖怪がいるから、あなたはこんな危ないことと隣り合わせなのよ
もともと、人と妖怪が一緒に生活なんて無理なのよ
あなたはできることはやったわ」
霊夢は俺を慰めるように言っていたが、ルーミアにはなんの関心もなかった。なぜなら彼女にとっては当たり前の事を言っているのだから、それが許せなくて、俺はつい言ってしまった。
「…嫌いだ…」
「えっ?」
「嫌いだ…そんなこと言う霊夢なんて嫌いだ!」
空へ飛んでいく霊奇を見上る。
「…嫌い?霊奇が私のことを嫌い?キライ?そんなわけない…」
「霊夢なんて嫌い、霊夢なんて嫌い」
その言葉だけが頭に響く
「そんなわけないじゃない、だって霊奇はワタシがあの日から守ってきたじゃない、だから霊奇は照れてるだけよ。あははは、逃げちゃて、カワイイワ
そんなカワイイ霊奇をワタシハ守る、ソウ、ズットズットズーット!アハハ ダカラ、ワタシヲキライナンテアリエナイ!
レイキハワタシガ、ズット!ズット!ズーット‼︎マモルカラネ‼︎アハハアハハハハハ!」
そして、誰がその会話を聞いていた。
〈side ルーミア〉
「あーあ、逃げて来ちゃた。まあ、いいや、元通りに戻るだけだし。けど、このリボンも持って来ちゃた。返したくないなー」
「なら、俺にいい考えがあるぜ、俺がお前をそれごと食べるなんてどうだ?」
「えっ?」
後ろには獣がいた。しかし、それは長く鋭い爪や大きく裂けた口、私の体くらいの太い腕を持ち、普通の獣よりもずっと大きな体でした。
そして、その太い腕から繰り出された一撃により私の体は吹き飛ばされ、怪物から遠く離れた壁に叩きつけられた。
「がはっ」
(死んじゃう?イヤ!)体を這いずり逃げる
しかし、怪物は追いかけてくる。
(私は生きるの!)私は逃げようよするが体が痛くて動けない。
(どうして生きないといけないんだろう?生きてても、1人なのに)
怪物は目の前にきた。
(もう終わりなんだ、でもいいや…あっリボン返してないな〜)
「グフッフフッ久々のメシだおとなしく俺の腹の中に入りな」
奇妙な笑い声と共に怪物は腕を振り上げ、私に向け、鋭い爪を振り下ろす
「グッ」
視界が赤く染まる
(最後に初めて会った日みたいに霊奇の温かい手で私の頭を撫でてほしいな…」
「大…丈夫…か?ルー…ミア」
「霊奇の声だ。はははっ最後に幻聴が聞こえてくるなんて思わなかったなー」
「おい!…しっかり…しろ!」
「えっ?」
霊奇がいた。
「そんな小娘の為に体を張るなんて馬鹿だな!まあ、俺からしたら、腹一杯、メシが食えるからいいけどな!」
もう一度、怪物が腕を振り上げる瞬間、霊奇は腕を怪物に向け、符を差し出す。
【再弾:アトロショウズバレット】
出てきたのは一発の弾だけだった。それは怪物の腹に当たった。それだけだった。
そして、霊奇は手を突き出したままの姿勢でいる。
(どういうこと?スペカそれだけのはずがない)
怪物はひるむがすぐに体勢を立て直し、こっちに向かってくるかに見えた。しかし、弾が再び怪物の手前に現れて、そのまま同じ部分に当たった。それは何度も何度も繰り返され、怪物の体がくの字に曲がる。それでも、終わらない。ついには怪物の体が浮き上がり始める。しかし、それでも弾は現れ続け、同じ所に当たる。そして、怪物はそのまま吹き飛ばされた。
「ルーミア」
霊奇は私の頭に手を乗せる。すると、体の痛みが消えた。
「早…く安全な所…へ行くん…だ…」
霊奇が私の上に倒れた。
私は慌てて受け止める。
ヌチャ
それがどういうことか分かっていても確かめてしまう。
自分の手が赤く、血で染まっている。
「えっ?ウソでしょ?霊奇?」
体を揺らすが、ピクリともしない。
「イヤ…イヤだよ…返事してよ⁉︎」
何も返事をしない。
「イヤーー‼︎イヤイヤイヤ‼︎死んじゃヤダ!目を開けて!ひとりはヤダ!また、ひとりぼっちなんてヤダ!」
〈side change〉
「イヤーーー‼︎」
ビクッ
「何?今の叫び声⁉︎」
私、十六夜 咲夜は買い出しの為に村へ行った帰りだった。
村の雰囲気は最悪だが、行かないわけにはいかない、そして、その帰り道を歩いていると異常な叫び声が聞こえてきた。まるで、この世の終わりのような声だった。
急いで、その場所に行くと、お嬢様と同じくらいの身長の金髪の女の子が男の人を抱きしめながら、叫んでいた。
どうやら、男の人は血を流しているようだ。
「そういえば今日、お嬢様の食事用の血が無くなったのでしたね」
【ザ・ワールド】
指を鳴らすと共に時が止まる。
そして、咲夜は男を背負い、屋敷へと足を進める。
咲夜は気付かないが背後を振り返ると地面には点々と、赤い点が落ちていることに
〈side out〉
屋敷に着いた私はパチュリー様の元へ行き男の体を治療してもらった。
「これで、数日したら、目を開けるでしょ」
「ありがとうございます。パチュリー様」
そして私は男を部屋で寝かせた。
「お嬢様の為とはいえ、男を館に入れるのは躊躇われるわ」
そう呟き部屋を後にする。