目を覚ますと見たこともない所だった。
「ここはどこだ?」
辺りを見回す。壁は白いが床は真っ赤に染まっている。
「なんというか、悪趣味だな」
それよりも気になるのは窓が無いことだ。
とりあえずサイドテーブルにある。食べ物を口に含む。
「とりあえず、ここがどこか確かめないと」
扉を開けて廊下に出て、さらに疑問が出でくる。やっぱり窓がないのだが、廊下が長すぎる。しかも、その上に部屋の数が多い、旅館ということでも、一つの廊下に30を超す部屋数は変だ、という事は裕福な家ということか?しかし、村にこんなに大きな家はない。仮にあったとして、建物の作りが違う。
「いったい、ここはどこなんだ?」
廊下を歩いていくと一つの部屋から声がする
「以上で、定時報告を終えます」
「次は昨日お伝えできなかったことを報告いたします」
「昨日お嬢様が就寝中の昼に外で瀕死の怪我を負った男を一人連れて戻りました。現在は療養中でありますがどういたしましょう?」
「そうね、あなたはどうするつもりだったのかしら?」
「怪我が治り、充分な栄養と休息を取らせたのちに血を抜き取り、処分するつもりであります」
「それで問題ないわ、すべて、あなたに任せるわ」
「他に用はございますか?「そうだわ、あなたが1週間程前に見つけた日記はどこに置いたのかしら?」
「パチュリー様の図書館に入って右に向かってもらい、突き当たりの本棚にございます。おそらくですが、一冊程の隙間がありましたので、何かの拍子に棚から落ちたのではないでしょうか。」
「そう、それであの日記は本当に読んでないのね?」
「はい、読んではおりません。失礼ですが、お嬢様。毎日、確認を取るほどに読まれたくないようでごさいますが、どのようなことが書かれているのでしょうか。「…あなたが気にすることではないわ」申し訳ございません、それでは失礼いたします」
「あら? 扉が動いたように感じたけど、気のせいかしら?」
時が止まった状態で誰が動く訳ないと判断しそのまま仕事に戻る。
「危なかった…」
俺はその時、直ぐ近くの部屋に隠れていた。
そして、周りに誰もいないことを確認し空に浮かびながら移動する。
コツッコツッ
誰か来る⁉︎空を飛んでいたおかげでいち早く、人が来る事を察知した霊奇は偶然見つけた階段を降りる。
「暗いな。だが、これくらい暗いと気付かれる事は無いだろう」
「これくらい歩いたら明かりを付けても大丈夫だろう」
霊奇は霊力を明かり代わりにして、再び歩く。
奥へ奥へと歩くと霊奇は大きな扉にたどり着いた。
「なんだ?この扉?」
あまりにも大きすぎる扉を調べると、結界を張った形跡があった。
「おそらく、ここはもう使われなくなった部屋だろう」
結界が解けてからかなりの時間が過ぎているのでそう判断した。
「ちょうどいい、中で少し状況を整理しよう」
ギイィ
「おも…い…
はあー疲れた中で誰を封じていたんだ?」
「だれ?」
中で子どもの声がする、まさか閉じ込められていたのはこの子の事か?なんてありえないか、おそらく、この館の奴らに捕まったのだろう。
「こんばんわ」
「きゃ‼︎」
「ご ごめん!
いきなりで驚いたかもしれないけど俺の名前は霊奇、敵じゃないよ。だから、警戒しないでほしい。」
「いいよ〜。へぇ〜、500年ぶりに人の声を聞いたけど!あなた、おもしろい人間さんだね!
私の名前はフラン!おもしろい人間さん、ねえ、私とあそびましょ?」
【禁忌:カゴメカゴメ】
薄暗い部屋がスペルカードから出された弾幕により照らされる。捕らえられていたと思っていた少女は背中に色とりどりの宝石を付けた翼を持っていた。
子どものようだが、れっきとした妖怪だった。
その少女は大きな弾を打ち出していた。
「ほら、油断しているとすぐに死んじゃうよ!」
明かりの為に放たれたと推測した弾幕にフランが放った大弾が当たる。すると、大弾に触れた弾まで、こっちに飛んでくる。
「いきなり何をするんだ!」
狙いが粗い為、助かったが。その大弾が地面に当たると床石に穴を開け、石煙を上げる。
「だって、500年ぶりの人よ!逃がさないようにしないと!」
俺は攻撃を避けながら、500年という言葉に疑問符を浮かべる。なぜ、500年も人と会えなかったのかと。それに、なぜか少女を放っておけなかった。気付けば俺はフランに話しかけていた。
「本当に500年間、人と合わなかったの?」
「うーん、たぶん!ちなみに最後に話したのは、お姉様!」
フランの弾幕を避けながら会話するが
微妙にだが、弾の量や速さが落ちてきている気がした。
「そのお姉様がフランを閉じ込めたのか?」
「少し違うかな?最初にフランをここに閉じ込めたのはお父様だけど、フランを閉じ込めたらすぐに死んじゃったんだって!そしたら、扉が開いて、お姉様がね、「あなたはいらない子からここにずっといないとダメ」なんだって!だから私はここにずっとずっとずーっといるの‼︎」
(は?フランのお姉さんは何を考えているんだ⁉︎自分の妹をいらないからって閉じ込めて!それに父親もだ!自分の娘を閉じ込めて、何をしたいんだ⁉︎)
しかし、この部屋の扉は鍵すら付けられてない。それなのにフランをなぜこの部屋から出ないのだろう?
「じゃあ出たいと思わないの?」
「出たい?何で?」
驚いた…フランにとってこれは当たり前なんだ。これじゃあ、フランは外に出ても何も変わらない。
「だって、フランのお姉さんは外にいて、フランは地下でなんておかしくない?フランがここに閉じ込められる前は一緒に生活してなかった?」
「どうだっけ?覚えてないなー」
どうやらフランはウソをつくのが苦手なようだ。
かなりウソっぽい
「本当に?」
「うるさい!覚えてないったら覚えてない!どうせ、みんな私の前からいなくなるんだから!お母様だって!お父様だって!お姉様も私の前からいなくなる‼︎だからみんないらないの!」
【秘弾:そして誰もいなくなるのか?】
その叫び声と同時にフランの姿は消え俺の周りが弾幕で埋め尽くされる。初めは凄まじい量の弾の嵐だったがそれは次第に弱くなっていく。そして、ついにフランの弾幕は止んだ。
そして、4人のフランが俺の周りで倒れて、そのうち3人の姿が薄れている。
予想だが、このスペカはフランが4人に分身し、超高速で俺の周りを回りながは弾幕を放つものなのではないかと考える。
倒れてフランの元へと駆けつけるとその時は気付けなかったがフランの体は明らかに細いことに気付く
「どうして…そんな体で…」
「私ね、ただみんなと一緒にいれたらよかったの、だけどね無理だったの。私がお母様を壊しちゃったから、みんなフランを見てくれなくなっちゃたの。
だから、この部屋から出ないの。
『だってみんなを壊したくないから』
でもね、寂しかった。急に襲いかかっちゃったけどあなたがここに来てくれて嬉しかった。
やっと、誰かと一緒に遊べるって。けど、いいの私が悪い子だから、みんないなくなっちゃう。
だったら、最初から欲しがらなければ良かったのにね〜
霊奇だっけ?遊んでくれてありがとう。
そして…さようなら」
フランは後ろを向いてしまった。
「ねえ、フラン、もし…500年前に俺と会えるとしたら、会いたい?」
フランは振り向き、そして眼を丸くしたのち、腹を抱えて笑い出した。
「キャハハ、やっぱり霊奇っておもしろいね。そうだね!もし会えるなら会いたいわ!」
俺は笑顔を浮かべ
「よし!じゃあ、会おうか!」
【選符:歩きだすは夢幻の夢か無限の未来か】
スペルカードは光を放ちあたりを覆う、光が収まると空中には、スペルカードが浮いている他に変化がない。
「あなたはだれ?」
「俺は霊奇だよ、フラン」
「あれ?あなたとははじめて会ったはずだけど?」
「うん、そうだよ。今のフランは初めは会うよ。まあ、どういう事か簡単に説明すると、俺は未来から来た人間だよ」
フランは眼を丸くするが次第に吹き出した。
「……キャハハ、あなたっておもしろ〜い」
当たり前だが、こんな突拍子もない話が信じられる訳がないので、俺は諦めることにした。
「君が笑うのを見るのは2回目だけど。やっぱり、その方がかわいいよ」
「そう?ならそのかわいい顔をもっと見せてあげるよー」
そういうとフランは無邪気な笑顔を近づけて来る。
俺はそれを見て笑顔になる。そして2人とも笑い出した。
「まあ、未来から来たなんて信じて貰えないと思うけど」
「いいよ!しんじてあげる!」
「ねぇ、れーきー、みらいの私はどうしてるの?」
(信じてないだろ…まあ、いいや)
「俺はちょうどそのことで来たんだ」
「どーゆーこと?」
……俺は一瞬迷った。だが、いずれ知ることかなり酷なことだか伝えるしかない。
「信じられないかもしれないけど、数日後に来るだろう、君のお姉さんに会ったら500年後に俺が来るまで、誰とも会えないようになるんだ。そして、未来のフランが俺と会うことを望んだから会いに来た。それでも、数日しか会えないが」
「うそ……あっ、私のことからかっているでしょ!」
「…………」
「うそでしょ?」
(うそよ。だって、お姉様はいらない子だけど、しばらくしたら出してて、でも、お姉様が来たのっていつだっけ?)そうこう考えていると、れいきが話し出した。
「……それでも、俺はフランからそう聞いた。俺はその未来を少しでも、変えるために来たんだが。
その顔を見ると、もうお姉さんは来てしまったのか。
すまない…」
れいきの顔はなんとも言えないがただ申し訳なさそうにしていた。
「どうして謝るの?」
「…それは、俺が消えたら、1人になってしまうから」
「なんでそうなるのかわからないけど、あなたは私のために未来からきてくれたんでしょ?」
「そうだが…「ならいいよ、その代わりに、私と遊びましょ!」だが、「だめ?」」
私は上目遣いにお願いする
「〜〜わかった!遊ぼう!」
「やったー!」
それから私は知らない間に寝てしまったようです。
「寝てしまったか…」
俺は空中に浮かぶ、符を見あげる
「後、十数時間かな?その間にやることをやらないと」
俺はこの館のどこかにある図書館に急ぐ
元の時代で散々迷った間に図書館の場所は分かっていたので迷いなく進めるというよりも、地下へ向かう部屋のすぐ隣の部屋だった。
「たしか、この辺に薄い本が…あった。
あれ?
二冊あるな、『れみりあとふらんの禁断の姉妹愛 著者 お母様 』 ……(そっと戻す)
一冊だけしか見つからなかったからこれだな『題名なし レミリア・スカーレット』
ペラペラなるほどね、レミリアがフランのお姉さんで能力は人を操ることができるのか。そして、フランに親を殺させたと
だが、このことはすぐには教えられないな、真実を知るには早すぎる。後はこうやって、戻るか」
とりあえずいろいろとやっていると結構な時間が過ぎていた。
俺は急いでフランのところへ戻ると
「れいき〜どこ〜?帰っちゃったの?グスッ」
「いや、まだ帰ってないです」
「あ!れーき〜」
フランが勢い良く突っ込んでくる。
ドスッ
「グフッ(…子どもだと思って舐めていた)」
「もう…帰ったって思っ…た クスン」
やっぱり、どんな妖怪でも心があるんだな。そう感じた
「まだ帰らないよ」
頭を撫でながら、優しく語りかける。
「フラン、俺にしてほしいことはある?」
「えっ?してほしいこと?
うーん、それじゃあ、れーきの血が飲みたい!」
「いいよ。持ってきて…?」(レーキノチ?冷気の地?もしかして、俺の血?)
そして、当たり前のようにフランが俺の首に顔を持ってきて、牙をたてる。
チューチュー
「ごちそうさま!おいしかったよ!」
「ああ、(まさか、いきなり血を吸われると思わなかった。)ところで何で…血を欲しがったの?」
「?だって、私吸血鬼だよ?気付かなかったの?」
「そうなのね。(気付かないよ!)」
と心の中でツッコミながら答える。
(あれ?視界がぼやけてる?)
バタリ
どれ位の時間がたっただろう、目を開けると、符が浮いているだけだった。