一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

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今回でおしまいです。

尚、私の技量が足りないためラブコメ的なイベントは発生しません。発生はしません。悪しからず。


足挫いたから王様ゲームやろう

王様ゲームといっても、王様の決め方は人それぞれだろう。じゃんけんだったり、あみだくじだったり、あるいはボードゲームだったり。最もボードゲームの場合は罰ゲームとして行われる場合が殆どなのだが、それはともかく。

俺達はくじ引きという形式をとった。当たりを引いた人が王様になれる、という至って簡単なルールなのだが。

「……当たってしまいました」

 

こんな風に、一番最初に引いた人が当たりを引き当ててしまえリスクも含めている。なんというか、どうにも忍びない。

そんなチノに、ココアは王冠を被せた。

 

「じゃあ、チノちゃんが王様だね!何でも命令してみてよ!抱き締めてほしい?もふもふしてほしい?」

 

ココアよ。どっちも言ってること変わらんぞ。

 

目を輝かせて命令待機するココア。そんなココアを、チノは、

 

「じゃあココアさん。もっと真面目に働いてください」

 

「なんて無慈悲な命令を!」

 

バッサリと切り捨てた。メンタルを一刀両断されて、ココアは膝をついた。チノは容赦なく追撃する。

 

「コーヒーの味を覚えてください」

 

「……うぅ」

 

「お皿を笑わないで下さい」

 

「……うぅ……」

 

「セロリを食べてください」

 

「…………」

 

もうやめてチノ!ココアのライフはゼロよ!

そんな二人の様子を見ていたリゼは、

 

「……いつもと何も変わらないな」

 

と一言。……え?

 

「なあリゼ。こいつらいつもこんな感じなのか?」

 

「ああ」

 

「マジかよ……」

 

俺がココアの立場なら、多分メンタル持たないだろう。

 

ココアのメンタルの強さに感服していると、シャロと千夜が、

 

「ココアもチノちゃんもそれくらいにして……」

 

「二回戦、始めるわよー!」

 

千夜はともかく、シャロもやる気満々なんだけど。何かあったんだろうか?

 

 

くじ引きの結果。

 

「今度は千夜ちゃんが王様になったよ!」

 

「くるしゅうない、面をあげい」

 

「それお殿様ッ!」

 

「違ったかしら」

 

笑いながら問う千夜に、

 

「和風だったな」

 

とリゼが、

 

「かなり違ったな」

 

と俺が、それぞれ答えた。

 

「そう。じゃあこうやればいいのかしら?」

 

千夜は近くにあったソファに腰掛け、ふんぞり返って言った。

 

「パンがないなら、和菓子を食べればいいじゃな~い?」

 

うん間違ってる。それは王様じゃなくてお姫様の台詞だ。

 

「革命が起きそうな台詞ね」

 

シャロのいう通りである。俺が肩をすくめて苦笑していると、リゼが、

 

「はい。では、言われた通り和菓子を食べさせていただきます」

 

スカートの裾をつまみ上げて言った。たいへんガーリーな

その行動に、俺は虚をつかれて言った。

 

「どちらさまでしょうか?」

 

「どういう意味だ!」

 

どつかれました。いや、だってガーリーなリゼってリゼらしくないし。俺か知っている天々座理世という人物は『逞しい女子』である。

だからこそ、こうして普通に女友達と話している、どころか談笑しているリゼを見るのは相当な違和感があった。

 

で、そのリゼはというと。

 

「………………」

 

なんか急に顔を赤く染め上げていた。耳の先まで真っ赤っかである。

 

「どうしたリゼー?」

 

俺がそう聞くと、リゼは悶えこんだ。

 

「……本当にどうしたリゼ」

 

「……親父に見られた……」

 

「……ああ」

 

それはご愁傷さまである。『友達同士』で仲良く、『メイド服で』談笑している姿を親に見られたのだ。俺なら恥ずかしすぎて死んでしまうだろう。

 

リゼはポツリと呟いた。

 

「穴があったら入りたい……」

 

「まあまあ。逆に考えるんだ。『見られちゃってもいいさ』と」

 

真っ赤になったままうずくまるリゼの背中をぽんぽんと叩く。すると、突然ーー

 

ーーぎゅっと握り結ばれた拳が、俺の顔面めがけて飛んできた。

 

「ッ!?」

 

俺は咄嗟に体を傾ける。俺の顔面をぶち抜く筈だった拳は、俺の頬を掠め、頬の皮を抉りとって擦り傷を作る程度にとどまった。

突然の不意打ちを避けることができた自分の反射神経に感謝しながら、俺はリゼに文句を言った。

 

「いきなり何すんだ!」

 

「他人事のように言うな!いつもそう言って私をからかって!」

 

「なんか逆ギレしてきた!?」

 

「うるさい!これでも喰らえ!」

 

そう言い捨て、リゼは再度拳を固めた。直後、基本に忠実なワン・ツーがあり得ない速度で打ち出された。見てから回避するのは不可能だったので、俺はバックステップでかわした。

 

……リゼよ。お前もう捻挫治ったんじゃないか?

 

そんな俺達を離れて見つめていたココアが一言。

 

「ねえねえ、みて千夜ちゃん。ヒョウくんがリゼちゃんとじゃれあってるよ~」

 

「本当ねココアちゃん。仲良くて羨ましいわ~」

 

「ヒョウさん、凄いです。リゼさんの攻撃を全て紙一重でかわしています」

 

「リゼ先輩のパンチの速度も相当なものだけど、それを全てかわすヒョウ先輩もまた相当なものね。流石幼馴染みって感じかしら」

 

「いやお前ら関心してないで止めろよ!」

 

リゼ邸に、俺の絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

尚、これが原因でリゼの捻挫が悪化し、療養期間が延びたのはまた別の話である。




~次回予告~

ヒョウ「相変わらず凄いな、お前のコレクションは」

リゼ「まあな。ラビットハウスのバイト代も、結構これに注ぎ込んでたりするしな」

ヒョウ「へー。……おっ、これはP-90じゃないか!この銃とは思えないユニークな形状が不細工でいいよな!」

リゼ「そうか?私は可愛いと思うけど」

ヒョウ「可愛い、のか?その辺の感性はよく分からないんだが。……シャロはこの銃、どう思う?」

シャロ「えっ!?」

ヒョウ「このサブマシンガン、不細工な外見だと思う?それとも……」

リゼ「可愛いと思う?」

ヒョウ・リゼ「さあ、どっち?」

シャロ「え、え~~っと……」

シャロ(何で私に振るんですか~!)




次回「梅雨に傘を持ち歩かない奴は控えめにいってアホ」





ヒョウ「あ、ドラグノフじゃんこれ!」

リゼ「そうだ」

ヒョウ「ひゃー、やっぱり実物はいいなあ!超かっこいい!学校に持って登校したい位だわ!」

リゼ「学校に持っていきたい気持ちは分かるぞ。私もしょっちゅう持ってくし」

ヒョウ「だよなー。持っていきたい気持ちあるよなー。……シャロはどう?そういうのある?」

シャロ「えっ」

シャロ(だから何で私に!?)
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