一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

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梅雨の話てす。二巻十一羽ベースです。つっても殆どオリジナルですが。


#04 ヒョウとリゼの関係性
ヒョウとリゼの関係性


人間は休息をとる生き物だ。何故なら人間は、休息とは切っても切り離せないものだからだ。

例をあげよう。あるところにバリバリの仕事人間がいた。そいつは「睡眠なんて要らない」と言った。「睡眠なんてしていたら仕事をする時間が減ってしまう。そんなことになるくらいなら、俺は睡眠なんて要らない」と。

言葉通り彼は睡眠時間を切り詰めてずっと仕事をし続け、そしてーーある日、心臓麻痺で死んだ。

原因は明らかだろう。ずっと寝なかったことに起因する過労によるものだ。もし、この人がちゃんと寝ていれば。しっかりと休息をとっていれば。死ぬことは無かったかもしれない。

このように、休息をとらなければいずれ人間は鬼籍に入ってしまうだろう。そうならないためにも、休息をとるというのは非常に重要なことなのだ。故に、「人間は休息をとる生き物である」のだ。ならばなぜ、しっかりと休息をとったというのに叱られなければならないのだろうか。

 

俺がそんなことを話すと、リゼは処置なしとでも言いたげに、あからさまに溜息を吐いた。

いや、実際に言われた。

 

「つける処置なし、だな。一応言っておくが、休息をとる生き物だったとしてもお前が授業中に寝てもいい理由にはならないからな?」

 

ぐうの音も出ない正論とはこの事だろう。俺が言葉につまっていると、リゼは口をぎゅっと引き結び、糸目になっていかにもつまらなさそうに頬杖をかいていた。俺は言った。

 

「どうしたリゼ。眠そうじゃないか」

 

リゼがこういう、一見つまらなさそうに見える表情をするときは、大抵、リゼが睡魔と戦っているときだ。幼馴染みだからこそ分かるその無駄な情報を活かした指摘に、リゼは欠伸をしながら返した。

 

「今日は皆タイミングよくバイトがオフだからな。一緒に映画を見に行こうって約束をしてるんだ」

 

「皆」とは、ココアやチノ、シャロ、千夜のことだろう。確かにリゼは楽しみがあると寝れないタイプだし、一緒に映画を見に行くっていうのは友人規模でも結構なイベントだ。リゼが眠れなかったのも頷ける。が。

 

「いやちょっと待って。何その約束。初耳なんだけど」

 

俺は口を尖らせて言った。リゼは頬杖をかいたまま、ふうと息を吐いた。

 

「言ってなかったからな」

 

「誘ってくれても良かったのに」

 

「何言ってんだお前。今日は確か家の手伝いがある日だろ?なら行けないじゃないか」

 

「……ぐう」

 

またもド正論を言われ、俺はぐうの音も出なくなった。いや、ぐうとは言ったが。

 

にしても、幼馴染みについて無駄な情報を知り得ているのはこちら側だけではないようだ。というか何故リゼが俺のシフトを知っている。これもやはり幼馴染みという特別な関係性ゆえのものなのだろうか。それとも、ただ単に俺とリゼの仲が良いだけなのだろうか。

少し考えて、俺はその疑問の答を探すのを諦めた。なんとなく、自分一人ではこの問題は解決できないような気がする。加えていうなら、そこまで解決させる気もない。

 

いつの間にか下がっていた顔を上げた。すると、俺の目に顎が外れそうなほどの大欠伸をかいているリゼが目に入った。思ったんだが、女の子ってもっと慎ましやかに欠伸をするものではないか。

 

「ん?何だ?」

 

俺の視線に気付いたのか、リゼは訊いてきた。俺は肩をすくめて答える。

 

「何でもないよ」




今回は箸休め的な話です。前回が長かったので今回を短くして釣り合いをとろう、って感じですね。

何が言いたいかというと、次回で「梅雨に傘を持ち歩かない奴は控えめにいってアホ」はおしまいです。
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