一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

15 / 25
リゼ誕記念作品です。とはいえ、バレンタインも誕生日も関係ない内容ですが。

その代わり、視点をいつもと変えてみました。リゼ視点です。

後、例によって数回に分けます。


番外編 夢見るアプレミディ【リゼ誕2016】
リゼ誕記念(誕生日ネタとは言ってない)


「あれ、リゼ。今日はポニテなんだな」

 

「ああ。部活の助っ人を頼まれたとき、こっちのほうが似合ってるって言われちゃってさ」

 

「へえ。リゼにも髪型を気にするくらいの女子力があったんだな」

 

「失礼だな。これでも私、普通の女の子だぞ?」

 

「どうだか。しかしそれはそれとして、確かに似合ってるな」

 

「そ、そうか?」

 

「なんかこう、荒れ狂う闘牛って感じ?男らしい感じがして、俺は良いと思うぞ」

 

「……それ、褒めてるのか?」

 

「とんでもない。人生史上、最大規模、宇宙レベルで褒め称えているぞ」

 

「……やっぱりお前、私をからかってないか?」

 

「いや?別に?」

 

「…………………」

 

 

 

             ※※※

 

 

 

 

私達の通う学校は木組みの街でもかなりのお嬢様学校として知られている。校舎は迷子になってしまうほど広く、暖房冷房は当然完備。床は大理石が敷かれ、移動教室にはエスカレーターが使われる。このように贅を極めつくした学校なのだが、その分学費がめちゃくちゃ高い。よって膨大な学費を支払えるほどのお金持ちか、あるいは学費が免除されるほどの才女でなければこの学校の門は潜れないとされている。

かくいう私も、毎月驚くほどの学費を支払ってこの学校に通っている。

そんな私は今、学内のカフェテリアにてある仲のいい後輩に相談をしていた。

相談といっても進路相談だとか成績相談だとか、そういう普遍的なものではない。もっとセンセーショナルな内容だ。

 

「ええと、これそんなにご大層な話なんですか?先輩の話聞きましたけど、そんなニュアンスの話は含まれていなかった気がするんですが……」

 

そうだっただろうか。少なくとも私にとっては重要な事柄だったのだが。

 

首を捻る私を見て、仲のいい後輩――(きり)() (シャ)()はため息をついた。

 

「つまり。リゼ先輩はヒョウ先輩に「男らしい」呼ばわりされたのが不満だったというわけですよね?それで本当にそうなのか相談に来た、と」

 

「ああ、その通りだ。しかしそうやって纏められると、すごく下らないことで悩んでいたように感じられるな」

 

「え、あ、はい。そうですね……」

 

私の言葉になぜかシャロはぎこちない笑顔を浮かべていたが、やがて笑顔を引っ込めて言った。

 

「それにしても、女子を闘牛呼ばわりですか。ヒョウ先輩もデリカシーがないですね」

 

その言葉が私を擁護しているような気がして、私は気分を良くする。私は軽い口調で言った。

 

「全くだよ。これでも私、普通の女の子なんだけ」

 

しかしその一言は、シャロの一言によって遮られた。

 

「確かにリゼ先輩は普通の女の子っぽくは無いのかもしれませんが、もっとこう、なんだろう……白馬に乗った王子様的な感じで、とにかく闘牛では絶対にありません!」

 

……それ、闘牛ではないけれど、男であることには変わりないじゃないか。私はうなだれた。顔を落とした私を前にして、シャロは狼狽する。

 

「ど、どうしました先輩!?」

 

「そうか……私は普通の女の子っぽくないのか……」

 

「え!?いや違うんです先輩!あれは言葉の綾というか、とにかく悪い意味でいったわけではなくてですね!」

 

……否定してくれないのか……

 

「……シャロ。ちょっと外の空気吸ってくる」

 

「待ってください先輩!そういうことじゃないんですー!」

 

 

 

 

 

             ※※※

 

 

 

 

 

……昨日の出来事を思い出した。

ヒョウに言われるのなら冗談だと思って聞き流せるが、シャロにまで「普通の女の子っぽくない」といわれてしまうのは、これはいよいよ深刻だ。そう認識させられ、私は深く息を吐いた。

今、私は服屋の婦人服売り場にいる。何故こんなところにいるのかというと、勿論服を買うためだ。それも、女性服を。

というのも昨日、シャロから言われた後家で自分の持っている服を確認したのだが、悲しくなるくらいに女の子っぽい服が無かったのだ。あるのはショートパンツとかノースリーブとかの動きやすい服ばっかり。これでは確かに『普通の女の子』とは呼べないだろう。とはいえ、それだけで闘牛扱いされるのも心外だが。

 

「女子っぽい服かあ」

 

そう呟き、取り合えずその辺にかかってあったスカートを手に取る。ピンクの布地に白のチェックが入ったそれは、いかにも女子っぽい服だ。

私はスカートを元あった場所に戻した。こういうのは私よりもココアとかが着るべきだと思う。似合いそうだし。

その後も何点か女子らしいと思う服を取ってみたが、何か違う気がして元の場所に戻した。どうにも、私の内面にまで刺激を与えるようなビビッドな服が見つからなかったのだ。

 

気分転換に、別の趣向の服も見てみよう。私はいつも来ているような、半袖のパーカーを手に取った。袖の丈は短く、布地も薄い。というか、ペラッペラだ。夏らしい、動きやすそうな服だった。

たまたま選んだものなのに結構いいものを見つけたかもしれない。そう思い始めて、いやいや何をやってる私。私の中の、「冷静な私」がそう語りかける。曰く、

 

「そもそも私は女の子っぽい服を買いに着たんだろ?なのに何故いつも来ている服ばっか売ってるところに行く。今必要なのはスポーティな服ではなくガーリーな服だろう。スカートとかワンピースとかみたいな。なのに何故、そのコーナーに行かない。本当に買う気があるのか?」

 

とのことだった。脳内で教官然とした態度をとる冷静な私に、「他の私」は敬礼する。

 

「「「「サー!買う気はある!サー!」」」」

 

「よし、では決まりだ!さっさとワンピースのコーナーに行け!」

 

「「「「「「サー!!」」」」」




数回に分けて書くのは、一度に8000文字も投稿できるほどの時間も根気もないからです。
多分、毎日投稿するとして明後日くらいには終わるんじゃないかなあ(遠い目)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。