一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

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ところでこの話とは全く関係ない話をするんですが、マメちゃんがヒロインの二次ってここにあるんですかね?全く無いような気がするんですが……


言い方が完全にナンパ

脳内会議が満場一致でそう決議したので私はワンピース売り場にやってきた。また取り合えず、その辺にかかってあったワンピースを取る。上半身は濃さげのスカイブルー、下半身は水玉模様。やはり女の子っぽいというか、可愛い。

可愛いのだが。

 

「……なんか違うな」

 

呟いて、ワンピースをそっとの元の場所に戻した。やはり、何かが足りない気がする。もっと心に訴えかけるような何かが。

再度適当に選んで取り出した。今度のワンピースは、無地のレース。それに所々、四つ葉のクローバーの意匠があしらわれていた。

お、と思った。さっきの水玉の奴に比べると華やかさは欠けるが、その分お淑やかな雰囲気がある。可愛い服とはちょっと違うかもしれないが、しかし女の子っぽい服であることは間違いない。ワンピースだし。

 

……ワンピースかあ。

 

やはりワンピースなので女性らしい服という条件には見事に合致しているのだが、しかし買うとなれば別問題だ。普段着ている服が着ている服なせいで、こういう服を着るのにはちょっと抵抗があったりする。

……いや、何を考えているのだろう。そもそも私がここに来た理由はこのような服を買うためではなかったか。それなのに、気に入った服が見つかったというところで着るのが恥ずかしくて買うのを躊躇するなど、格好悪いったらありゃしない。ここはちょっと軍人の娘らしく覚悟を決めるときだろう。私はワンピースを抱え意気揚々とレジまで持って行った。

 

「これ、お会計お願いします」

 

「あ、はい。かしこまりまし、た……」

 

私の呼びかけに応じた男性店員は、しかしその言葉に反してレジに服を通さなかった。では何をしていたかというと、ポカンと口を開けて私を見つめていた。

 

「……なんですか」

 

私は問いた。何か私の顔についているんだろうか。首を傾げていると店員は我に帰ったようで、

 

「あ、すみません。お会計ですね」

 

と頭を下げた。私は訊いた。

 

「あの、私の顔に何かついてたんですか?」

 

店員は答えた。

 

「いえ、特に何も」

 

……それなら何でさっき私の顔をじろじろ見てきたんだろう。私が訝しんでいると、店員は釈明するように言った。

 

「いやぁ、お客さんが美人さんだったのでつい、見とれてしまったんですよー」

 

………………はい?

 

「え……あの、美人さん?見とれる?」

 

「はい」

 

「…………」

 

初対面の人に対して何を言っているのだろうこの人は。だがまあ褒められて悪い気はしない。少し頬が熱くなっているのを自覚しながら、私は言った。

 

「ありがとうございます」

 

店員は頭を掻いた。

 

「いえいえ。そんな、私はただ、美しいものを美しいと言ったまでですよ」

 

キザなことを言って、店員は人懐っこい笑みを浮かべる。つられて、私も笑い出した。

 

ふいに、店員が笑いを引っ込めた。

 

「成る程、笑顔も中々の……これはいいかもしれん」

 

いつのまにやら、彼の瞳は値踏みするような目に変わっている。ブツブツと何かを呟いている店員に私は困惑した。いきなりどうしたのだろう。

顎に手を当てて考えていた様子の店員はそんな私の様子に気づくと苦笑し、肩をすくめた。

 

「ああ、悪い悪い。ちょっと考え事をしていてね」

 

店員は指一本立てて話し始めた。

 

「実は、なんだけど。僕の友人に美容室をやっている人がいてね」

 

「はあ」

 

「それで、その友人は最近、カットモデルを探しているんだ。それも相当絵になるべっぴんさんを、だ。普通、中々そんな人は見つからないんだけど……」

 

店員はそこで言葉を切って、再び私を見つめてきた。

私は目を逸らした。店員が次に言おうとすることがなんとなく分かったからだ。

店員は言った。

 

「ねえ君、カットモデルやってみない?」




多分次の次で終わると思います。
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